加齢とともに増加する膝の痛み、放置すると変形性膝関節症を引き起こすなど、日常生活に大きな支障をきたすことも。そこで注目したいのが「医療用膝サポーター」。なんと、特定の条件下では健康保険が適用されることをご存知でしたか?
この記事では、変形性膝関節症など、保険適用となる条件や、気になるサポーターの種類と費用相場、さらには購入方法まで、整形外科医が詳しく解説します。
費用を抑えつつ、膝の痛みを効果的に和らげる方法を探している方は必見です!
目次
膝サポーターの保険適用と価格

膝の痛み、階段の上り下りや正座がつらい、といったお悩みを抱えていませんか?加齢とともに膝の痛みは悪化しやすく、変形性膝関節症を引き起こすこともあります。
そこで、今回は膝の痛みを和らげる方法の一つとして、医療用膝サポーターについて解説します。費用面も気になるところですよね。医療用膝サポーターは保険適用になる場合もあるので、その条件や価格、購入方法なども含めて詳しくご説明します。
保険適用される条件
医療用膝サポーターは、健康保険が適用される場合があり、費用負担を軽減できます。ただし、全ての膝サポーターが保険適用されるわけではありません。医療用膝サポーターが保険適用されるには、いくつかの条件があります。まず、変形性膝関節症などの特定の疾患であることが必要です。
保険適用されるためには、主に以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 変形性膝関節症などの特定の疾患であること
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりすることで痛みが生じる病気です。加齢や肥満、激しい運動などが原因となることが多く、中年以降に発症する人が多い病気です。
膝が痛むからといって、必ずしも変形性膝関節症というわけではありません。他の疾患の可能性もありますので、まずは整形外科を受診し、正確な診断を受けることが重要です。
- 医師がサポーターの必要性を認めていること
医師の診察を受け、サポーターが必要と判断された場合に保険適用が検討されます。
例えば、変形性膝関節症による痛みが強く、日常生活に支障が出ている場合などが該当します。医師は、患者さんの症状や生活状況、膝の状態などを総合的に判断し、サポーターの必要性を判断します。
膝の痛みを我慢して放置すると、症状が悪化し、日常生活にさらに大きな支障をきたす可能性もあります。早めの受診と適切な治療が大切です。
- 保険適用対象として認められているサポーターであること
厚生労働省が定めたリストに掲載されているサポーターが保険適用となります。
詳しくは厚生労働省の定める療養費の支給対象となる既製品の治療用装具の一覧をご覧ください。
具体的には、変形性膝関節症や靭帯損傷などに対して使用される医療用のサポーターです。市販のサポーターは、基本的に保険適用外となります。
適用されるサポーターの種類と費用
保険適用されるサポーターには様々な種類があります。変形性膝関節症の方には、膝関節の動きをサポートし、痛みを軽減するサポーター、靭帯損傷の方には、関節の安定性を高めるサポーターなどがあります。
費用はサポーターの種類によって異なり、おおよそ8,800円から14,730円程度が目安です。自己負担は、年齢や所得によって異なりますが、通常1~3割です。
例えば、基準価格が10,000円のサポーターの場合、1割負担の方であれば1,000円、3割負担の方であれば3,000円が自己負担額となります。
| 製品名 | 基準価格(円) | 適用疾患例 |
|---|---|---|
| 膝サポーターOAEX | 9,000 | 変形性膝関節症、膝側副靭帯陳旧性損傷 |
| 膝サポーターOASX3 | 8,800 | 変形性膝関節症、膝側副靭帯陳旧性損傷 |
| 膝サポーターショート3 | 10,200 | 変形性膝関節症、膝蓋大腿関節症 |
| 膝サポーターライトスポーツ3 | 13,300 | 変形性膝関節症、膝蓋大腿関節症 |
| 膝サポーターMCL&LCL | 14,730 | 内・外側側副靭帯損傷 |
| 膝サポーターACL | 14,730 | 前十字靭帯損傷 |
| 膝サポーターPCL | 14,730 | 後十字靭帯損傷 |
| 膝サポーターOAGX | 14,400 | 変形性膝関節症、膝側副靭帯陳旧性損傷 |

申請手続きの実際と工夫
保険適用の膝サポーターを処方する際、医師の「処方箋」だけでなく、「装具療養費支給申請書」という書類が必要になります。この手続きは少し複雑で、患者さんが戸惑うことも多いのですが、私は独自に「サポーター保険申請ガイド」というパンフレットを作成し、手続きを分かりやすく説明しています。
80代の男性患者さんは書類手続きに不安を感じていましたが、医療事務スタッフが丁寧にサポートしたことで無事に保険適用のサポーターを入手できました。私は特に高齢の患者さんには「必要書類のチェックリスト」を渡し、必要に応じて家族にも協力を求めるようアドバイスしています。
サポーターの必要性を医学的に証明する診断書の書き方も重要で、単に「膝が痛い」ではなく「内側型変形性膝関節症による歩行時痛と不安定性のため装具による外側支持が必要」など、具体的に記載することで承認されやすくなると実感しています。
書類申請に不安を感じたら、遠慮せずにかかりつけの医師やスタッフに相談してみてくださいね。
保険適用外のサポーターの価格相場
ドラッグストアなどで購入できる一般的な膝サポーターは、数百円から数千円程度と比較的安価です。これらのサポーターは、主に予防や軽度の痛みの緩和を目的としています。
一方、高度な機能を備えた医療用サポーターの中には、保険適用外のものもあります。こちらは数千円から数万円程度と高額になる場合もあります。
購入方法:医療機関 vs オンラインストア
保険適用となるサポーターは、医療機関で購入します。医師の診察を受け、処方箋を発行してもらいます。
保険適用外のサポーターは、オンラインストアやスポーツ用品店などで購入できます。オンラインストアでは、様々な種類のサポーターを比較検討できますので、購入前に商品の口コミやレビューをチェックすることをおすすめします。
価格だけでなく、素材や機能、装着感なども考慮して、ご自身に合ったサポーターを選びましょう。
▼変形性膝関節症の膝サポーター、おすすめの選び方や効果については以下をご参考ください。
その他の疾患と膝サポーター、併用療法

膝の痛みは、日常生活を大きく制限する悩ましい症状です。膝の痛みと聞いてまず思い浮かぶのは変形性膝関節症ですが、実は他の病気でも膝が痛くなることがあるんです。
今回は、関節リウマチや半月板損傷など、その他の疾患で膝サポーターを使うケース、他の治療法との併用、そして使用時の注意点についてお話しします。
関節リウマチ(RA)と膝サポーター
関節リウマチは、体の免疫システムが誤って自分の関節を攻撃してしまう病気です。関節が腫れて痛くなり、特に膝関節は炎症が起こりやすい場所です。関節リウマチの痛みは、安静時でもズキズキ痛むだけでなく、動かすたびに鋭い痛みを感じることがあります。
膝サポーターは、炎症を起こした関節を優しく包み込み、安定させることで痛みを和らげます。炎症による関節の腫れや熱感を抑える効果も期待できます。サポーターによって関節の動きが制限されるため、日常生活での負担を軽減し、痛みを悪化させにくくする効果もあります。
関節リウマチの治療では、炎症を抑える薬物療法が中心となります。膝サポーターは、この薬物療法を補助する役割を果たします。薬だけでは痛みが強い場合や、日常生活での活動が制限されている場合に、サポーターが効果を発揮します。
半月板損傷、靭帯損傷とサポーター
スポーツや転倒などによって、膝関節内の半月板や靭帯が損傷することがあります。半月板は膝関節のクッションの役割を果たし、靭帯は骨と骨をつなぎ関節を安定させる役割を担っています。これらの組織が損傷すると、膝の痛みや腫れ、不安定感、そして動きの制限が生じます。
半月板損傷では、膝を曲げ伸ばしした際にクリック音や引っかかりを感じることがあります。靭帯損傷では、損傷した靭帯の方向へ膝が不安定に動く感じ(膝崩れ)を自覚することがあります。
半月板損傷による治療での膝サポーターは、損傷した関節を外部からサポートすることで安定性を高め、痛みを軽減する効果が期待できます。また、関節の過度な動きを制限することで、損傷部位への負担を軽減し、治癒を促進する効果もあります。さらに、サポーターによって関節の安定性が高まるため、日常生活での動作がしやすくなり、精神的な不安も軽減されるでしょう。
他の治療法との併用(薬物療法、リハビリテーションなど)
膝サポーターは、他の治療法と併用することで、より効果的に膝の痛みを改善します。
薬物療法では、痛みや炎症を抑える薬が用いられます。サポーターと併用することで、痛みの悪化を防ぎ、日常生活を送りやすくします。
リハビリテーションでは、ストレッチや筋力トレーニングなどを通して膝関節の機能回復を目指します。
サポーターは、リハビリテーション中に損傷部位を保護する役割を果たし、安心してリハビリテーションに取り組むことができます。
これらの治療法を組み合わせ、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を立てることが重要です。
膝サポーター使用時の注意点と副作用
膝サポーターは正しく使用しないと、効果が十分に得られないばかりか、症状を悪化させる可能性もあります。
サポーターがきつすぎると血行が悪くなり、しびれや冷感などの症状が現れることがあります。逆に、ゆるすぎると関節をしっかりと固定できず、十分なサポート効果が得られません。
また、長時間サポーターを装着していると、皮膚がかぶれたり、むくみが生じたりすることがあります。適切なサイズを選び、医師や理学療法士の指導に従って正しく装着することが重要です。
サポーターの使用中に違和感や痛みを感じた場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談しましょう。
まとめ

膝の痛みでお悩みの方へ。医療用膝サポーターは、変形性膝関節症などの特定の疾患で、医師が必要と認めれば保険適用となる場合があります。
費用は8,800円から14,730円程度で、自己負担は1~3割です。保険適用外のサポーターは数百円から数万円程度で購入できます。
購入は、保険適用なら医療機関、それ以外はオンラインストアなど。症状やライフスタイルに合ったサポーターを選び、痛みを和らげ、快適な生活を送りましょう。
参考文献
- Mittal N, Catapano M, Peng PWH. “Knee Ablation Approaches.” Physical medicine and rehabilitation clinics of North America 32, no. 4 (2021): 779-790.
- Duong V, Oo WM, Ding C, Culvenor AG, Hunter DJ. “Evaluation and Treatment of Knee Pain: A Review.” JAMA 330, no. 16 (2023): 1568-1580.

-情報提供医師
松本 美衣 Mie Matsumoto
和歌山県立医科大学 医学部 卒業
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