膝の痛み、特に変形性膝関節症を抱えながら仕事を続けるのは、想像以上に大変なことです。日常生活にも支障をきたし、将来への不安も募るばかり…という方もいるのではないでしょうか。
この記事では、変形性膝関節症と仕事の両立を図るための5つのポイントと、退職前に知っておくべき4つの制度や支援策を具体的に解説します。仕事中の負担軽減方法から、痛みが強い時の対処法、職場環境調整の相談窓口、そして治療プランの見直しまで、網羅的にご紹介します。
さらに、退職後の生活設計を見据え、障害年金、傷病手当金、就労支援サービス、そして経済的な備えについても分かりやすくまとめました。 あきらめる前に、まずはこの記事で現状を打破するヒントを見つけてみませんか?
つらい膝の痛みから解放され、より快適な生活を送るための第一歩を、今踏み出しましょう。この記事が、あなたの明るい未来への道標となることを願っています。
目次
変形性膝関節症と仕事の両立:負担軽減と治療のポイント5選

変形性膝関節症を抱えながら、仕事を続けることは大変なことです。膝の痛みは、仕事への集中力を低下させ、日常生活にも影響を及ぼします。しかし、適切な対応策をとることで、痛みをコントロールし、仕事との両立も不可能ではありません。
この記事では、変形性膝関節症と仕事の両立を図るための5つのポイントを解説します。
ポイントを参考に、ご自身の状況に合った方法を見つけて、より快適な生活を送れるようお手伝いさせていただきます。
仕事中の膝への負担を軽減する工夫
仕事中の膝への負担を軽減するには、まず、どのような動作や姿勢で膝に負担がかかっているのかを把握することが重要です。
立ち仕事が多い方は、30分に1回を目安に、こまめに休憩を取り、座る時間を設けましょう。座る際は、膝の裏が椅子に軽く当たる程度に浅めに腰掛けると、膝への負担を軽減できます。
座り仕事が多い方は、椅子の高さを調整し、膝が90度に曲がり、足の裏が床にしっかりとつくようにしましょう。太ももが床と平行になるように調整すると、さらに効果的です。
また、重いものを持ち上げる作業はなるべく避けましょう。どうしても必要な場合は、台車などを活用したり、同僚に手伝ってもらうようにしましょう。無理に重いものを持ち上げてしまうと、膝に大きな負担がかかり、症状を悪化させてしまう可能性があります。
長時間の同じ姿勢は、血行不良や筋肉の緊張を招き、膝への負担を増大させます。1時間に1回程度、軽いストレッチや体操を取り入れるなど、こまめに姿勢を変えることを意識しましょう。
痛みが強い時の対処法
痛みが強い時は、決して無理をせず、患部を冷やし、安静にすることが大切です。
応急処置として、市販の鎮痛剤や湿布薬を使用することも有効です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる種類の痛み止めは、炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。
湿布薬には、冷感タイプと温感タイプがあり、痛みの種類や好みに合わせて使い分けることができます。
▶変形性膝関節症に対する湿布の効果や種類はこちら
痛みが長引く場合や、市販薬で効果がない場合は、自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。医療機関では、痛みの原因を特定し、適切な治療法を提案してくれます。
装具や補助具の効果的な活用方法
装具や補助具は、膝関節の安定性を高め、痛みを軽減するのに役立ちます。
膝サポーターは、膝関節を支え、負担を軽減する効果が期待できます。様々な種類があり、症状や目的に合わせて選ぶことができます。例えば、軽度の痛みには、伸縮性のある素材でできたサポーターが適しています。一方、中程度から重度の痛みには、金属製のステーやヒンジが付いた、より強力なサポート力を持つサポーターが適しています。
▶変形性膝関節症に対する膝サポーターの種類や選び方をご紹介しています
杖や歩行器などの歩行補助具は、歩行時の膝への負担を軽減し、転倒を予防する効果があります。
杖は、体重を分散させ、膝への負担を軽減します。歩行器は、より安定した歩行をサポートし、転倒のリスクを低減します。
▶杖の選び方や種類について併せてご参考ください
適切な装具や補助具を選ぶためには、医師や理学療法士に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、症状や生活スタイルに合った装具や補助具を選択することができます。
職場環境調整の相談窓口
変形性膝関節症と仕事を両立するためには、職場環境の調整が非常に重要です。まずは、直属の上司や人事担当者に相談してみましょう。
仕事内容の変更や、勤務時間の調整、休憩時間の確保など、様々な対応策が考えられます。例えば、立ち仕事が多い場合は、座り仕事への変更を検討したり、重いものを持ち上げる作業を減らすなど、負担の少ない業務への配置転換を相談することができます。
また、産業医がいる職場であれば、産業医に相談することもできます。産業医は、従業員の健康管理の専門家であり、職場環境の改善についてもアドバイスをもらえます。
術後の職場復帰については、医師と相談しながら慎重に進める必要があります。
主治医との連携と治療プランの見直し
変形性膝関節症は進行性の疾患であるため、定期的に主治医と連携を取り、治療プランを見直すことが重要です。痛みの程度や関節の可動域の変化など、症状の変化があれば、すぐに主治医に相談しましょう。
治療プランは、症状の変化に合わせて調整する必要があります。薬物療法、運動療法、装具療法、手術療法など、様々な治療法がありますが、どの治療法が適切かは、個々の症状や病状によって異なります。
近年では、脂肪由来幹細胞や間質血管画分を用いた治療法など、再生医療による新しい治療法も開発されています。これらの治療法は、損傷した軟骨の再生を促進する効果が期待されています。
手術をしない治療法のため、日帰りが可能です。入院が難しい方も選択肢のひとつに入れることができます。主治医とよく相談し、最適な治療法を選択しましょう。

退職のタイミング
退職が必要な場合でも、そのタイミングは慎重に検討すべきだと感じています。急激な膝の痛みや機能低下でも、適切な治療やリハビリにより回復する可能性があるからです。
特に人工関節置換術などの手術治療により、働く能力が改善するケースも少なくありません。私は「今の状態での退職検討」と「治療後の復職可能性」を区別して説明するようにしています。
「手術を受けてから退職を決めることで、もし良くなれば働き続ける選択肢も残せますよ」というアドバイスが、患者さんの意思決定の助けになることが多いです。
退職前に知っておきたい制度と支援4選

変形性膝関節症の痛みで仕事を続けることが困難になり、退職を余儀なくされるケースもあると思います。将来への不安や様々な悩みは尽きないものです。
この記事では、変形性膝関節症で退職を検討されている方向けに、知っておくべき制度と支援について、分かりやすく解説します。
退職後の生活を具体的にイメージし、安心して次のステップへ進めるように、一緒に確認していきましょう。
障害年金受給の要件と申請手続き
日常生活や仕事が、病気やケガによって制限される場合、経済的な支えとなるのが障害年金制度です。変形性膝関節症も、この制度の対象となる可能性があります。
受給には、いくつかの要件を満たす必要があります。
まず、日常生活に一定の制限があるという障害状態の認定が必要です。これは、関節の可動域制限や痛みの程度、歩行能力、階段昇降の可否、正座や和式トイレの使用の可否、更には日常生活動作(食事、入浴、着替えなど)への影響を総合的に判断します。
次に、保険料納付要件を満たしている必要があります。これは、国民年金や厚生年金に一定期間以上加入し、保険料を納付している必要があるということです。
障害年金には、障害の程度に応じて1級から3級までの等級があります。変形性膝関節症の場合、痛みの程度や歩行能力、日常生活動作の制限などが評価の対象となり、等級が決定されます。等級が高いほど、支給額も多くなります。
申請手続きは、必要な書類を集めて年金事務所に提出します。診断書、病歴・就労状況等申立書など、医師の意見やご自身の状況を詳細に記載した書類が必要になります。これらの書類の準備には時間がかかる場合がありますので、早めに主治医や年金事務所に相談することをお勧めします。
傷病手当金と休職制度の活用
退職を検討する前に、傷病手当金と休職制度の活用も検討してみましょう。
傷病手当金とは、病気やケガのために会社を休まざるを得ない場合に、生活費の一部を補償する制度です。健康保険に加入している方が対象となります。医師の証明書が必要で、最長1年6ヶ月支給されます。
休職制度は、会社によって規定が異なりますが、一定期間仕事を休んで治療に専念できる制度です。傷病手当金を受給しながら休職することも可能です。
職場復帰を目指している場合、休職期間中にリハビリテーションに取り組むなど、心身ともに健康な状態を取り戻すための貴重な時間として活用できます。
就労支援サービスと活用事例
就労支援サービスは、仕事探しや職場定着のサポートを受けることができるサービスです。ハローワークでは、求人情報の提供、職業相談、職業訓練などのサービスを提供しています。
変形性膝関節症の場合は、身体への負担が少ない仕事への転職や、現在の職場の環境調整について相談することができます。例えば、立ち仕事から座り仕事への変更や、労働時間の短縮、休憩時間の確保など、働き方を調整することで仕事を続けられる可能性があります。
また、障害者就労支援センターでは、障害のある方の就職活動や職場適応を支援しており、専門の相談員が親身になって相談に乗ってくれます。
退職後の生活設計と経済的な備え
退職後の生活設計では、年金、貯蓄、生活費などを総合的に考慮して計画を立てることが大切です。公的年金制度に加えて、個人年金や企業年金などの私的年金制度も有効に活用しましょう。
医療費については、後期高齢者医療制度など、高齢者向けの医療費助成制度があります。介護が必要になった場合は、介護保険制度を利用することができます。
▶変形性膝関節症の介護保険サービスについて、詳しくはこちら
変形性膝関節症は進行性の病気であるため、将来の生活設計において、医療費や介護費を見込んでおくことが重要です。
変形性膝関節症の治療法としては、薬物療法、運動療法、装具療法、手術療法など様々な選択肢に加えて、脂肪由来間葉系幹細胞(ADMSC)療法や間質血管画分(SVF)療法といった再生医療も研究開発段階にあります。
これらの治療法も視野に入れながら、ご自身の状況に合った治療法を選択していくことが、生活の質を維持するために重要です。
まとめ

変形性膝関節症と仕事の両立は、痛みや不安を伴う難しい問題です。この記事では、負担軽減のための工夫や職場環境調整、痛みが強い時の対処法、装具の効果的な活用方法、主治医との連携の重要性などを解説しました。
もし、症状が悪化し退職を検討されているなら、障害年金、傷病手当金、休職制度などの活用も視野に入れましょう。就労支援サービスで相談すれば、負担の少ない仕事への転職や、職場環境の調整についてもサポートを受けられます。
退職後の生活設計では、年金や医療費、介護費などを考慮した経済的な備えも大切です。公的年金制度に加えて、個人年金や企業年金なども検討し、将来に備えましょう。
変形性膝関節症は進行性の病気ですが、適切な治療や生活習慣の改善、周囲のサポートがあれば、より快適に過ごすことができます。諦めずに、できることから始めてみませんか?
参考文献
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