痛みはいつまで続く?変形性膝関節症手術後の痛みの解消法

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変形性膝関節症の手術後、この痛みはいつまで続くの?と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

日常生活への復帰を左右する術後の痛み。その種類や期間、そして効果的な対処法を知ることは、術後の回復過程において非常に重要です。適切なケアを行うことで痛みを管理することができます。

この記事では、手術直後から慢性的な痛みまで、それぞれの時期に合わせた痛みの種類や期間、そして痛みを和らげるための5つの具体的な方法を整形外科の専門医が紹介します。

快適な回復期を送り、一日も早く日常生活を取り戻すためのヒントがここにあります。

痛みはいつまで続く?変形性膝関節症手術後の痛みの種類と期間

変形性膝関節症の手術後、多くの方が痛みについて不安を抱えていることと思います。手術後の痛みは、日常生活への復帰を左右する重要な要素です。

この章では、手術後の痛みの種類や期間、痛みの程度、そして痛みの感じ方などについて、具体的に解説していきます。

術後の痛みは、時間経過とともに変化していくため、それぞれの時期に合わせた適切な対処法を知ることが大切です。

術後早期の痛み(炎症による痛み)

手術中には麻酔が効いているためもちろん痛みはありませんが、手術直後から少なくとも数日間は、手術による炎症反応で強い痛みを感じることがあります。

これは、組織の損傷や出血により炎症物質が放出されることが原因です。炎症による痛みは、鋭い痛みやズキズキする痛みとして感じられることが多いでしょう。まるで患部に針で刺されるような感覚や、脈打つような痛みを想像してみてください。

この時期の痛みは、炎症を抑える薬や冷却療法などで軽減することができます。患部を冷やすことで、炎症の広がりを抑え、痛みを和らげることができます。

術後中期の痛み(組織修復に伴う痛み)

手術後数日から数週間は、傷ついた組織の修復が始まり、それに伴う痛みを感じることがあります。

この痛みは、早期の痛みと比べると鈍く、重い痛みとして感じられることが多いです。まるで患部を重たいもので押さえつけられているような感覚を想像してみてください。

組織修復に伴う痛みは、リハビリテーションを行うことで軽減できます。患部の安静も大切です。

リハビリテーションは、関節の動きをスムーズにし、筋肉を強化することで、痛みを和らげる効果があります。適切な運動は、組織の修復を促進し、関節の機能回復を早めることにも繋がります。

術後後期の痛み(慢性的な痛み)

手術後数ヶ月以上経過しても、慢性的な痛みが残ることがあります。

この痛みは、手術による神経の損傷や、関節の変形などが原因で起こる場合があります。慢性的な痛みは、薬物療法や理学療法、温熱療法などを組み合わせて治療していきます。

温熱療法は、患部の血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることで、痛みを軽減する効果があります。痛みの程度や種類も人それぞれなので、ご自身の痛みに合った治療法を見つけることが大切です。

痛みの種類(鋭い痛み、鈍い痛み、しびれなど)

変形性膝関節症手術後の痛みは、その種類もさまざまです。

鋭い痛み、ズキズキして痛い、鈍い痛み、重い痛み、しびれなど、痛みの感じ方は人それぞれです。

また、痛みの感じ方は、時間帯や活動量によっても変化することがあります。

例えば、朝起きた時は特に痛みを感じやすく、日中は活動するにつれて痛みが軽減する方もいます。痛みの種類や程度、感じ方などを担当の先生に詳しく伝えることで、より適切な治療を受けることができます。

痛みはいつまで続く?痛みの持続期間

変形性膝関節症手術後の痛みが続く期間は、手術の方法や患者さんの状態によって大きく異なります。

一般的には、数週間から数ヶ月で痛みが軽減していきますが、中には1年以上痛みが続く方もいます。

高脛骨骨切り術(HTO)は、O脚変形を矯正することで、ひざへの負担を軽減する手術法ですが、研究によると、脂肪由来幹細胞や間質血管画分療法などの再生医療は、組織の修復を促進し、炎症を抑える効果が期待されているため、手術後の痛みを軽減する効果が期待されています。

また、非変性II型コラーゲン(UC-II)は、経口摂取することで免疫システムに作用し、炎症や痛みを軽減する効果が期待されています。

これらの治療法は、痛みの軽減だけでなく、関節機能の改善にも効果的です。

変形性膝関節症手術後の痛みを和らげる方法5選

変形性膝関節症の手術後、多くの方が痛みについて不安を抱えていると思います。

手術を受けるかどうかを悩んでいる方も、術後の痛みがどれくらい続くのか、どのように対処すればいいのか、気になっているのではないでしょうか。

この章では、変形性膝関節症手術後の痛みを和らげるための5つの方法を具体的にご紹介します。

手術の種類や痛みの感じ方には個人差がありますが、これらの方法を参考に、少しでも快適に回復期を過ごせるようサポートできればと思っています。

薬物療法(痛み止め、ヒアルロン酸注射など)

薬物療法は、術後の痛みをコントロールするための基本的な方法です。

代表的なものとしては、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセッズ)などの痛み止めがあります。

これらの薬は、炎症を抑え、痛みを軽減する効果があります。炎症とは、体を守る反応の一つで、発赤、腫脹、熱感、疼痛、機能障害といった症状が現れます。

NSAIDsは、炎症を引き起こす物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることで、これらの症状を緩和します。

また、ヒアルロン酸注射も、関節内の潤滑性を高め、痛みを和らげる効果が期待できます。

ヒアルロン酸は、関節液の主成分であり、関節の動きを滑らかにする役割を担っています。変形性膝関節症では、このヒアルロン酸が減少したり、質が低下したりすることで、関節の動きが悪くなり、痛みが生じます。ヒアルロン酸注射は、関節内に直接ヒアルロン酸を補充することで、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減します。

痛み止めには、ロキソプロフェンナトリウムやイブプロフェンなど、さまざまな種類があります。医師は、患者さんの症状や体質に合わせて、最適な薬の種類や量を判断します。ご自身の判断で市販薬などを服用するのではなく、必ず医師の指示に従って服用することが大切です。

▼変形性膝関節症の痛みに効果的な薬について、以下でも解説しています。

理学療法(リハビリテーション、運動療法など)

理学療法は、手術後の関節機能の回復を促進し、痛みを軽減するために非常に重要です。

理学療法士の指導のもと、関節可動域訓練や筋力トレーニングなどの運動療法を行います。

これらの運動は、関節の柔軟性を高め、周囲の筋肉を強化することで、痛みを和らげ、日常生活動作の改善に繋がります。

高脛骨骨切り術(HTO)後のリハビリテーションでは、膝関節の可動域訓練や筋力トレーニングに加えて、歩行訓練なども行われます。

HTOは、O脚変形を矯正することで膝への負担を軽減する手術法ですが、術後のリハビリテーションによって、膝関節の機能回復を促進し、長期的な予後を改善することができます。

術後早期から適切なリハビリテーションを行うことで、よりスムーズに関節機能を回復し、日常生活への復帰を早めることができます。

松本 和樹
松本 和樹

リハビリの個別化

術後のリハビリは画一的なプログラムではなく、患者さんの生活スタイルに合わせた個別化が必要だと感じています。

特に仕事や家事の内容によって、必要な膝の動きやトレーニングの優先順位が変わってきます。私は「3ヶ月後に何ができるようになりたいか」を具体的に聞き、その目標に沿ったリハビリメニューを作成しています。

「私の仕事に合わせたトレーニングだったので、復職がスムーズでした」という声は、個別化アプローチの効果を裏付けています。

温熱療法・冷却療法

温熱療法と冷却療法は、どちらも手術後の痛みを和らげるのに効果的な方法です。

温熱療法は、患部を温めることで血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減します。

一方、冷却療法は、患部を冷やすことで炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。

どちらの方法も、患者さんの状態や痛みの種類によって使い分けられます。

温熱療法には、温湿布やホットパック、温浴などがあります。

冷却療法には、アイスパックや冷却スプレーなどがあります。痛みが強い場合は、冷却療法を行うことで炎症を抑え、痛みを軽減することができます。痛みが落ち着いてきたら、温熱療法に切り替えることで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ、回復を促すことができます。

装具療法(サポーター、杖など)

装具療法は、サポーターや杖などの装具を使用して、患部を支えたり、負担を軽減したりすることで、痛みを和らげる方法です。

サポーターは、関節を安定させ、過度な動きを制限することで、痛みを軽減します。

杖は、体重を分散させ、患部への負担を軽減する効果があります。これらの装具は、手術直後から使用される場合もあれば、リハビリテーションの過程で使用される場合もあります。肥満の方は、体重増加が膝関節への負担を増大させるため、装具の使用が特に有効です。

▼変形性膝関節症の医療用サポーターについて、以下でも解説しています。

また、セメントレス人工膝関節置換術を受けた後も、関節の安定性を高めるために装具が使用されることがあります。

セメントレス人工膝関節置換術とは、骨セメントを使用せずに人工関節を骨に固定する方法で、長期的な安定性が期待できます。

近年の研究では、特にBMI35以上の肥満患者さんにおいて、セメントレス人工膝関節置換術は、セメント固定と比較して、同等かそれ以上のインプラント生存率と、無菌性ゆるみの発生率の低さを示唆する報告があります。

日常生活での注意点(体重管理、運動方法など)

日常生活での注意点を守ることも、手術後の痛みを管理し、再発を予防するために重要です。

適切な体重管理は、膝関節への負担を軽減し、痛みを和らげる効果があります。

また、適度な運動は、関節の柔軟性を維持し、筋力を強化するのに役立ちます。一方で、過度な運動や無理な姿勢は、痛みを悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

例えば、階段の上り下りや正座などの動作は、膝関節に大きな負担をかけるため、術後しばらくは控える必要があります。

日常生活における注意点を守り、適切な運動療法を行うことで、良好な経過をたどり、快適な生活を送ることができるようになります。

まとめ

変形性膝関節症手術後の痛みは、術後の経過や個人差によって大きく異なり、数週間から数ヶ月、場合によっては1年以上続くこともあります。

痛みの種類も鋭い痛みやしびれなど様々です。炎症による痛みには冷却療法、組織修復に伴う痛みにはリハビリ、慢性的な痛みには温熱療法や薬物療法が有効です。

日常生活では、体重管理や適度な運動を心がけ、痛みを悪化させる動作は避けましょう。

医師と相談しながら、薬物療法、理学療法、装具療法などを組み合わせ、ご自身に合った方法で痛みを管理し、快適な生活を取り戻しましょう。

参考文献

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  2. Nguyen TA, Hogden A, Khanna A, Kuah D. “Efficacy of adipose-derived stem cells and stromal vascular fraction for pain relief in Kellgren-Lawrence grade II-III knee osteoarthritis: A systematic review (2019-2024).” Journal of orthopaedics 70, no. (2025): 95-106.
  3. Hu Q, Jiang J, Li Q, Lu S, Xie J. “A systematic review and meta-analysis examining alterations in medial meniscus extrusion and clinical outcomes following high tibial osteotomy.” Journal of orthopaedics 68, no. (2025): 121-130.
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