ゴルフを愛するあなた、変形性膝関節症の痛みに悩まされていませんか?
生涯スポーツとして人気のゴルフですが、膝の痛みでプレーを諦めざるを得ない状況は、想像するだけで辛いものです。
日本では、40歳以上のゴルファーの約6割が変形性膝関節症を抱えているというデータも存在します。しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。適切な対策を講じることで、痛みを軽減しながらゴルフを続けることは可能です。
この記事では、変形性膝関節症でもゴルフを諦めたくないあなたのために、スイングフォーム改善から最新の再生医療まで、痛みを管理しながらゴルフを楽しむための5つのポイントと、症状の進行を抑える4つの対策を詳しく解説します。
ゴルフと共に、充実した人生を歩み続けるためのヒントがここにあります。
目次
変形性膝関節症でゴルフを続けるための5つのポイント

ゴルフは生涯楽しめるスポーツとして人気ですが、変形性膝関節症になるとプレー中に痛みを感じ、プレーの継続を諦めてしまう方もいらっしゃいます。しかし、適切な対策を講じることで、痛みを管理しながらゴルフを楽しむことは可能です。
この章では、変形性膝関節症と診断された方、または膝に不安を抱えている方が、ゴルフを長く続けるための5つのポイントを紹介します。
膝に負担をかけにくいスイングフォームを身につける
変形性膝関節症になると、膝関節の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合って炎症や痛みを引き起こします。ゴルフのスイングは、この膝関節に大きな負担をかける動作です。
特に、体重移動や体の回転を伴うスイングは、膝をねじる動作につながりやすく、痛みを悪化させる可能性があります。負担がどのように膝にかかるのかというと、スイング中に膝が内側に入ってしまう、いわゆる「ニーイン」という状態になりやすいからです。このニーインは、膝の内側の軟骨に過剰な圧力をかけ、炎症や痛みを悪化させる原因となります。
そこで重要なのが、膝への負担を軽減するスイングフォームを身につけることです。
具体的には、上半身と下半身の捻転差を少なくし、腰の回転でスイングするイメージを持つことが大切です。また、バックスイングで体重を右足に乗せすぎず、左右均等に体重を配分することで、膝への負担を軽減できます。
体重移動をスムーズに行い、下半身の安定性を保つことが重要です。アドレス時に両膝を軽く曲げ、つま先はやや外側に向けるようにすると、スイング中の膝への負担を軽減することができます。
さらに、スイング中は下半身の軸を意識し、上半身の動きに連動させてスムーズに回転させることで、膝へのねじれを最小限に抑えることができます。
プロの指導を受けるなどして、ご自身の体に合ったスイングフォームを身につけるようにしましょう。
ラウンド前後の適切なウォーミングアップとクールダウン
ゴルフのプレー前後には、ウォーミングアップとクールダウンを必ず行いましょう。
ウォーミングアップは、体温を上げ、筋肉の柔軟性を高めることで、怪我の予防につながります。
具体的には、ストレッチや軽いジョギング、素振りなどが効果的です。特に、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)やハムストリングス(太ももの裏の筋肉)、ふくらはぎのストレッチは入念に行いましょう。これらの筋肉は、膝関節の安定性に大きく関わっているため、柔軟性を高めることで膝への負担を軽減できます。
クールダウンは、プレー後の筋肉の疲労を回復させる効果があります。軽いストレッチやウォーキングでクールダウンを行いましょう。クールダウンを行うことで、筋肉の炎症や痛みを軽減し、回復を促進することができます。
入念なウォーミングアップとクールダウンを行うことで、ゴルフによる膝への負担を最小限に抑え、変形性膝関節症の進行を予防することに繋がります。
痛みが出にくいゴルフシューズやインソールの活用
ゴルフシューズやインソール選びも、変形性膝関節症と付き合っていく上で重要なポイントです。
スパイクが多いタイプのゴルフシューズは、地面をしっかりグリップできる一方、膝関節への負担も大きくなってしまいます。スパイクの数が少ない、またはスパイクレスのゴルフシューズを選ぶことで、膝への負担を軽減できます。近年では、スパイクレスシューズの性能も向上しており、グリップ力と快適性を両立した製品が多く販売されています。
また、インソールは足裏のアーチをサポートし、膝関節への衝撃を吸収する役割を果たします。足の形に合ったインソールを選ぶことで、歩行時の安定性を高め、膝への負担を軽減することができます。
インソールを選ぶ際には、ご自身の足型を測定し、適切なアーチサポート機能を持つものを選ぶようにしましょう。
▼変形性膝関節症のインソール効果について、以下でも解説しています。
変形性膝関節症、インソール(足底板)の効果とは?【整形外科医が解説】
サポーターやテーピングで膝関節をサポートする
変形性膝関節症の症状が進行すると、膝関節の安定性が低下し、痛みが増強する傾向があります。
サポーターやテーピングは、膝関節を外部からサポートすることで、安定性を高め、痛みを軽減する効果が期待できます。
サポーターは、膝関節の動きを制限することで、過度な負担がかかるのを防ぎます。
テーピングは、膝関節の周囲の筋肉や靭帯をサポートし、関節の安定性を高めます。
症状やプレイスタイルに合わせて、適切なサポーターやテーピングを選びましょう。
▼変形性膝関節症におすすめのサポーターを以下でもご紹介しています。
変形性膝関節症の膝サポーター|おすすめの選び方と効果を医師が解説!
症状に応じた適切な治療とセルフケア
変形性膝関節症の治療は、保存療法が基本となります。保存療法には、運動療法、薬物療法、装具療法などがあります。
運動療法では、膝関節周辺の筋肉を強化することで、関節の安定性を高めます。
薬物療法では、痛みや炎症を抑える薬を服用します。
装具療法では、膝サポーターや足底板などを用いて、膝関節への負担を軽減します。これらの治療法は、症状の進行度合いによって適切な方法を選択する必要があります。
また、非変性II型コラーゲン(UC-II)などの栄養補助食品は、軟骨の保護や再生に効果が期待できるため、セルフケアの一環として摂取を検討してもよいでしょう。研究によると、UC-IIは経口摂取することで体内に吸収され、免疫系の調整を通じて軟骨の分解を抑制し、再生を促進する可能性が示唆されています。

プレー後のケアルーティン
ゴルフを長く続けるためには、プレー後のケアが非常に重要だと感じています。
特に「プレー直後の15分間のアイシング」と「2時間後からの温熱療法」の組み合わせが効果的です。これにより初期の炎症反応を抑えつつ、その後の血流を促進できます。
私はゴルファーの患者さんに「クラブハウスで15分間のアイスパック」と「帰宅後の入浴やホットパック」という具体的なルーティンを指導していますが、「このケア方法を習慣にしてから、翌日の膝の調子が格段に良くなりました」という声をよく聞きます。
お悩みの方はぜひお試しくださいね。
変形性膝関節症の進行を抑えるための4つの対策

ゴルフを長く楽しむためには、変形性膝関節症の進行を少しでも遅らせることが重要です。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合うことで痛みや炎症を引き起こす病気です。進行すると、正座や階段の昇降が困難になるなど、日常生活にも支障をきたすことがあります。
この章では、変形性膝関節症の進行を抑えるための4つの対策をご紹介します。
これらの対策を参考に、ご自身の症状や生活スタイルに合った方法を取り入れてみてください。
非変性II型コラーゲン(UC-II)など、軟骨の保護・再生を促す成分を摂取する
変形性膝関節症の進行を抑えるためには、すり減ってしまった軟骨を保護し、再生を促すことが重要です。そのために、非変性II型コラーゲン(UC-II)という成分を含む栄養補助食品の摂取が有効です。
UC-IIは、私たちの体の中にある軟骨と同じ構造を持つコラーゲンです。通常、コラーゲンは加熱処理によって変性しますが、UC-IIは非変性のため、体内で吸収されやすく、軟骨の保護・再生に効果を発揮します。
UC-IIは、免疫系の調整を通じて軟骨の分解を抑制し、再生を促進する可能性が示唆されています。
1日40mgのUC-IIを摂取することで、炎症や痛みの軽減、膝の機能改善、生活の質(QOL)の向上に繋がるという研究結果も報告されています。
▼変形性膝関節症に対するコラーゲン摂取効果について、以下でも解説しています。
【専門医監修】変形性膝関節症とコラーゲン摂取の効果とは?痛みを和らげる最新研究
ヒアルロン酸注射、PRP療法、幹細胞治療などの再生医療を検討する
保存療法で効果が不十分な場合は、ヒアルロン酸注射や再生医療という選択肢もあります。再生医療とは、損傷した組織の修復や再生を促す治療法です。変形性膝関節症に対してはPRP療法、幹細胞治療などが行われています。
ヒアルロン酸注射: ヒアルロン酸は、関節液の主成分であり、関節の動きを滑らかにする役割を担っています。変形性膝関節症では、このヒアルロン酸が減少しているため、注射によってヒアルロン酸を補充することで、痛みや炎症を軽減する効果が期待できます。1週間ごとに計3~5回注射するのが一般的です。
PRP療法: PRP療法は、患者さん自身の血液から採取した多血小板血漿(PRP)を関節内に注射する治療法です。PRPには、組織の修復を促進する成長因子が豊富に含まれており、軟骨の再生を促す効果が期待できます。
幹細胞治療: 幹細胞治療は、脂肪などから採取した幹細胞を関節内に注射する治療法です。幹細胞は、さまざまな細胞に分化する能力を持つ細胞であり、軟骨細胞に分化することで、軟骨の再生を促す効果が期待できます。幹細胞治療には、脂肪由来幹細胞(ADMSC)を用いた治療と間質血管画分(SVF)を用いた治療があります。ADMSC療法は、最大24ヶ月にわたって疼痛軽減と関節機能の改善効果が持続し、SVF療法と比較して軟骨再生効果が高いことが示されています。SVF療法は高齢者やBMI30以上の肥満の患者さんにも適用可能です。
▼変形性膝関節症に対する再生医療について以下でも解説しています。
変形性膝関節症の最新治療!再生医療の種類と特徴とは【医師が解説】
高脛骨骨切り術(HTO)で膝への負担を軽減する
高脛骨骨切り術(HTO)は、膝関節にかかる負担を軽減するために行われる手術です。
O脚によって膝の内側に負担が集中している場合、脛骨(すねの骨)を切って骨の形を変えることで、負担を軽減し、痛みを改善することができます。
特に、比較的若い患者さんで、O脚が強い場合に有効な治療法です。HTOによって、内側半月板突出が改善し、膝の機能や痛みが改善することが報告されています。
▼変形性膝関節症治療の選択肢として、骨切り術について以下でも解説しています。
【整形外科医監修】変形性膝関節症治療の選択肢:骨切り術のメリットとリスク
痛みが強い場合は人工膝関節置換術を検討する
保存療法や他の手術療法で効果がない場合、人工膝関節置換術を検討します。
これは、損傷した膝関節を人工関節に置き換える手術です。
人工膝関節には、耐久性があり、長期間にわたって安定した機能を維持できる素材が用いられています。この手術によって、痛みを軽減し、日常生活の活動性を向上させることができます。
人工膝関節置換術には、ロボット支援型人工膝関節置換術(RA-TKA)とナビゲーション支援型人工膝関節置換術(NA-TKA)がありますが、両者とも同等の効果があると報告されています。
▼変形性膝関節症に対する人工関節術について、詳しく解説しています。
変形性膝関節症:人工関節手術から入院までの費用内訳とは
まとめ

この記事では、変形性膝関節症を抱えながらもゴルフを続けたい方のために、痛みを軽減するための具体的な方法を紹介しました。
スイングフォームの改善や適切なウォーミングアップ・クールダウンはもちろん、シューズやインソールの工夫も大切です。
さらに、サポーターやテーピング、UC-IIなどの栄養補助食品、再生医療、高脛骨骨切り術、人工膝関節置換術など、さまざまな治療法や対策があります。
ご自身の症状や状況に合った方法を選び、専門医と相談しながら、ゴルフを長く楽しんでいきましょう。焦らず、無理なく、ゴルフライフを満喫してくださいね!
参考文献
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- Hu Q, Jiang J, Li Q, Lu S and Xie J. “A systematic review and meta-analysis examining alterations in medial meniscus extrusion and clinical outcomes following high tibial osteotomy.” Journal of orthopaedics 68, no. (2025): 121-130.
- Gupta A and Maffulli N. “Undenatured type II collagen for knee osteoarthritis.” Annals of medicine 57, no. 1 (2025): 2493306.
- Yeo KZ, Yeo MH, Seah SJ, Lim WS and Lie DT. “Partial lateral patellar facetectomy is beneficial for patients with patellofemoral osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis.” Journal of orthopaedics 66, no. (2025): 135-145.

-情報提供医師
松本 和樹 Kazuki Matsumoto
和歌山県立医科大学 医学部 卒業
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