膝の痛み、特にO脚気味の方、要注意です!
実はそれ、内反膝が原因の変形性膝関節症かもしれません。
日本人は骨格的に内反膝になりやすい体質のため、他人事ではありません。
内反膝による変形性膝関節症の早期発見、早期治療は、健康寿命を延ばす鍵となります。 加齢、肥満、過去の怪我、遺伝… 思い当たる節はありませんか?
この記事では、この記事では、内反膝による変形性膝関節症の特徴や症状、原因と進行、そして最新の治療法まで、整形外科医がわかりやすく解説します。
さらに、日常生活で簡単にできる予防ケアや注意点もご紹介。 将来の不安を解消し、健康的な毎日を送りましょう。
膝の痛みを我慢せず、快適な生活を送るためのヒントがここにあります。
目次
内反膝による変形性膝関節症を理解する3つのポイント

ここでは、内反膝による変形性膝関節症について、整形外科医の立場からわかりやすく解説します。
特に、退職後のご高齢の方々にとって、膝の痛みは活動性を損ない、生活の質を低下させる大きな要因となります。この記事を通して、変形性膝関節症の理解を深め、適切な対策を講じていただければ幸いです。
内反膝とは?変形性膝関節症との関係性
内反膝とは、膝が外側に曲がっている状態、いわゆるO脚のことを指します。両膝がくっつかずに、両足首がくっついてしまう状態を想像してみてください。これが内反膝です。そして、変形性膝関節症は、膝関節のクッションの役割を果たす軟骨がすり減り、炎症や痛みを引き起こす病気です。
内反膝の状態では、膝関節の内側に過剰な負担がかかります。これは、ちょうど傾いたテーブルの片方の脚に負担が集中するようなものです。この負担の偏りが、軟骨のすり減りを加速させ、変形性膝関節症へと進行しやすくなります。
日本人は欧米人に比べて骨盤の形状や筋肉の付き方の関係で、もともと軽いO脚の人が多く、内反膝になりやすい傾向があります。
▶なぜO脚は変形性膝関節症になりやすいの?原因と対策も併せてお読みください。
内反膝による変形性膝関節症の原因と進行
内反膝による変形性膝関節症の主な原因は、加齢による軟骨の老化です。軟骨は、衝撃を吸収するクッションのような役割を果たしています。しかし、年齢を重ねるにつれて、軟骨の水分が失われ、弾力性が低下し、すり減りやすくなります。これは、まるで使い古したスポンジがもろくなっていくようなイメージです。
内反膝の状態では、この老化した軟骨にさらに負担がかかり、すり減りが加速的に進行します。
また、肥満も大きなリスク要因です。体重が増加するほど、膝関節にかかる負担は大きくなり、軟骨のすり減りも早まります。さらに、過去に膝をケガしたことがある人や、遺伝的な要因も発症リスクを高めます。
また、女性は男性に比べて発症率が高い傾向にあります。これは、女性ホルモンの減少が軟骨の代謝に影響を与えるためと考えられています。以下でも詳しく解説しています。
▶変形性膝関節症と女性ホルモンの関係について
変形性膝関節症の初期症状は、立ち上がる時や歩き始めなどに軽い痛みを感じることです。進行すると、階段の上り下りや正座が困難になり、最終的には安静時にも痛みが続くようになります。軟骨のすり減りだけでなく、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起が生じたり、関節の隙間が狭くなったりすることもあります。
非変性II型コラーゲン(UC-II)という栄養補助食品の摂取が、変形性膝関節症の症状緩和に役立つ可能性が示唆されています。UC-IIは、炎症を抑え、軟骨の修復を促進する効果が期待されています。
▶変形性膝関節症とコラーゲン摂取の効果とは?痛みを和らげる最新研究も併せてご参考下さい。
内反膝による変形性膝関節症の治療法4選と予防ケア

膝の痛みは、日常生活の質を大きく左右する悩ましい問題です。特に、内反膝によって引き起こされる変形性膝関節症は、加齢とともに増加する傾向にあります。
今回は、内反膝による変形性膝関節症の治療法と予防ケアについて、整形外科医の立場から分かりやすく解説します。
保存療法:薬物療法、注射療法、リハビリテーション
保存療法は、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。内反膝による変形性膝関節症の初期段階では、まず保存療法が選択されることが一般的です。
- 薬物療法: 痛みや炎症を抑える薬剤を使用します。痛み止めとして、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。炎症が強い場合には、ステロイド薬が使用されることもあります。薬物療法は、他の保存療法と併用される場合もあります。
- 注射療法: ヒアルロン酸を関節内に注射することで、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減します。ヒアルロン酸は、関節液の主成分であり、関節のクッション機能を高める働きがあります。注射は、通常1週間に1回、計5回行います。
- リハビリテーション: 関節の動く範囲を広げたり、筋力トレーニングで膝周りの筋肉を鍛えたりすることで、膝への負担を減らし、安定性を高めます。理学療法士などの専門家の指導のもと、患者さん一人ひとりの状態に合わせた運動プログラムを作成し、実施することが重要です。温熱療法や電気刺激療法なども併用されることがあります。
これらの保存療法は、単独で行うこともありますが、組み合わせて行うことでより効果的な場合もあります。例えば、薬物療法で痛みをコントロールしながら、リハビリテーションで筋力強化を行うことで、より効果的に症状を改善できる可能性があります。
手術療法:関節鏡手術、人工関節置換術
保存療法で十分な効果が得られない場合や、症状が進行している場合には、手術療法が検討されます。
- 関節鏡手術: 関節内に小さなカメラを挿入し、関節内の状態を直接観察しながら行う手術です。損傷した軟骨や半月板などを修復したり、炎症を起こしている滑膜を取り除いたりします。関節鏡手術は、傷口が小さいため、体への負担が比較的少ない手術法です。
- 人工関節置換術: 損傷が激しい場合、痛みを伴う関節部分を人工関節に置き換える手術です。人工関節は、耐久性に優れた金属やセラミック、ポリエチレンなどで作られています。手術後は、リハビリテーションを行い、人工関節に慣れる必要があります。
どの手術方法が適切かは、患者さんの状態や年齢、活動レベルなどを考慮して決定されます。
最新治療:再生医療、遺伝子治療
近年、再生医療や遺伝子治療といった新しい治療法の研究も進んでいます。
- 再生医療: 患者さん自身の細胞や組織を用いて、損傷した組織を再生させる治療法です。変形性膝関節症の治療では、脂肪由来幹細胞(ADMSC)や間質血管画分(SVF)などを用いた治療が研究されています。これらの細胞は、軟骨の再生を促進する効果が期待されています。特にADMSC療法は、62歳未満の患者さんで長期的な疼痛軽減と関節機能の維持に高い有効性を示し、軟骨再生の可能性が高いとされています。一方、SVF療法は、高齢者や肥満の患者さんにも適用可能で、迅速な症状緩和が期待できます。
- 遺伝子治療: 遺伝子操作によって変形性膝関節症の原因となる遺伝子を修正することで、根本的な治療を目指す治療法です。まだ研究段階ですが、将来的には変形性膝関節症の治療に大きく貢献することが期待されています。
これらの治療法は、現在研究段階であり、一般的に行われているわけではありません。今後の研究の進展に期待が寄せられています。
内反膝による変形性膝関節症の予防ケアと日常生活の注意点
変形性膝関節症は、日常生活での適切なケアによって進行を遅らせたり、痛みを軽減したりすることができます。
- 体重管理: 肥満は膝関節への負担を増大させるため、適正体重を維持することが重要です。適切な食事と適度な運動を心がけましょう。
- 適切な運動: ウォーキングや水中ウォーキングなど、膝関節への負担が少ない運動を継続的に行うことで、膝周りの筋肉を強化し、関節の安定性を高めることができます。
- 日常生活動作の改善: 椅子から立ち上がるときや階段を上り下りするときは、膝を深く曲げすぎないように注意しましょう。また、正座を長時間続けることは避け、洋式トイレを使用するなど、膝関節への負担を軽減する工夫を心がけましょう。
- 適切な靴: クッション性の良い靴を履くことで、膝関節への衝撃を吸収し、負担を軽減することができます。

インソールの驚くべき効果
内反膝に対する保存療法で私が特に効果的だと感じているのが、オーダーメイドの足底板(インソール)です。内側に傾いた膝を外側に誘導するような工夫を施したインソールは、荷重線を修正し膝の内側への負担を軽減します。
私は患者さんの足型と立位姿勢を詳しく評価し、数ミリ単位で高さや角度を調整したインソールを作成します。「インソールを使い始めてから1ヶ月で膝の痛みが半減し、1年後には姿勢までも改善しました」という患者さんの声は、適切なインソールの効果を裏付けています。
▶足底板の効果や入手方法、適切な使い方についてはこちらもご参考くださいね。
これらの予防ケアは、変形性膝関節症の予防だけでなく、症状の進行を遅らせる効果も期待できます。日頃から意識して生活することで、快適な生活を送る助けとなるでしょう。
まとめ

この記事では、内反膝による変形性膝関節症について解説しました。内反膝はO脚とも呼ばれ、膝関節の内側に負担がかかりやすく、軟骨のすり減りを加速させ、変形性膝関節症へと進行しやすくなります。加齢や肥満、過去のケガなどが原因で発症リスクが高まり、初期は軽い痛みから始まり、進行すると日常生活にも支障をきたします。
治療法は、保存療法(薬物療法、注射療法、リハビリテーション)と手術療法(関節鏡手術、人工関節置換術)があり、症状や進行度に合わせて選択されます。また、再生医療や遺伝子治療といった新しい治療法の研究も進んでいます。
予防ケアとしては、体重管理、適切な運動、日常生活動作の改善、適切な靴選びなどが重要です。内反膝による変形性膝関節症は早期発見・早期治療が大切です。少しでも膝に違和感を感じたら、整形外科を受診し、専門医に相談しましょう。快適な日常生活を送るためにも、日頃から膝の健康に気を配り、適切なケアを心がけていきましょう。
参考文献
- Gupta A, Maffulli N. “Undenatured type II collagen for knee osteoarthritis.” Annals of medicine 57, no. 1 (2025): 2493306.
- Hiruthyaswamy SP, Bose A, Upadhyay A, Raha T, Bhattacharjee S, Singha I, Ray S, Nicky Macarius NM, Viswanathan P, Deepankumar K. “Molecular signaling pathways in osteoarthritis and biomaterials for cartilage regeneration: a review.” Bioengineered 16, no. 1 (2025): 2501880.
- Nguyen TA, Hogden A, Khanna A, Kuah D. “Efficacy of adipose-derived stem cells and stromal vascular fraction for pain relief in Kellgren-Lawrence grade II-III knee osteoarthritis: A systematic review (2019-2024).” Journal of orthopaedics 70, no. (2025): 95-106.

-情報提供医師
松本 美衣 Mie Matsumoto
和歌山県立医科大学 医学部 卒業
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