スクワットでミシミシ膝が鳴る原因は?変形性膝関節症の疑いも【整形外科医が解説】

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スクワットで膝がミシミシ鳴る…それ、もしかしたら変形性膝関節症の初期症状かもしれません。

階段の上り下りや立ち上がりで、かすかな違和感や痛みを感じていませんか?

実は、変形性膝関節症は初期症状がほとんどない場合もあり、気づかないうちに進行していることも少なくありません。世界中で約6億5400万人が罹患していると言われるこの疾患、実は45歳以上の方で活動時の膝関節痛があり、朝のこわばりが30分未満の場合、その可能性が高まると言われています。

この記事では、ミシミシ音の原因から変形性膝関節症の初期・中期・末期の症状、そしてスクワットなどの運動時の注意点、日常生活での予防策まで、現役医師がわかりやすく解説します。

ご自身の膝の状態をチェックし、健康な膝を長く保つためのヒントを見つけてみませんか?

スクワットで膝がミシミシ鳴る原因4選と変形性膝関節症との関係

変形性膝関節症 スクワット

スクワットをしていると、膝からミシミシと音が鳴ることがありますよね。特に、階段の上り下りなどで膝に違和感を感じている方は、「変形性膝関節症なのでは…?」と不安になるかもしれません。

実は、膝の音は誰にでも起こりうる現象です。加齢と共に、特に気にされる方が増えますが、音が鳴ること自体は必ずしも悪いことではありません。

音の種類や、それに伴う症状によって、何が起きているのかを推測することができます。

今回は、スクワット中に膝がミシミシ鳴る原因を4つご紹介し、変形性膝関節症との関係性について、現役の医師がわかりやすく解説します。

動き始めのミシミシ音は?

椅子から立ち上がったり、動き始めの一歩で膝からミシミシと音が鳴る場合、関節液の粘り気が変化していたり、関節の周りの組織が少しくっついていたりする可能性があります。

これは、長年使ってきたドアの蝶番が、動き出す時にキーキーと音を鳴らすようなイメージです。高齢になると関節液の性質が変化しやすく、このような音が鳴りやすくなります。

また、長時間同じ姿勢を続けていると、関節の周りの組織が癒着し、動き始めにミシミシと音が鳴ることもあります。

これらのミシミシ音は、多くの場合、生理的な現象で、特に心配する必要はありません。しかし、痛みが続く場合は、医療機関への受診をおすすめします。

同じ体勢でのミシミシ音は滑液包炎の可能性

同じ体勢を続けているときに膝がミシミシ鳴る場合は、滑液包炎の可能性があります。

滑液包とは、関節の動きをスムーズにするための、いわばクッションのようなものです。関節には、骨と骨の摩擦を軽減するために、滑液という潤滑油の役割を果たす液体で満たされた袋状の組織である滑液包が存在します。

特定の姿勢を長時間続けると、この滑液包に負担がかかり、炎症を起こすことがあります。

滑液包炎になると、ミシミシ音に加えて、痛みや腫れが現れることもあります。

スクワットのように、膝を深く曲げる運動をするときは、滑液包炎になりやすいので注意が必要です。

クリック音は半月板損傷の可能性

クリック音とは、パソコンのクリックの音のような「コリッ」「キリッ」としたような音のことです。

このような異常音がした場合は、半月板損傷の可能性があります。

半月板は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある、C型の軟骨で、クッションの役割を果たしています。この半月板が損傷すると、関節の中で引っかかりが生じ、クリック音やバキッという異音が発生することがあります。

半月板損傷は、スポーツなどでの急な動作や、加齢による変性によって起こります。半月板が損傷すると、膝の痛みや不安定感、急に膝が動かなくなる「ロッキング」といった症状が現れることもあります。

半月板損傷は比較的よく見られる疾患で、成人の約12%に影響を与えます。40歳未満ではスポーツなどの外傷で起こりやすく、40歳以上では加齢変化による変性疾患として起こることが多いです。

パキポキ音は?

関節を動かしたときにパキパキ音、ポキポキ音が鳴る場合、関節の中で気泡が弾ける音であることが多いです。これはクラッキング音とも呼ばれ、必ずしも異常を示すものではありません。若い方にもよく見られる現象で、特に心配する必要はありません。

しかし、痛みが伴う場合や、頻繁に音が鳴る場合は、関節の不安定性を示している可能性もあるため、一度医療機関を受診してみることをおすすめします。

変形性膝関節症の場合のミシミシ音の特徴

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、骨と骨が直接ぶつかり合うことで痛みや炎症を引き起こす病気です。

変形性膝関節症になると、膝の曲げ伸ばしの際にミシミシ、ゴリゴリという音が鳴ることがあります。

この音は、軟骨のすり減りによって関節の表面が粗くなっているために発生します。

初期には、動き始めに音が鳴る程度ですが、病気が進行すると、常に音が鳴るようになります。また、痛みや腫れ、可動域の制限などの症状も伴うようになります。

変形性膝関節症が疑われる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

45歳以上の患者さんで、活動に伴う膝関節痛があり、朝のこわばりが30分未満の場合は、変形性膝関節症の可能性が高いとされています。世界中で約6億5400万人が変形性膝関節症に罹患しているという推定値もあります。

変形性膝関節症の症状と対策5選

変形性膝関節症 スクワット

膝の痛み、特にスクワットなどでミシミシと音が鳴ると、変形性膝関節症ではないかと不安になりますよね。

この記事では、変形性膝関節症の初期、中期、末期の症状を段階的にご説明し、早期発見の重要性について解説します

さらに、スクワットなど運動時の注意点や日常生活でできる予防と対策についても詳しく解説しますので、一緒に見ていきましょう。

変形性膝関節症の初期症状

初期の変形性膝関節症は、自覚症状がほとんどない場合も珍しくありません。

初期症状としては、立ち上がったり、歩き始めの一歩で膝に軽い痛みや違和感を感じることがあります。ただ、少し動くと治まってしまうため、「気のせいかな?」と見過ごしてしまう方も多いです。階段の上り下りや、しゃがんで立ち上がる動作で、膝に違和感や軽い痛みを感じることもあります。

朝のこわばりも初期症状の一つですが、30分以内に治まることが多いです。

この段階では、軟骨のすり減りはまだ軽度で、レントゲン検査でも異常が見られないこともあります。しかし、まさにこの時期が早期発見・早期治療の鍵となります。

初期のうちに適切なケアを始めることで、症状の進行を遅らせ、健康な膝を長く保つことができるのです。

変形性膝関節症の中期症状

中期になると、痛みが徐々に強くなり、正座や階段の上り下りが辛くなってきます。

「膝が重だるい」「何となく違和感がある」といった漠然とした症状から、具体的な痛みに変わっていくのがこの時期の特徴です。

膝の曲げ伸ばしがしにくくなる、つまり関節の可動域が狭くなるのも中期に見られる症状です。炎症によって膝に水が溜まり、腫れて熱を持つこともあります。安静にしていても鈍い痛みを感じることがあり、日常生活にも支障が出てきます。

例えば、買い物に出かけるのが億劫になったり、趣味のスポーツを楽しめなくなったりするかもしれません。

中期では、軟骨のすり減りが進行し、レントゲン検査で関節の隙間が狭くなっているのが確認できます。適切な治療を受けなければ、症状はさらに進行し、日常生活への影響も大きくなります。

変形性膝関節症の末期症状

末期になると、常に強い痛みを感じ、歩くことも困難になります。膝の関節が変形し、O脚になることもあります。

安静にしていても痛みが治まらず、夜も眠れないほどの激痛に悩まされる方もいます。軟骨がほとんどすり減ってしまい、骨と骨が直接ぶつかり合うことで、強い痛みや炎症を引き起こします。

末期の変形性膝関節症は、日常生活に大きな制限をもたらします。散歩や買い物などの簡単な外出も困難になり、介護が必要になるケースも少なくありません。この段階では、手術が必要となるケースが多く、人工関節置換術などが検討されます。

活動に伴う膝関節痛があり、朝のこわばりが30分未満の45歳以上の患者さんの場合、変形性膝関節症の可能性が高いとされており、世界中で約6億5400万人が罹患しているという推定値もあります。

スクワットなど運動時の注意点

変形性膝関節症と診断された場合でも、適切な運動は症状の改善に役立ちます。

しかし、間違ったフォームや過度な運動は、かえって症状を悪化させる可能性があります。スクワットを行う際は、膝がつま先より前に出ないように注意し、痛みを感じたらすぐに中断しましょう。

ウォーキングや水中歩行など、膝への負担が少ない運動を選ぶことも大切です。また、運動前後のストレッチも忘れずに行いましょう。

松本 和樹
松本 和樹

スクワットの誤解と正しい理解

私が診療で感じるのは、変形性膝関節症の患者さんの多くが「スクワットは膝に悪い」と思い込んでいることです。確かに間違ったフォームでの深いスクワットは膝に負担をかけますが、正しく行えば膝の周りの筋肉を効果的に強化できる優れた運動なのです。

変形性膝関節症の患者さん向けに「ミニスクワット」と呼ぶ膝の軽い曲げ伸ばし運動を指導していますが、これは保険診療のリハビリテーションの一環として実施可能です。

変形性膝関節症の効果的な筋トレ方法については、以下でもご紹介していますので、ぜひご参考にされてくださいね。
【写真で解説】変形性膝関節症の効果的な筋力トレーニング5選!

高齢者の方や膝に不安のある方は、無理のない範囲で運動を行い、痛みが出た場合はすぐに中止するようにしてください。

日常生活でできる予防と対策

変形性膝関節症の予防と対策には、日常生活での工夫も重要です。

まず、体重管理は非常に大切です。体重が増えると膝への負担が大きくなり、症状が悪化しやすくなります。適正体重を維持するために、バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。

▼変形性膝関節症の適切な体重管理の方法について、以下でも解説しています。

また、正座やあぐらなど、膝に負担がかかる姿勢は避け、椅子に座る際は、足を組まないようにしましょう。和式の生活習慣は変形性膝関節症のリスクを高める可能性があるため、洋式の生活スタイルへの移行を検討することも有効です。

さらに、クッション性の良い靴を履くことも、膝への衝撃を吸収し、痛みを軽減するのに役立ちます。

まとめ

変形性膝関節症 スクワット

この記事では、スクワット中のミシミシ音の原因を4つ解説し、変形性膝関節症との関係性についても触れました。音の種類や症状によって原因は様々で、必ずしも心配する必要はありませんが、痛みを伴う場合は医療機関への受診をおすすめします。

変形性膝関節症は軟骨のすり減りによって起こり、進行すると日常生活にも支障をきたします。

初期症状を見逃さず、適切なケアを始めることが大切です。スクワットなどの運動は、正しいフォームで行い、痛みを感じたらすぐに中断しましょう。日常生活では、体重管理や膝に負担をかけない姿勢を心がけることで、変形性膝関節症の予防・改善に繋がります。

少しでも不安を感じたら、専門家に相談し、健康な膝を守っていきましょう。

参考文献

  1. Duong V, Oo WM, Ding C, Culvenor AG, Hunter DJ. Evaluation and Treatment of Knee Pain: A Review. JAMA 330, no. 16 (2023): 1568-1580.

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