変形性膝関節症への湿布の効果とは?整形外科医が解説

変形性膝関節症 湿布
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階段の上り下り、散歩… 膝の痛みで日常生活に支障が出ていませんか?

特に中高年世代で増加傾向にある変形性膝関節症は、世界で約6億5400万人が患うとも推定される、身近な病気です。 膝の軟骨がすり減ることで起こるこの症状は、放置すると安静時にも痛みが続くほど悪化することも。

そんな膝の痛みを和らげる手軽な方法として、湿布が広く使われています。しかし、鎮痛消炎湿布と冷感湿布では効果や使い方が異なります。

この記事では、整形外科医が湿布の種類、効果的な貼り方、注意点などを分かりやすく解説します。

正しい湿布の使い方で効果を最大限に活かし、快適な日々を取り戻すための知識を手に入れましょう。

変形性膝関節症と湿布の種類・効果を理解する3つのポイント

変形性膝関節症 湿布

膝の痛みは、日常生活に大きな影を落とします。特に、中高年の方々に多く見られる変形性膝関節症の痛みは、階段の上り下りや散歩など、日々の活動に支障をきたし、生活の質を低下させてしまうこともあります。

この記事では、変形性膝関節症の痛みを和らげる方法の一つとして広く使われている湿布について、整形外科医の立場から、その種類や効果、メカニズムをわかりやすく解説します。適切な湿布の使い方を理解して、快適な日常生活を取り戻すための一助としていただければ幸いです。

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ったり、変形したりすることで、痛みや腫れ、動きの制限が生じる病気です。

加齢とともに発症しやすいため、高齢者の方にとって身近な疾患と言えるでしょう。45歳以上で、活動に伴う膝関節痛があり、朝のこわばりが30分未満の場合、変形性膝関節症の可能性が高いと診断されます。世界中で約6億5400万人が罹患しているという推計もあります。

初期には、立ち上がったり、階段を上り下りしたりする時に痛みを感じることが多いですが、進行すると、安静時にも痛みが続くようになり、膝の変形が目立つようになります。

湿布の種類と特徴(鎮痛消炎湿布、冷感湿布など)

湿布には、大きく分けて「痛みや炎症を抑える鎮痛消炎湿布」「冷やして痛みを和らげる冷感湿布」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、症状に合わせて使い分けることが大切です。

  • 鎮痛消炎湿布: 炎症の原因物質であるプロスタグランジンという物質の生成を抑えることで、痛みや炎症を和らげます。成分としては、ジクロフェナクナトリウムやインドメタシンなどが含まれています。炎症を抑える効果が高いため、変形性膝関節症の急性期や慢性期の痛みに広く用いられています。


  • 冷感湿布: メントールなどの清涼感のある成分が含まれており、皮膚を冷やすことで痛みを軽減します。炎症を抑える効果は鎮痛消炎湿布に比べると弱いですが、炎症が起きていない時の痛みや、急性の痛み、熱感がある場合に効果的です。ひんやりとした感覚が気持ちよく、リフレッシュ効果も期待できます。


湿布が変形性膝関節症に効くメカニズム

湿布は、皮膚から薬剤が吸収され、痛みの原因となっている部分に直接作用することで効果を発揮します。

鎮痛消炎湿布は、炎症を引き起こす物質であるプロスタグランジンの生成を抑え、炎症そのものを鎮めることで、痛みや腫れを軽減します。

一方、冷感湿布は、皮膚の表面を冷やすことで、痛みを伝える神経の働きを弱め、一時的に痛みを感じにくくします。患部の熱感を抑える効果もあります。

湿布は、変形性膝関節症の痛みを一時的に和らげる効果はありますが、軟骨のすり減りを修復したり、変形を治したりする効果はありません。痛みが強い場合や長引く場合は、医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

松本 和樹
松本 和樹

湿布剤の成分による効果の違い

変形性膝関節症に使用される湿布にはさまざまな有効成分があり、その特性を理解することで効果的な選択ができることを、多くの患者さんとの関わりで実感しています。

例えば、インドメタシンやフェルビナクなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)成分は炎症を抑える効果が強く、炎症が主体の時期に効果的です。

一方、サリチル酸メチルやl-メントールなどの成分は血行促進や鎮痛効果があり、こわばりや慢性的な痛みに適していることが多いです。

60代の男性患者さんはインドメタシン湿布で皮膚かぶれを起こしていましたが、成分の異なるフェルビナク湿布に変更したところ、かぶれなく効果を得られるようになりました。

私はいつも患者さんに「痛みの性質」「皮膚の敏感さ」「過去の使用経験」などを詳しく聞き取り、最適な成分を選ぶようにしています。湿布選びは「痛みの質に合わせた成分選択」が重要であり、これが効果と副作用のバランスを左右すると考えています。

湿布の効果的な貼り方と注意点

変形性膝関節症 湿布

膝の痛みは、日常生活に大きな支障をきたしますよね。階段の上り下りや散歩など、些細な動作でさえ苦痛に感じ、やりたいことを諦めざるを得ないこともあるかもしれません。

湿布薬は、そんな膝の痛みを和らげるための身近なアイテムですが、正しく使わないと十分な効果が得られないばかりか、皮膚トラブルなどの副作用を引き起こす可能性もあります。

この記事では、変形性膝関節症の痛みを和らげる湿布の効果的な貼り方や注意点について、整形外科医の立場から詳しく解説します。湿布薬を正しく使い、快適な日常生活を送るための一助としていただければ幸いです。

湿布の正しい貼り方と場所(膝全体?痛む部分?)

湿布薬は、基本的に痛む場所に貼るのが効果的です。膝全体に痛みがある場合は、大きな湿布薬を使う、あるいは複数枚を組み合わせて貼ることも可能です。

痛みの場所は人それぞれ異なり、膝のお皿の周り、膝の裏側、太ももの前面など様々です。どの場所に貼るのが効果的かわからない場合は、自己判断せず、医師や薬剤師に相談しましょう。

湿布薬を貼る際は、まず皮膚を清潔にし、汗や水分をしっかりと拭き取ることが大切です。そして、シワにならないように丁寧に貼りましょう。関節部分に貼る場合は、関節の動きに合わせて湿布薬が伸縮するように、少し余裕を持たせて貼ると剥がれにくくなります。

湿布の交換頻度と使用期間

湿布薬は、通常1日に1回交換します。汗をかいたり、湿布薬が剥がれてきたりした場合は、その都度交換するようにしてください。

また、同じ場所に長時間貼り続けると、皮膚がかぶれたり炎症を起こしたりする可能性があります。そのため、同じ場所に連続して7日間以上貼らないように注意しましょう。

7日間使用しても症状が改善しない場合は、医師に相談することが重要です。自己判断で湿布薬の使用を続けることは避けてください。

湿布使用時の注意点と副作用(かぶれ、皮膚炎など)

湿布薬を使用する際には、いくつかの注意点があります。最も一般的な副作用は、皮膚のかぶれや皮膚炎です。湿布薬を貼った部分が赤くなったり、かゆくなったり、ヒリヒリしたりするなどの症状が現れた場合は、すぐに使用を中止し、医師や薬剤師に相談してください。

また、湿布薬の中には、光線過敏症を起こす成分が含まれているものもあります。光線過敏症とは、日光に当たると湿布薬を貼った部分が赤くなったり、水ぶくれができたりする症状です。湿布薬を使用している間は、なるべく日光に当たらないように注意し、外出する際は、湿布薬を貼った部分を衣類で覆うなどして保護しましょう。

湿布と他の治療法の併用(内服薬、注射、リハビリなど)

湿布薬は、他の治療法と併用することで、より高い効果が期待できます。

例えば、痛みや炎症を抑える内服薬と併用することで、痛みがより早く軽減されることがあります。また、ヒアルロン酸注射や運動療法、リハビリテーションと組み合わせることで、膝関節の機能改善にもつながります。

▼変形性膝関節症の痛みに効く市販薬について、こちらでもご紹介しています。

ご自身の症状に合った治療法を医師と相談しながら、湿布薬を効果的に活用していきましょう。

湿布の効果を高める生活習慣の改善(運動、食事など)

湿布薬の効果を高めるためには、生活習慣の改善も重要です。

適度な運動は、膝関節の周りの筋肉を強化し、関節の動きをスムーズにする効果があります。ウォーキングや水中ウォーキングなど、膝への負担が少ない運動を、無理のない範囲で行いましょう。

また、バランスの取れた食事を心がけることも大切です。肥満は膝関節への負担を増大させるため、適切な体重管理を心がけましょう。

▼変形性膝関節症におすすめの体重管理法については、こちらをご参考ください。

まとめ

変形性膝関節症 湿布

この記事では、鎮痛消炎湿布と冷感湿布の2種類の特徴や、それぞれの効果的な使い方を解説しました。

変形性膝関節症の痛みでお悩みの方にとって、湿布は手軽に使える痛み止めとして役立ちます。

湿布は痛みを一時的に和らげる効果がありますが、病気の根本的な治療にはなりません。 症状が改善しない場合や、強い痛みがある場合は、必ず医療機関を受診し、医師の診察を受けて適切な治療を受けましょう。

内服薬や注射、リハビリテーション、そして生活習慣の改善と組み合わせることで、湿布の効果を最大限に活かすことができます。 膝の痛みで不安な方は、まずはお気軽に整形外科を受診し、専門医に相談してみてください。早期の治療開始が、快適な生活を取り戻す近道です。

適切なケアで、痛みを和らげ、健康な膝を保ちましょう。

参考文献

  1. Duong V, Oo WM, Ding C, Culvenor AG, Hunter DJ. “Evaluation and Treatment of Knee Pain: A Review.” JAMA 330, no. 16 (2023): 1568-1580.

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