マラソン愛好家必見!ランニングによる変形性膝関節症の発症リスクと予防策

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ランニングは健康に良いと分かっていても、膝への負担が心配で躊躇していませんか?

特に、長年ランニングを続けている方や、最近走り始めた高齢者の方は、変形性膝関節症のリスクについて知っておくべきです。実は、ランニング中は体重の3~4倍もの衝撃が膝にかかり、これはアスファルトの上で連続ジャンプをしているようなもの。

毎日のランニングで、この負担が何十年も蓄積されるとどうなるか、想像してみてください。

この記事では、ランニングによる変形性膝関節症の発症リスクと、そのメカニズムを詳しく解説します。適切なランニングフォーム、シューズ選び、そして最新の予防策まで、あなたのランニングライフを長く続けるためのヒントが満載です。

加齢や遺伝的要因についても触れているので、今すぐチェックして、いつまでも健康的にランニングを楽しめる体づくりを目指しましょう。

ランニングによる変形性膝関節症リスクとメカニズム4選

ランニングによる変形性膝関節症リスクとメカニズム4選
ランニングによる変形性膝関節症リスクとメカニズム4選

ランニングは健康維持に効果的な運動として人気ですが、膝への負担も無視できません。

特に、長年のランニング愛好家や、定年後にランニングを始めた高齢者の方々は、加齢による軟骨の劣化も相まって、変形性膝関節症のリスクと隣り合わせです。

適切な知識を身につけることで、長くランニングを楽しみ続けられる可能性が高まりますので、ぜひこのまま読み進めてみてください。

ランニングフォームと膝への負担

ランニング中は、着地のたびに体重の3~4倍もの衝撃が膝にかかります。この衝撃は、ジャンプした時の着地の衝撃よりもはるかに大きく、アスファルトの上で連続ジャンプをしているようなものです。

これが毎日のように、何十年も繰り返されるとどうなるでしょうか。膝関節の軟骨は、この衝撃を吸収するために重要な役割を果たしていますが、長年の負担に耐えきれず、すり減ってしまうのです。

特に、かかとから着地する走り方は、膝への負担が大きいため注意が必要です。マラソンランナーのように、つま先から着地するフォアフット走法は、衝撃を吸収しやすく、膝への負担を軽減できます。

また、背筋を伸ばし、骨盤を立てることで、体幹が安定し、膝にかかる負担を分散させることができます。

さらに、1分間の着地回数(ケイデンス)を増やすことで、一歩ごとの衝撃を小さくし、膝への負担を軽減できることが多くの研究で示されています。目標は170~180ステップです。

しかし、急にケイデンスを上げると、フォームが崩れてしまい、かえって膝を痛める可能性があります。

ウォーキングの速度を上げるようなイメージで、1ヶ月程度かけて徐々に増やすようにしましょう。

膝関節の構造と変形性膝関節症の進行

膝関節は、大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(膝のお皿)の3つの骨から構成されています。これらの骨の表面は、軟骨と呼ばれる弾力のある組織で覆われています。軟骨は、骨と骨が直接こすれ合わないようにクッションの役割を果たし、スムーズな動きを可能にしています。

変形性膝関節症は、この軟骨がすり減ることで、骨と骨が直接こすれ合い、炎症や痛みを引き起こす病気です。

初期症状としては、歩き始めや立ち上がり時に膝に違和感や軽い痛みを感じることがあります。進行すると、安静時にも痛みを感じるようになり、正座や階段の昇降が困難になります。

末期になると、骨棘(こつきょく:骨が変形してできた突起)が形成され、関節の変形が目に見えるようになります。

軟骨自体には神経がないため、初期の段階では症状に気づかないまま進行してしまう場合もあります。そのため、ランニング後に膝に違和感を感じたら、早めに整形外科を受診することが大切です。

変形性膝関節症の進行に伴い、内側半月板突出(MME)が起こることがあります。高脛骨骨切り術(HTO)は、膝の変形を矯正し、MME値を効果的に減少させることが研究で示されています。HTOにより、膝関節機能の指標であるKOOSや、疼痛の指標であるVAS疼痛スコアも改善することが報告されています。

▼変形性膝関節症の骨切り術を検討されている方は、以下もご参考ください。

加齢や遺伝による影響

加齢は、変形性膝関節症の最も大きなリスク要因の一つです。

年齢を重ねるにつれて、軟骨を作る細胞の働きが弱まり、軟骨の水分が失われて弾力性が低下します。そのため、若い頃に比べて軟骨がすり減りやすくなります。

また、遺伝的な要因も変形性膝関節症の発症リスクに影響を与える可能性があると考えられています。両親や祖父母に変形性膝関節症の方がいる場合は、そうでない方に比べて発症リスクが高いと言えます。

他のスポーツとの比較:テニス、水泳など

ランニングは、他のスポーツと比較して、膝への負担が大きい運動です。

例えば、テニスは、急なストップやターンなどの動作で瞬間的に膝に負担がかかりますが、ランニングのように一定の衝撃が継続的に加わるわけではありません。

水泳は、浮力によって膝への負担が軽減されるため、変形性膝関節症になりにくいスポーツと言えるでしょう。水中ウォーキングや水中エアロビクスなどは、膝への負担が少ないため、変形性膝関節症の予防や進行抑制に効果的です。

▼変形性膝関節症におすすめの水中ウォーキングについて、以下でもご紹介しています。

松本 和樹
松本 和樹

走る頻度よりも回復期間

変形性膝関節症を抱えるランナーにとって、走る頻度よりも「走った後の十分な回復期間」が重要だと感じています。

例えば週5回走っている方には、週3回に減らして間に回復日を設けることを提案します。この「回復日」には膝に負担の少ない自転車やプールでのトレーニングを取り入れるのが理想的です。

「走る頻度を減らしたのに、かえって一回の走行距離と満足度が上がりました」という患者さんの言葉は、質を重視したアプローチの効果を示しています。

変形性膝関節症の予防と対策5選

変形性膝関節症の予防と対策5選
変形性膝関節症の予防と対策5選

いつまでも元気にランニングを楽しむためには、変形性膝関節症の予防が肝心です。加齢とともに膝関節の軟骨はすり減りやすくなり、若い頃と同じようにランニングを続けると、知らず知らずのうちに膝を痛めてしまう可能性があります。

日頃から膝への負担を軽減し、健康な状態を維持するための具体的な対策を5つご紹介いたします。ランニングを長く続けるためにも、ぜひこれらの対策を実践してみてください。

ランニング前の適切なウォーミングアップとクールダウン

ランニングを始める前には、ウォーミングアップで筋肉や関節を準備することが大切です。

ウォーミングアップを行うことで、筋肉の温度が上がり、血流が良くなります。これにより、筋肉や関節の柔軟性が向上し、怪我の予防につながります。

例えば、軽いジョギングを5~10分行う、ラジオ体操のように全身を動かす、股関節や膝関節を大きく回すなどの方法があります。

ランニング後には、クールダウンを行いましょう

クールダウンは、心拍数を徐々に落ち着かせ、疲労物質の排出を促す効果があります。軽いジョギングを5~10分行う、ゆっくりとストレッチを行うなどの方法が効果的です。

自分に合ったランニングシューズ選びのポイント

ランニングシューズは、膝への負担を軽減する上で非常に重要な役割を果たします。ご自身の足の形やランニングスタイルに合ったシューズを選ぶことで、変形性膝関節症の予防につながります。

まず、自分の足のアーチのタイプ(ハイアーチ、ノーマルアーチ、ローアーチ)を知ることが重要です。

アーチとは、土踏まずの部分のカーブのことです。専門のシューフィッターがいるお店で足の測定をしてもらうと、自分のアーチのタイプが分かります。アーチのタイプに合ったシューズを選ぶことで、足への負担を軽減し、膝への負担も軽減できます。

クッション性が高いシューズを選ぶことも大切です。クッション性が高いシューズは、着地時の衝撃を吸収し、膝への負担を和らげます。

さらに、自分の走るペースや距離、走る場所の地面の状態なども考慮してシューズを選びましょう。

速く走る人、長い距離を走る人、山道を走る人などは、それぞれに適したシューズがあります。

膝サポーターの効果的な使用方法

膝サポーターは、膝関節を支え、安定させることで、負担を軽減する効果があります。ランニング中に膝の痛みや不安定感がある場合は、サポーターの着用を検討してみましょう。

膝サポーターにはさまざまな種類があります。固定力の強いものから、動きをサポートするものまで、症状や目的に合わせて適切なサポーターを選びましょう。

サポーターのサイズが合っていないと、効果が十分に発揮されないばかりか、血行不良などを引き起こす可能性があります。必ず適切なサイズを選び、正しい装着方法で使いましょう。

▼変形性膝関節症におすすめのひざサポーターを以下でご紹介しています。

ストレッチや筋力トレーニングで膝をサポート

膝関節を支える筋肉を鍛えることで、膝への負担を軽減し、変形性膝関節症の予防に繋がります。

特に、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)や裏側の筋肉(ハムストリングス)、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋、ヒラメ筋)を鍛えることが重要です。

スクワットやレッグカール、カーフレイズなど、自宅で手軽に行えるトレーニング方法もあります。

▼変形性膝関節症におすすめの効果的なストレッチ方法について、以下で解説しています。

これらのトレーニングは、週に2~3回行うのがおすすめです。

また、ランニングの前後には、ストレッチを行い、筋肉の柔軟性を高めることで、怪我の予防に繋がります。

非変性II型コラーゲンや脂肪由来幹細胞治療などの最新治療法

変形性膝関節症の治療法には、保存療法(手術をしない治療)と手術療法があります。保存療法には、薬物療法、ヒアルロン酸注射、運動療法などがあります。

近年、非変性II型コラーゲンや脂肪由来幹細胞を用いた治療法が注目されています。

非変性II型コラーゲンは、経口摂取することで免疫反応を調整し、炎症や痛みを軽減する効果が期待されます。

研究によると、40mg/日の非変性II型コラーゲンを摂取することで、膝の痛みや関節の動きが改善したという報告があります。

▼変形性膝関節症に対するコラーゲンの摂取効果について、以下も併せてお読みください。

脂肪由来幹細胞治療は、患者さん自身の脂肪から採取した幹細胞を膝関節に注射する治療法です。幹細胞には、炎症を抑えたり、組織の修復を促進する効果が期待されます。

研究では、40歳以上の変形性膝関節症患者に脂肪由来幹細胞治療を行うことで、最大24ヶ月にわたって痛みが軽減し、関節の機能が改善したという報告があります。特に、62歳未満の患者さんでは効果が高い傾向が見られました。

▼変形性膝関節症に対する再生医療について気になる方は、以下もご覧ください。

これらの治療法は、症状の進行を抑え、日常生活の質を向上させる可能性を秘めています。

まとめ

変形性膝関節症 ランニング

ランニングは健康に良い一方、変形性膝関節症のリスクも伴います。特に、加齢やランニングフォーム、遺伝などが影響します。

適切なランニングフォーム、ウォーミングアップやクールダウン、自分に合ったシューズ選び、そして膝サポーターの活用は、膝への負担を軽減し、怪我を予防する上で重要です。

さらに、ストレッチや筋トレで膝関節周辺の筋肉を強化することも大切です。変形性膝関節症の治療には、保存療法や手術療法に加え、非変性II型コラーゲンや脂肪由来幹細胞治療などの最新治療法も登場しています。

これらの情報が、あなたのランニングライフを長く健康に楽しむための一助になれば幸いです。

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