膝の痛み、諦めていませんか? やりたいことを諦めざるを得ない、そんな経験をされた方もいるのではないでしょうか。
実は、その痛みを和らげる効果的な方法があります。それは「水中ウォーキング」。
水中の浮力を利用することで、なんと体重の最大70%もの負担軽減が期待できるのです。
この記事では、水中ウォーキングが変形性膝関節症に効果的な理由を医学的根拠に基づき解説。さらに、正しい方法や注意点も専門医監修のもと詳しくご紹介します。
痛みを我慢せず、快適な毎日を取り戻す第一歩を踏み出してみませんか?
目次
変形性膝関節症に水中ウォーキングが効果的な3つの理由

変形性膝関節症の痛みは、日常生活に大きな支障をきたします。階段の上り下りや散歩も苦痛になり、やりたいことを諦めざるを得ないこともあるでしょう。
膝の痛みを和らげる方法を探している方も多いのではないでしょうか。膝の痛みを我慢し続けると、活動量が減り、筋力が低下し、さらに痛みが悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
そこでおすすめしたいのが、水中ウォーキングです。水中ウォーキングは、陸上でのウォーキングに比べて膝への負担が少なく、筋力トレーニングや痛みの緩和にも効果的です。
この記事では、水中ウォーキングが変形性膝関節症に効果的な3つの理由を、医学的な根拠に基づいてわかりやすく解説します。
水中ウォーキングで膝への負担を軽減
水中ウォーキングは、陸上でのウォーキングに比べて、膝への負担を大幅に軽減できます。これは、水中で働く「浮力」のおかげです。浮力とは、水中で物体を浮かび上がらせる力のことで、水に浸かれば浸かるほど、体重が軽くなったように感じます。
具体的には、胸の高さまで水に浸かると、体重の約70%が支えられます。腰の高さまでだと約50%、膝の高さまでだと約30%も軽くなるのです。体重70kgの人が水中に入ると、胸の高さでは約20kg、腰の高さでは約35kg、膝の高さでは約50kgの負担で済む計算になります。
2008年の研究では、水中運動の方が陸上運動よりも、歩行前後の疼痛軽減効果が高いことが示されています。これは、水中での浮力が膝への負担を軽減し、痛みを和らげる効果を高めているためだと考えられます。
つまり、水中ウォーキングは、変形性膝関節症で痛む膝をさらに悪化させるリスクを抑えながら、運動できるという大きなメリットがあるのです。
水中ウォーキングで筋力と柔軟性を向上
水中ウォーキングは、筋力と柔軟性を同時に向上させることができる非常に効率の良い運動です。
水中は陸上と比べて抵抗が大きく、歩くだけでも自然に筋力トレーニングになります。
特に、太ももの前側にある大腿四頭筋、裏側にあるハムストリングス、そしてふくらはぎの筋肉などが鍛えられます。これらの筋肉は、膝関節を支える重要な筋肉です。これらの筋肉を鍛えることで膝の安定性が向上し、結果として痛みが軽減する効果が期待できます。
また、水の抵抗は関節の動きをスムーズにする効果もあります。水中では関節の可動域が広がりやすいため、柔軟性が向上し、関節の動きが滑らかになります。変形性膝関節症は、関節の軟骨がすり減り、炎症を起こすことで痛みが生じます。関節可動域の低下も症状の一つであり、水中ウォーキングで可動域を広げることは、痛みの改善のみならず、日常生活動作の改善にも繋がります。
水中ウォーキングで痛みの緩和と関節可動域の改善
水中ウォーキングは、膝の痛みを和らげ、関節可動域を改善する効果も期待できます。
水圧によるマッサージ効果は、血行を促進し、筋肉や関節の痛みが和らぎます。また、水温も重要です。温水を使うことで筋肉がリラックスしやすくなり、痛みの緩和に繋がります。
さらに、水中での運動は関節の動きをサポートしてくれるため、関節可動域の改善にも効果的です。
2016年の研究でも、水中運動は膝や股関節の変形性関節症患者の痛みや障害を軽減し、生活の質を向上させる効果があると報告されています。水中ウォーキングは、痛みを軽減しながら、関節の機能を改善していくことができる理想的な運動と言えるでしょう。
変形性膝関節症患者向け水中ウォーキングの正しい方法と注意点

変形性膝関節症の痛みは、階段の上り下りや散歩など、日常生活動作に大きな支障をきたすことがあります。膝の痛みを我慢し続けると、活動量が減り、筋力が低下することで、さらに痛みが悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
そこで、変形性膝関節症の改善に役立つ運動として水中ウォーキングが注目されています。水中ウォーキングは、陸上でのウォーキングに比べて膝への負担が少なく、筋力トレーニングや柔軟性の向上、痛みの緩和、関節可動域の改善に効果的です。
この記事では、水中ウォーキングの正しい方法と注意点、効果を高めるためのポイントを専門医の監修のもと解説します。
水中ウォーキングを正しく行うことで、膝の痛みを軽減し、快適な日常生活を送れるようにしましょう。
水中ウォーキングの効果を高めるための準備運動
水中ウォーキングを始める前の準備運動は、怪我の予防とパフォーマンス向上に不可欠です。
水中は陸上よりも体温が奪われやすいので、特に冬場はしっかりと準備運動を行いましょう。
陸上での準備運動: プールサイドなどで5分程度、軽く足踏み、アキレス腱伸ばし、膝回しなどを行い、筋肉を温め、関節の柔軟性を高めましょう。
水中での準備運動: 水深の浅い場所で5分程度、水に体を慣らすようにゆっくりと歩いたり、水中ウォーキングで使う筋肉を意識しながら腕回しや脚の上げ下げなどを行いましょう。
水中ウォーキングの基本的なやり方と歩行時間
水中ウォーキングは、陸上でのウォーキングと同様に正しい姿勢を保つことが重要です。
背筋を伸ばし、腕を大きく振りながら、かかとから着地し、つま先で蹴り出すように歩きましょう。歩幅は陸上よりも小さめで構いません。
歩行時間: 最初は10分程度から始め、慣れてきたら徐々に時間を延ばしていきます。最終的には20~30分を目安に行うのが理想的ですが、水中運動は陸上よりも体への負担が少ないため、無理なく継続できる範囲で設定しましょう。2016年の研究では、水中運動は膝や股関節の変形性関節症患者の痛みや障害を軽減し、生活の質を向上させる効果があると報告されています。
歩行頻度: 週に2~3回行うのがおすすめです。毎日行っても構いませんが、休息日を設けることも大切です。ご自身の体調に合わせて無理のない範囲で続けましょう。
水深や歩行速度、水の抵抗を調整する方法
水中ウォーキングの効果を最大限に引き出すためには、水深、歩行速度、水の抵抗を調整することが重要です。
水深: 胸の高さくらいまで水に浸かると、浮力によって膝への負担が軽減されます。深い場所では抵抗が大きく、浅い場所では抵抗が小さくなります。ご自身の体力や膝の状態に合わせて適切な水深を選びましょう。水中では、胸の高さまで浸かると体重の約70%、腰までは約50%、膝までは約30%が浮力によって支えられます。
歩行速度: 早く歩くほど水の抵抗が大きくなり、運動強度が高まります。最初はゆっくりとしたペースで歩き、慣れてきたら徐々に速度を上げていきましょう。
水の抵抗: 手にパドルやグローブなどを装着することで、水の抵抗をさらに高めることができます。また、歩幅を大きくしたり、高く脚を上げたりすることでも水の抵抗を調整できます。
水中ウォーキングで使用する補助具
水中ウォーキングでは、補助具を適切に使用することで、運動効果の向上や安全性の確保に繋がります。
浮力補助具: ビート板や浮き輪などは、体が安定しやすくなり、膝への負担をさらに軽減する効果があります。水中ウォーキングに慣れていない方や、バランスに不安がある方におすすめです。
水の抵抗を高める補助具: アクアフィンやアクアグローブなどは、水の抵抗を高め、筋力トレーニング効果を高めます。
水中ウォーキングシューズ: 水中ウォーキング専用のシューズは、滑りにくく、足への負担を軽減します。

水中での補助具の活用
水中ウォーキングでは、様々な補助具を活用することで効果を高められることに気づきました。特に浮力補助具(フローティングベルトなどの浮力を与えるベルト)は深い水域でのウォーキングを可能にしつつ、膝への負担を最小限にします。
また、アクアダンベルを使った上肢の運動を組み合わせることで全身運動となり、心肺機能の向上も期待できます。
私は患者さんの状態に合わせて適切な補助具を提案していますが、「フローティングベルトを使うようになってから怖さがなくなり、積極的に運動できるようになりました」という声をよく聞きます。
水中ウォーキング後のクールダウンとストレッチ
水中ウォーキング後には、クールダウンとストレッチを行いましょう。
水中ウォーキングと同じように、ゆっくりとしたペースで歩くことでクールダウンを行い、使用した筋肉の緊張を和らげ、疲労物質の排出を促します。
ストレッチは、水中ウォーキングで使用した筋肉を中心に、大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎなどを伸ばしましょう。
水中でのストレッチは、浮力によって体が支えられるため、陸上よりも無理なく行うことができます。
水中ウォーキングの効果を最大限に引き出すためにもクールダウンとストレッチは重要です。
水中ウォーキングは変形性膝関節症の症状改善に有効な運動ですが、すべての人に適しているわけではありません。水中運動と陸上運動で効果に大きな差がないという研究結果や、水中運動は陸上運動より運動へのアドヒアランス(継続性)と満足度が高いという報告もあります。
ご自身の症状や体力に合わせて、無理なく継続することが大切です。水中ウォーキングを始める前には、医師や理学療法士に相談することをおすすめします。
まとめ

水中ウォーキングは、変形性膝関節症の痛みを和らげ、筋力や柔軟性を向上させるのに効果的な運動です。
水の浮力により膝への負担が軽減され、水圧によるマッサージ効果で血行も促進されます。
無理なく続けられるよう、水深や歩行速度、補助具などを活用し、水中ウォーキングを始めてみましょう。始める前には、医師や理学療法士に相談するのがおすすめです。
参考文献
- Silva LE, Valim V, Pessanha AP, Oliveira LM, Myamoto S, Jones A and Natour J. “Hydrotherapy versus conventional land-based exercise for the management of patients with osteoarthritis of the knee: a randomized clinical trial.” Physical therapy 88, no. 1 (2008): 12-21.
- Gupta A and Maffulli N. “Undenatured type II collagen for knee osteoarthritis.” Annals of medicine 57, no. 1 (2025): 2493306.
- Bartels EM, Juhl CB, Christensen R, Hagen KB, Danneskiold-Samsøe B, Dagfinrud H and Lund H. “Aquatic exercise for the treatment of knee and hip osteoarthritis.” The Cochrane database of systematic reviews 3, no. 3 (2016): CD005523.
- Dong R, Wu Y, Xu S, Zhang L, Ying J, Jin H, Wang P, Xiao L and Tong P. “Is aquatic exercise more effective than land-based exercise for knee osteoarthritis?” Medicine 97, no. 52 (2018): e13823.
- Raposo F, Ramos M and Lúcia Cruz A. “Effects of exercise on knee osteoarthritis: A systematic review.” Musculoskeletal care 19, no. 4 (2021): 399-435.

-情報提供医師
松本 美衣 Mie Matsumoto
和歌山県立医科大学 医学部 卒業
戻る