変形性膝関節症とは

変形性膝関節症についてご紹介します。

概要

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨が段々とすり減っていき、歩くたびに膝の痛みとなって現れる病気です。普段は痛みを感じないけれど、特定の場面になると痛みを感じるのが変形性膝関節症の最初の特徴であり、次第に場所や条件に関係なく痛みを感じるようになります。

日常的な生活にも影響を及ぼすようになり、膝の痛みだけではなく、関節の可動域が制限されてしまったり、関節に水が溜まり「関節水腫」になってしまったり、O脚やX脚へと変形するなど、最終的に変形性膝関節症がどんどん進行してしまいます。初期段階で適切な治療をしないと厄介な病気が変形性膝関節症なのです。

種類

変形性膝関節症には主に2つの種類があります。一次性変形性膝関節症と二次性変形性膝関節症です。

一次性変形性膝関節症

一次性変形性膝関節症は年齢を重ねて発症したケースや、遺伝などで生じた変形性膝関節症を指します。一次性変形性膝関節症の場合は明確な原因がはっきりとしていないものの、度重なる刺激などで発症する病気とされています。特に年齢を重ねていく中での変形性膝関節症の発症が目立ちます。

二次性変形性膝関節症

二次性変形性膝関節症は、明確な原因があって発症したものを指します。例えば、何らかの外傷によって生じたケースや炎症などの理由で生じたケースなどが該当します。二次性変形性膝関節症に該当するケースはあまり多くなく、圧倒的に一次性変形性膝関節症の発症ケースが多いと言えます。

メカニズム

変形性膝関節症は、膝を動かしていく中で軟骨がすり減っていくところから症状が進行していきます。軟骨がすり減ることで関節にある隙間が狭くなります。そして軟骨同士がぶつかりあって、痛みを感じるようになります。どんどんすり減っていくと、「骨棘」が形成され、軟骨がはがれて破片が関節内に散らばっていきます。この軟骨の破片が滑膜と呼ばれる部分にくっつくことで滑膜に炎症が生じてしまうのです。そして、神経がその炎症で刺激を受けてしまい、痛みを感じるというのが変形性膝関節症の主なメカニズムです。

正常な膝関節との比較

膝関節が正常な場合は、関節の隙間がしっかりとあるほか、関節そのものに変形が見られません。変形性膝関節症ではKL分類と呼ばれるもので変形性膝関節症の状態をジャッジしますが、この状態をグレード0とします。

  • グレード1:軟骨がすり減り始め、軟骨下骨と呼ばれる部分が硬化していきます。
  • グレード2:関節の隙間が狭くなっている状態を指します。様々な諸症状が出始める段階です。
  • グレード3:さらに関節の隙間が狭くなるほか、骨棘も増え始め、骨硬化が生じたりします。この頃になると、日常生活に相当な支障が出始めます。
  • グレード4:関節の隙間がほとんど見られず、骨棘も大きくなるなど明確な違いが出てきます。何かしらの対処をしないと痛くて日常生活を過ごせないということも出てきます。

症状

変形性膝関節症はグレードが上がるにつれて段々と症状に変化が訪れていきます。

初期症状

変形性膝関節症の初期症状では、特定のタイミングで痛みを感じやすくなります。立ち上がったタイミングや、起き上がる時といった動作を始めるところで様々な症状が出ます。特に階段を利用する際に膝の違和感や痛みを感じやすいと言われています。最初は滑らかに動かないところから始まり、次第に違和感は強くなっていき、痛みまで出るようになります。

ただ膝の違和感というのが初期の場合は強く、最初のうちは安静にしていると収まることも珍しくありません。そのため、変形性膝関節症とは思わずに放置してしまうケースが目立ちます。

中期症状

初期は動作の始めの段階で痛みを感じやすかったものの、歩いている最中などはさほど膝も傷まないケースがほとんどでした。しかし、中期症状では歩行中ずっと傷み続けるという状況になりやすいです。

歩くと膝が痛むため、人によっては動くことすら嫌になります。人は動かないと筋肉が衰えていくため、膝を円滑に動かすための働きをする筋肉にも衰えが出ます。この衰えが膝に悪影響を及ぼし、より膝に負担をかけ、変形性膝関節症の進行をサポートするような状況になり悪循環となってしまいます。

そして、中期では膝関節の変形による膝の屈折などがしにくくなります。膝が動く範囲が限られてしまうため、より動かしにくくなるのです。このタイミングでいわゆる「膝に水がたまる」という状況も出始めます。この場合の水とは関節液を指し、炎症によって多く出された関節液が膝関節にたまるために、「水がたまる」ような状況になります。

末期症状

末期になると膝の変形が進行し、見た目でも明らかな違和感が出始めます。その典型例がO脚です。元々日本人はO脚になりやすいと言われていますが、膝関節の変形によって次第にO脚が強まるほか、真っすぐ歩けないことで横揺れが起こり始め、その横揺れで痛みがきつくなるケースも出てきます。

こうした痛みが強くなることで、ついには歩くことすら大変という事態に陥ります。杖をつく人もいれば車いすでの生活になる人もいますが、変形性膝関節症が原因という方も少なくありません。また、この頃になると家の中でも杖や車いすで生活する人や、これらがない人は赤ちゃんの「ハイハイ」のように立ち上がらずに移動しようとします。

O脚が進むことで見た目の違和感が強まり、O脚の自分に強い嫌悪感を覚え、外に出たがらなくなるということも出てきます。すると、引きこもりになり、運動機能や認知機能に悪影響を及ぼして認知症の要因になることも指摘されています。

何より安静にしている時ですら膝が痛い状態になるため、寝ることもままならない状況になることもあり、注意が必要です。

検査(診断)方法

変形性膝関節症の検査もしくは診断方法についてご紹介します。

問診・診察

変形性膝関節症かどうかを調べるには、まず問診から行い、患者からのヒアリングを行います。どのタイミングから傷み始めたか、日常的な痛みなのかなどをチェックするほか、見た目において膝に水がたまっていないかなどを確認します。

その後医師は実際に患者の膝を触るなどして、どこが痛むのか、腫れはあるのかなどのチェックをして、変形性膝関節症かどうかを確かめていきます。この時点では見た目と患者のヒアリングでしかおおよその状況をチェックするほかなく、具体的な検査はこの後行います。

検査

変形性膝関節症の検査には主にレントゲン検査やMRI検査、関節液検査などを行っていきます。変形性膝関節症の検査は複数行われることも珍しくありません。なぜならレントゲン検査だけでは骨しかチェックできないため、軟骨の状態がわからないからです。

ただ、レントゲンでは骨棘などの状況、隙間がどれだけあるかといった骨に関することがわかるため、レントゲンだけである程度のことは分かります。MRIでは軟骨や半月板などの状態がわかるため、症状が進行している時に用いられます。

一方、レントゲンやMRIだけではまだ変形性膝関節症と断言できないケースもあります。それは関節リウマチなどの可能性を否定できないからです。関節リウマチなどの可能性を否定するために関節液検査があります。この関節液検査を行ってようやく変形性膝関節症が確定し、グレードが推察できるのです。

変形性膝関節症の患者数

変形性関節症に関しては世界的にも患者数が増えているほど、実はポピュラーな症状です。中でも、世界で3億人以上が変形性膝関節症になっていると言われ、日本だとおよそ800万人ほどが変形性膝関節症の症状を抱えていると言われています。

しかも、この800万人は一部に過ぎず、「X線学的な関節症変化」という観点では2500万人もいるのではないかとさえ言われており、いわば国民的な症状と言えるでしょう。

参照:日本リウマチ財団

世界的に増加していることを考えても日本でも変形性膝関節症の患者数が増えることは十分に考えられます。変形性膝関節症は一般的に女性が多く、特に年齢を重ねた女性ほど男性の最大2倍の有病率になることがあります。膝関節の経年劣化が主な要因であり、無理な運動などをしていなくても年齢を重ねると誰しもが発症しやすいのが変形性膝関節症なのです。

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