変形性膝関節症を20代で発症!原因と治療、予防法を医師が解説!

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「変形性膝関節症は高齢者の病気」と思っていませんか?実は20代でも発症するケースが増加しています。

スポーツや体重、筋肉量、女性ホルモン、遺伝など、様々な要因が若い世代の膝関節症リスクを高めているのです。

この記事では、20代で変形性膝関節症になる原因やリスクファクターを5つに分け、具体的に解説します。

さらに、変形性膝関節症と間違われやすい疾患との違いについてもご紹介します。

早期発見・早期治療が健康な膝を維持する秘訣です。将来の健康のために、今すぐリスクを知り、予防策を学びましょう。

20代の変形性膝関節症の原因とリスクファクター

変形性膝関節症 原因

「変形性膝関節症」と聞くと、ご高齢の方の病気というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし、最近では20代でも発症するケースが増えており、決して他人事ではありません。

若いから大丈夫、と安心せずに、将来の健康のために、この記事で原因とリスクファクターを知っておきましょう。早期発見・早期治療が、健康な膝を維持する秘訣です。

20代に多い発症要因5選

20代で変形性膝関節症を発症する原因は、加齢によるものとは少し異なります。主な原因を5つ解説します。

  1. スポーツによるケガ: 激しいスポーツや、ジャンプ、急な方向転換を伴うスポーツは、膝関節に大きな負担をかけます。バスケットボールやバレーボール、サッカー、バドミントン、テニスなどをされている方は特に注意が必要です。これらの動作は、膝の軟骨や靭帯(じんたい:骨と骨をつなぐ役割を持つ組織)を損傷し、変形性膝関節症の引き金となることがあります。


    スポーツ愛好家は、適切なウォーミングアップとクールダウンを欠かさず行い、過度な負担をかけないように意識することが大切です。


  2. 体重: 体重が増えると、膝関節への負担も増えます。体重が10kg増えると、膝には30kgもの負荷がかかると言われています。20代で肥満気味の方は、体重管理を意識することで、膝への負担を軽減し、変形性膝関節症のリスクを低減できる可能性があります。バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、健康的な体重を維持しましょう。


  3. 筋肉量の不足: 膝関節を支える筋肉が弱いと、関節が不安定になり、軟骨がすり減りやすくなります。特に、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)は、膝関節の安定性を保つ上で非常に重要な役割を果たしています。日頃からスクワットやウォーキングなどの適度な運動をして、筋力をつけるようにしましょう。


  4. 女性ホルモン: 女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、軟骨の保護に役立っています。20代女性で、過度なダイエットやストレスなどでホルモンバランスが乱れると、変形性膝関節症のリスクが高まる可能性があります。バランスの取れた食生活、十分な睡眠、ストレスマネジメントなどを心がけ、ホルモンバランスを整えることが大切です。


  5. 遺伝: 変形性膝関節症は、遺伝的な要因も関係しています。両親や祖父母が変形性膝関節症の場合、ご自身も発症リスクが高くなる傾向があります。遺伝的要因はコントロールできませんが、他のリスクファクターを管理することで、発症リスクを低減できる可能性があります。家族歴がある方は、特に予防に力を入れるようにしましょう。


スポーツが引き起こす膝への負担

スポーツは健康維持に不可欠ですが、一方で、膝関節にとっては大きな負担となる場合もあります。特に、以下のようなスポーツは注意が必要です。

  • ジャンプや着地が多いスポーツ: バスケットボールやバレーボールなど
  • 急な方向転換が多いスポーツ: サッカーやテニスなど
  • 膝に直接衝撃が加わるスポーツ: 格闘技など

これらのスポーツをする際は、ウォーミングアップを丁寧に行い、適切なサポーターを着用するなど、膝を保護するための対策を心がけてください。また、スポーツ後に痛みを感じた場合は、決して無理をせず、速やかに医療機関を受診することが大切です。

変形性膝関節症に女性が多いのはなぜか?

変形性膝関節症は、男性よりも女性に多く発症します。その理由の一つとして、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が挙げられます。エストロゲンは、軟骨の保護に重要な役割を果たしています。閉経後、エストロゲンの分泌が減少すると、軟骨が弱くなり、変形性膝関節症のリスクが高まります。

また、女性は男性に比べて筋肉量が少なく、膝関節を支える力が弱いことも原因の一つと考えられています。

さらに、ハイヒールをよく履く女性は、膝関節への負担が大きくなり、変形性膝関節症になりやすい傾向があります。

近年の研究では、膝を伸ばす筋肉(膝伸展筋)の力が弱い女性は、変形性膝関節症の発症リスクが高いことが報告されています。46,819人を対象とした研究によると、膝伸展筋力が弱い女性は、そうでない女性に比べて、変形性膝関節症になる確率が約1.85倍も高いという結果が出ています。

これは、膝関節を支える筋肉が弱いと、関節にかかる負担が増加し、軟骨の損傷につながるためと考えられます。このことから、特に女性は、太ももの筋肉を鍛える運動を習慣化することが、変形性膝関節症の予防に効果的と言えるでしょう。

変形性膝関節症と間違われやすい疾患との違い

変形性膝関節症 原因と治療

20代で膝に痛みを感じたとき、まさか自分が変形性膝関節症だと思うことは少ないでしょう。「膝の痛みは年配の方がなるもの」という印象が強いからです。しかし、実際には若い方でも発症することがあります。

今回は、変形性膝関節症と間違われやすい疾患をご紹介します。

半月板損傷(はんげつばんそんしょう)

半月板とは、膝の中にあるクッションの役割をする軟骨です。スポーツをよくする方に多く見られます。「ひねったときに痛みを感じた」「しゃがんだ姿勢から立ち上がるときに痛い」という訴えが特徴的です。

変形性膝関節症との違いは、痛みの場所が膝の内側や外側のすき間に集中することと、時々膝が「引っかかる」「ロックする」感覚がある点です。

スポーツ中の急な動きで起こることが多く、若い方でもよく見られます。

膝靭帯損傷(ひざじんたいそんしょう)

膝には、骨と骨をつなぎ安定させる「靭帯」があります。前十字靭帯や内側側副靭帯などがよく損傷する部位です。スポーツ中の急な方向転換やジャンプの着地で起こりやすい怪我です。

「ポキッ」という音とともに激しい痛みを感じることがあり、その後に膝が不安定になります。

変形性膝関節症との大きな違いは、痛みの始まり方です。靭帯損傷は突然起こるのに対し、変形性膝関節症はゆっくりと時間をかけて痛みが強くなっていきます。

靭帯損傷を放置すると、将来的に変形性膝関節症のリスクが高まることもあるので注意が必要です。

関節リウマチ(かんせつリウマチ)

関節リウマチは免疫系の異常により、関節の内側に炎症が起こる病気です。20代、30代の若い方、特に女性に多く見られます。

変形性膝関節症との違いは、以下の点です。

  • 朝起きたときの関節のこわばりが長時間(30分以上)続く
  • 両側の関節が同時に痛むことが多い
  • 膝だけでなく、手や足の小さな関節も痛むことが多い
  • 休んでいても痛みが続く場合がある

関節リウマチは早期発見・早期治療が大切です。適切な治療により、関節の変形を防ぐことができます。

鵞足炎(がそくえん)

膝の内側にある3つの筋肉の付着部に起こる炎症です。正座や長距離のランニングをする方に多く見られます。

変形性膝関節症との違いは、痛みが膝の内側のやや下に限局している点と、その場所を押すとはっきりとした痛みがある点です。

上記のような膝の痛みを感じたら、「若いから大丈夫」と我慢せず、早めに整形外科を受診してください。

半月板損傷や靭帯損傷、関節リウマチなど、若い方でも様々な膝の病気があります。正確な診断と適切な治療で、痛みを和らげることができます。

20代の変形性膝関節症の治療法と予防策4つ

変形性膝関節症 原因

20代で変形性膝関節症と診断されると、将来への不安で頭がいっぱいになってしまうかもしれません。「まだ若いのにこれからどうなるんだろう…」と悩んでしまう方もいるでしょう。

でも、安心してください。変形性膝関節症は、適切な治療と予防策を行うことで、進行を遅らせたり、痛みを和らげたりすることができる病気です。

この章では、20代の変形性膝関節症に対する具体的な治療法と予防策を分かりやすく解説していきます。一緒に見ていきましょう。

効果的な治療法の比較(薬物療法、運動療法、再生医療など)

変形性膝関節症の治療法は大きく分けて、手術をしない「保存療法」と手術をする「手術療法」、さらにPRP療法や幹細胞治療を用いた新しい治療法「再生医療」の3種類があります。

20代の患者さんの場合は、まず保存療法から始めることが一般的です。ここでは保存療法にフォーカスを当て、解説していきます。

保存療法には、次のようなものがあります。

  1. 薬物療法: 痛みや炎症を抑える薬を内服したり、患部に直接塗る外用薬を使用したりします。内服薬には、痛み止めとして使われるアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs。ロキソニンなど)などがあります。外用薬には、インドメタシンやジクロフェナクなど、炎症を抑える成分が含まれたものがあります。


  2. 運動療法(リハビリテーション): ストレッチや筋力トレーニングなどを行い、膝関節の負担を軽減し、機能を改善します。具体的には、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋:だいたいしとうきん)や裏側の筋肉(ハムストリングス)を鍛える運動が有効です。これらの筋肉は膝関節を支える重要な役割を果たしており、鍛えることで関節の安定性が向上し、痛みが軽減されます。


  3. 装具療法: 膝サポーターや足底板(インソール)などを用いて、膝関節への負担を軽減します。サポーターは、関節を安定させ、過度な動きを制限することで痛みを和らげる効果があります。インソールは、足裏のアーチをサポートし、膝関節への負担を軽減します。特にO脚やX脚の方は、インソールによって姿勢が矯正され、膝への負担が軽減されることがあります。


  4. ヒアルロン酸注射: 関節内のヒアルロン酸を補うことで、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減します。ヒアルロン酸は、関節液の主成分であり、関節の潤滑油としての役割を果たしています。変形性膝関節症では、このヒアルロン酸が減少していることが多いため、注射によって補うことで症状の改善が期待できます。


  5. 物理療法: 温熱療法や電気刺激療法、マッサージなどを行い、痛みや炎症を軽減します。温熱療法は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。電気刺激療法は、痛みの原因となる神経の働きを抑制する効果があります。マッサージは、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進する効果があります。


それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあり、患者さんの状態に合わせて最適な治療法を選択することが重要です。

医師とよく相談し、自分に合った治療法を見つけていきましょう。

日常生活での予防法を具体的に解説

20代の変形性膝関節症の予防には、日常生活での工夫が欠かせません。具体的には、以下の4つのポイントに注意しましょう。

  1. 体重管理: 体重が増えると、膝関節への負担が大きくなります。適正体重を維持するために、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。10kgの体重増加は膝に30kgの負担増につながると言われています。


  2. 適切な靴選び: ハイヒールや底の薄い靴は、膝関節に大きな負担をかけます。なるべく、歩きやすい靴を選び、衝撃を吸収してくれるインソールを使用するのも良いでしょう。


  3. 運動習慣: 適度な運動は、膝関節周辺の筋肉を強化し、関節を保護するのに役立ちます。ウォーキングや水泳、自転車など、膝への負担が少ない運動を選び、週に数回、30分程度行うと良いでしょう。46,819人を対象とした近年の研究では、膝を伸ばす筋肉(膝伸展筋)の力が弱い女性は、そうでない女性に比べて、変形性膝関節症になる確率が約1.85倍も高いという結果が出ています。このことから、特に女性は、太ももの筋肉を鍛える運動を習慣化することが大切です。


  4. 姿勢の改善: O脚やX脚などの姿勢の悪さは、膝関節への負担を偏らせてしまい、変形性膝関節症の進行を早める可能性があります。正しい姿勢を意識し、必要に応じてストレッチなどを行い、姿勢を改善しましょう。

これらの予防策は、変形性膝関節症の予防だけでなく、健康維持にもつながります。日常生活に取り入れて、健康な膝を保ちましょう。

松本 美衣
松本 美衣

体重増加と若年発症の関連

一般に変形性膝関節症は高齢者の病気というイメージがありますが、近年、20代の若者でも肥満に伴う早期発症が増えていることに警鐘を鳴らしたいと思います。

私が診察した28歳の女性患者さんは、大学卒業後の生活習慣の乱れで2年間に15kg体重が増加し、膝の痛みで階段の昇降も困難になっていました。MRI検査では明らかな軟骨変性が確認されましたが、栄養指導と適切な運動療法で8kg減量したところ、症状は劇的に改善しました。

若い方の膝関節症では、体重管理が特に効果的であり、私は患者さんと一緒に実現可能な減量計画を立てることを大切にしています。

治療期間と回復の見込みを知る

変形性膝関節症の治療期間や回復の見込みは、症状の程度や治療法、そして患者さん自身の生活習慣などによって大きく異なります。軽度の場合は、数週間から数ヶ月で痛みが軽減することもありますが、重度の場合は、長期間の治療が必要となることもあります。

変形性膝関節症は、軟骨のすり減りが原因で起こる病気です。一度すり減ってしまった軟骨は、自然に元に戻ることはありません。そのため、変形性膝関節症を完全に治すことは難しい病気です。

しかし、適切な治療と生活習慣の改善によって、痛みをコントロールし、日常生活を支障なく送ることは十分に可能です。焦らず、医師と相談しながら、治療を続けていきましょう。

まとめ

変形性膝関節症 原因

20代で変形性膝関節症を発症する原因やリスク、治療法と予防策について解説し、間違われやすい疾患とその違いや特徴もご紹介しました。

スポーツでの怪我や体重、筋肉量の不足、女性ホルモン、遺伝などが原因で発症する可能性があり、ジャンプや急な方向転換を伴うスポーツをしている方は特に注意が必要です。

治療法は保存療法と手術療法があり、20代の場合は保存療法から始めるのが一般的です。薬物療法や運動療法、装具療法、ヒアルロン酸注射、物理療法などがあり、患者さんの状態に合った治療法を選択することが重要です。

日常生活では、体重管理や適切な靴選び、運動習慣、姿勢の改善を心がけることで予防できます。変形性膝関節症は完治が難しい病気ですが、適切な治療と生活習慣の改善で痛みをコントロールし、日常生活を問題なく送ることは可能です。

この記事が、変形性膝関節症の理解を深め、健康な膝を維持する一助となれば幸いです。

参考文献

  1. Øiestad BE, Juhl CB, Culvenor AG, Berg B, Thorlund JB. Knee extensor muscle weakness is a risk factor for the development of knee osteoarthritis: an updated systematic review and meta-analysis including 46 819 men and women. British journal of sports medicine 56, no. 6 (2022): 349-355.

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