変形性膝関節症の人にみられる歩き方の特徴とは

変形性膝関節症 歩き方の特徴
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膝の痛み、歩き方の変化…それ、変形性膝関節症のサインかもしれません。

実は、この病気には特徴的な歩き方があり、早期発見・早期治療の鍵を握っています。

この記事では、変形性膝関節症にみられる代表的な歩き方の特徴を5つご紹介。ご自身の歩き方と比較し、少しでも当てはまるものがあれば、医療機関への相談をおすすめします。

早期治療で進行を遅らせ、快適な生活を取り戻しましょう。

変形性膝関節症の歩き方の特徴5選

変形性膝関節症 歩き方の特徴

膝の痛みと同時に、歩き方が以前と変わってきたと感じたら、変形性膝関節症のサインかもしれません。

この記事では、変形性膝関節症の方にみられる代表的な歩き方の特徴を5つご紹介します。

ご自身の歩き方と比べてみて、少しでも当てはまるものがあれば、お気軽に医療機関にご相談ください。早期に適切な治療を開始することで、進行を遅らせ、快適な生活を送ることに繋がります。

O脚歩行

健康な膝は、正面から見るとまっすぐ伸びています。しかし、変形性膝関節症が進行すると、膝の内側の軟骨がすり減り、膝がO脚のように外側に弯曲してしまうことがあります。

すると、体重がかかるたびに膝関節が外側に傾きやすくなり、O脚歩行と呼ばれる歩き方になります。

O脚歩行では、膝に負担がかかりやすく、痛みが増強することがあります。特に、歩き始めや長時間歩いた後、階段の昇り降りで痛みを感じやすいです。

最近の研究では、膝関節にかかる外向きの力と痛みの関連性を調べた結果、肥満度を表すBMIが高い方ほど、この力が痛みと関連していることが示唆されています(Hutchison et al., 2023)。つまり、体重が多い方は、O脚歩行による膝への負担がより大きくなり、痛みを感じやすくなる可能性があるということです。

変形性膝関節症で体重管理にお悩みの方は、以下も併せてお読みください。
変形性膝関節症の痛みはダイエットで軽減!体重をコントロールする方法とは?

内股歩行

変形性膝関節症では、O脚歩行だけでなく、内股歩行になる方もいます。

これは、膝の痛みを軽減しようと無意識に体重のかけ方を変えようとする結果、内股で歩くようになるためと考えられています

内股歩行も、膝関節への負担が大きいため、痛みを悪化させる可能性があります。

跛行

跛行とは、片足を引きずるように歩くことです。

健康な状態では、左右の足で均等に体重を支え、スムーズに歩行できます。

しかし変形性膝関節症が進行すると、痛みが強くなり、左右の足の運びに違いが出てきます。

そのため、無意識のうちに痛みのある足を庇うようになり、跛行となるのです。

跛行は、庇っている方の足だけでなく、反対側の足の関節にも負担をかけるため、注意が必要です。

歩幅の減少

膝の痛みは、歩幅にも影響を与えます。痛みを和らげようと、一歩一歩を小さく歩くようになり、歩幅が狭くなります。

また、膝が伸びにくくなることで、スムーズに足を前に運べなくなり、歩幅が小さくなることもあります。

健康な方であれば、自然と大きな歩幅で歩くことができますが、変形性膝関節症の方は、痛みのため、このような歩行が困難になります。

階段昇降時の困難

階段を昇り降りするとき、膝には体重の何倍もの負荷がかかります。

そのため、変形性膝関節症の方は、階段の昇り降りで特に強い痛みを感じることがあります。

手すりを使ったり、一段ずつゆっくり昇り降りしたりと、工夫が必要になる場合もあります。

日常生活動作の中でも、階段の昇り降りは特に膝への負担が大きいため、変形性膝関節症の症状を悪化させる可能性があります。

松本 美衣
松本 美衣

その他の特徴「膝のロッキング現象」

変形性膝関節症の患者さんで、その他にもよく見られる特徴的な歩行が「膝のロッキング」です。これは膝をしっかり曲げ伸ばしできずに、膝が固まったような状態で足全体を振り出す歩き方で、まるで足に木の棒を括りつけたような印象を受けます。私の観察では、この歩き方は膝関節内の構造(主に半月板や軟骨)の不整が原因で起こることが多いです。

50代の男性会社員は「階段が特に下りづらい」という訴えで来院されましたが、歩行を見ると典型的なロッキング現象がありました。MRI検査で半月板の損傷が見つかり、適切な治療と歩行指導により、3か月後には膝の動きが改善し、より自然な歩行が可能になりました。

膝のロッキングは一度身についてしまうと無意識の習慣になるため、早期発見と修正指導が大切だと実感しています。

変形性膝関節症の歩き方を改善するための3つの方法

変形性膝関節症 歩き方の特徴

膝の痛みや違和感で歩くのがつらい、以前のようにスムーズに歩けなくなった…と悩んでいませんか?

実は、膝の痛みを我慢してそのままにしておくと、変形性膝関節症の進行を早めてしまう可能性があります。

この記事では、変形性膝関節症の歩き方を改善するための3つの具体的な方法、適切な運動療法、装具やインソールによる歩行サポート、そして薬物療法や手術療法による痛みの軽減について、高齢の患者様にもわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、きっとあなたの不安を軽くし、前向きな気持ちで治療に取り組めるはずです。

適切な運動療法

変形性膝関節症の歩き方を改善するには、膝関節を支える筋肉を鍛え、関節の動きをスムーズにする「運動療法」が非常に効果的です。

特に、太ももの前の筋肉「大腿四頭筋」は、膝を支える要となる筋肉であるため、集中的に鍛えることが重要です。

この大腿四頭筋が衰えると、膝関節が不安定になり、さらに軟骨のすり減りが加速してしまうのです。

運動療法には、大きく分けて3つの種類があります。

  1. 同じ姿勢を保って行う「等尺性運動」。椅子に座ったまま、膝を伸ばしたり、足を上げたりするだけでも効果があります。
  2. 筋肉の長さを変えながら行う「等張性運動」。スクワットや階段の上り下りが代表的な運動です。ただし、痛みがある場合は無理をせず、椅子に座って行うスクワットなど、負担の少ない方法を選びましょう。
  3. 一定のスピードで筋肉を動かす「等運動性運動」。これは、特別な機械を使って行うことが多く、病院やクリニックで行うのが一般的です。

これらの運動は、膝の周りの筋肉を鍛え、関節の柔軟性を高めることで、歩き方を改善し、痛みを和らげます。

変形性膝関節症に効果的な運動療法について、以下の記事でも詳しく解説しています。
【写真で解説】変形性膝関節症の効果的な筋力トレーニング5選!

装具やインソールによる歩行サポート

「装具」や「インソール」は、膝への負担を軽減し、歩き方をサポートしてくれる心強い味方です。

装具には、変形した関節の矯正を目的としたものや、膝関節を支えるものなど、さまざまな種類があります。装具を使うことで、膝の痛みを和らげ、歩きやすくなります。

インソールは、靴の中敷のことです。変形性膝関節症になると、O脚になりやすく、膝の内側に負担がかかりやすくなります。インソールで足の外側を高くすることで、膝にかかる負担を軽減し、歩き方を改善できるのです。

装具やインソールは、患者様の症状や生活スタイルに合わせて、医師や理学療法士と相談しながら選ぶことが大切です。適切な装具やインソールを使用することで、より快適に歩くことができるようになります。

薬物療法や手術療法による痛みの軽減

痛みが強い場合は、薬物療法や手術療法で痛みを軽減することも重要です。

痛みや炎症を抑える薬を内服したり、塗り薬を使用することで、痛みを和らげ、より快適に日常生活を送れるようになります。また、ヒアルロン酸を膝関節に注射する治療法も効果的です。

変形性膝関節症を保存療法で治したい方は、以下もご参考にされてください。
変形性膝関節症の手術をしないで治す方法【医師監修】

これらの治療法でも痛みが改善しない場合や、変形がひどい場合は、手術療法が検討されます。人工関節置換術など、さまざまな手術方法があり、患者様の状態に最適な方法を選択します。

手術療法は、最終手段として考えられることが多いですが、痛みが劇的に軽減し、生活の質を向上させることができる場合もあります。

変形性膝関節症で手術を受けるか悩まれている方は、以下をご参考ください。
変形性膝関節症の手術タイミング目安とリスクについて

薬物療法や手術療法は、医師とよく相談し、ご自身に合った治療法を選ぶことが大切です。

まとめ

変形性膝関節症 歩き方の特徴

変形性膝関節症の歩き方の特徴、そして改善策についてご紹介しました。O脚歩行や内股歩行、跛行、歩幅の減少、階段昇降時の困難など、思い当たることはありませんか?少しでも当てはまる方は、放置せずに医療機関に相談しましょう。適切な運動療法や装具、インソール、そして薬物療法や手術療法を組み合わせることで、痛みを軽減し、歩き方を改善できます。快適な生活を取り戻すためにも、まずは専門家への相談を検討してみてくださいね。

参考文献

  1. Hutchison L, Grayson J, Hiller C, D’Souza N, Kobayashi S, Simic M. “Relationship Between Knee Biomechanics and Pain in People With Knee Osteoarthritis: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Arthritis care & research 75, no. 6 (2023): 1351-1361.
  2. “歩行制御の理解への貢献.” Danish medical journal 61, no. 4 (2014): B4823.

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