40代で膝の痛み、まさか変形性膝関節症…と不安を感じていませんか?
実は、40代で発症することも珍しくないのです。階段の上り下り、立ち上がり時など、特定の動作で痛みを感じるなら要注意。加齢や遺伝、体重、激しい運動、女性ホルモンの減少…様々な要因が膝の軟骨をすり減らし、骨と骨が直接ぶつかり合うことで、炎症や痛みを引き起こします。放置すると日常生活にも支障をきたすことも。
この記事では、変形性膝関節症の進行度チェック、症状別改善方法、治療法など、40代の膝痛対策について解説します。
早期発見・早期治療が鍵となる変形性膝関節症、ご自身の膝の健康を見直すきっかけにしてみてください。
目次
40代で変形性膝関節症になる原因と症状の特徴5選

40代で膝に痛みを感じ始めると、「まさか、この若さで変形性膝関節症?」と不安になりますよね。でも、40代で変形性膝関節症になることは、実はそれほど珍しくありません。
今回は、40代で変形性膝関節症になる原因と症状の5つの特徴について、より具体的に、そしてわかりやすく解説していきます。
早期発見・早期治療が大切です。ぜひ最後まで読んで、ご自身の膝の健康について考えてみてください。
①加齢による軟骨のすり減り
加齢は、変形性膝関節症の最も大きな原因の一つです。
膝の関節には、骨と骨の間にクッションの役割を果たす「軟骨」があります。この軟骨は、まるでタイヤのゴムのように、歩いたり走ったりするたびに衝撃を吸収してくれています。
しかし、年齢を重ねるにつれて、この軟骨は徐々にすり減っていきます。40代に入ると、軟骨の再生能力も低下し始めます。そのため、すり減った軟骨を修復するのが難しくなり、変形性膝関節症のリスクが高まるのです。
加齢による軟骨のすり減りは自然な老化現象ですが、日頃から膝を労わる生活を心がけることで、進行を遅らせることができます。
脂肪由来幹細胞(ADMSC)を用いた治療法の研究が行われています。
②遺伝的要因
変形性膝関節症は、遺伝的な要因も関係しています。
ご両親や祖父母など、家族に変形性膝関節症の方がいる場合、あなたも発症するリスクが高くなる可能性があります。これは、軟骨の質や膝関節の形状などが遺伝的に受け継がれるためだと考えられています。
遺伝的な要因は私たち自身でコントロールすることは難しいですが、他の要因、例えば体重管理や運動習慣などを改善することで、発症リスクを下げることが期待できます。
▼変形性膝関節症の自分でできる改善方法について、以下で詳しく解説しています。
③肥満や過体重による膝への負担増加
体重が増えると、当然のことながら膝にかかる負担も大きくなります。
特に、肥満や過体重の方は、変形性膝関節症のリスクが大幅に高まります。これは、体重が増えることで、軟骨への負担が増し、すり減りが加速するためです。適正体重を維持することは、膝の健康を守る上で非常に重要です。バランスの良い食事と適度な運動を心がけることで、膝への負担を軽減し、変形性膝関節症の予防に繋げましょう。
例えば、体重が1kg増えると、階段の上り下りなどで膝にかかる負担は3~6kgも増加すると言われています。つまり、5kgの体重増加は、膝に15~30kgもの負担をかけているのと同じことになるのです。
▼変形性膝関節症の体重管理法について、以下でもご紹介しています。
④スポーツや仕事などによる膝の酷使
スポーツ選手や、立ち仕事、重労働に従事している方は、膝を酷使する機会が多く、変形性膝関節症のリスクが高まります。
例えば、バスケットボールやバレーボールのようにジャンプ動作が多いスポーツは、着地の際に膝に大きな衝撃がかかります。また、看護師や介護士など、長時間立ちっぱなしの仕事も、膝への負担が大きくなります。
激しい運動や長時間の立ち仕事は、膝関節に大きな負担をかけ、軟骨がすり減りやすくなります。もし、運動や仕事で膝に負担がかかる場合は、休憩をこまめにとったり、サポーターを使うなどして、膝への負担を軽減する工夫をしましょう。
⑤女性ホルモンの減少
女性ホルモンの減少は、変形性膝関節症の発症のリスクが高まると言われています。
40代以降の女性は、更年期を迎えると女性ホルモンの分泌量が減少していきます。このため、骨や軟骨が弱くなりやすく、変形性膝関節症のリスクが高まると考えられています。
研究でも、閉経後の女性における変形性膝関節症の発症率が高いことが報告されています。
バランスの取れた食生活や適度な運動を心がけることで、ホルモンバランスの乱れを軽減し、健康な状態を維持できるよう努めましょう。

女性ホルモンの変化と膝の関係
40代の女性患者さんでは、ホルモンバランスの変化が膝関節症の初期症状と関連していることが多いと感じています。特に40代後半の女性では、更年期の始まりと同時に膝の違和感を感じるケースをよく見ます。
私はこのような患者さんには「骨粗しょう症予防と膝関節保護は同時に考える」アプローチを勧めており、カルシウムとビタミンDの摂取に加え、膝に負担の少ない筋力トレーニングを指導しています。
▼変形性膝関節症におすすめのヨガを以下でご紹介しています。無理なく続けられる運動を取り入れてみましょう。
変形性膝関節症の進行度チェックと対処法4選

40代で膝の痛み、気になりますよね。特に、階段の上り下りや立ち上がる時など、特定の動作で痛む場合は、変形性膝関節症の初期症状かもしれません。
この病気は、膝関節のクッションの役割を果たす軟骨がすり減り、骨と骨が直接ぶつかることで炎症や痛みを引き起こします。進行すると、軟骨がさらにすり減り、骨棘(こつきょく:骨が変形してできた突起)と呼ばれる骨の変形が生じ、日常生活にも支障をきたすことがあります。
実は変形性膝関節症は、40代から発症することも珍しくありません。
そこで今回は、進行度合いのチェックポイントと、それぞれの段階に応じた対処法を、4つの段階に分けて詳しく解説します。
①症状に応じた適切な治療法の選択(保存療法、手術療法など)
変形性膝関節症の治療は、進行度合い、痛みの程度、そして患者さんの生活スタイルによって大きく異なります。
大きく分けて「保存療法」と「手術療法」の2種類があり、まずは保存療法からスタートするのが一般的です。
保存療法というと難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言うと「手術以外の治療」のこと。
例えば、痛みや炎症を抑える薬を飲んだり、関節内の潤滑油の役割を果たすヒアルロン酸を注射したり、温熱療法や装具療法なども含まれます。最近では、スマートウォッチと自宅運動プログラムを組み合わせたデジタル支援型の運動療法も効果的との研究結果も出ています。
保存療法である程度の痛みがコントロールでき日常生活に支障がなければ、手術は必要ありません。
しかし、痛みが強い、あるいは日常生活に大きな支障が出ている場合には、手術療法を検討します。
代表的な手術は人工関節置換術で、傷ついた関節を人工関節に取り替える手術です。
手術の必要性の判断には、様々な方法があります。
▼変形性膝関節症で手術を検討するタイミングについて、併せてご参考ください。
②運動療法とリハビリテーション(ストレッチ、筋力トレーニングなど)
変形性膝関節症の治療や進行予防には、運動療法が非常に重要です。特に、太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングス)を鍛えることで、膝関節を安定させ、負担を軽減する効果が期待できます。
ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、関節の動きをスムーズにします。お風呂上がりなど、体が温まっている時に行うのが効果的です。筋力トレーニングは、膝関節を支える筋肉を強化し、膝への負担を軽減します。スクワットやレッグプレスなどが代表的なトレーニングですが、無理のない範囲で行うことが大切です。
▼変形性膝関節症に効果的な筋トレ方法をご紹介しています。併せてご参考ください。
最近ではデジタル機器を活用した運動療法の研究も進められています。
③最新治療(再生医療、ヒアルロン酸注射など)
変形性膝関節症の治療では、ヒアルロン酸注射などの薬物療法や、再生医療といった新しい治療法も注目されています。
ヒアルロン酸は、関節液の主成分で、関節の動きをスムーズにする役割があります。注射によってヒアルロン酸を直接膝関節に注入することで、痛みを和らげ、関節の動きを改善します。
再生医療は、患者さん自身の細胞や組織を使って損傷した組織を修復する治療法です。変形性膝関節症においては、すり減ってしまった軟骨の再生を目指した研究が進められています。
▼変形性膝関節症に対する再生医療の種類や特徴について、以下で詳しく解説しています。
④日常生活での注意点(体重管理、適度な運動、膝への負担軽減など)
変形性膝関節症の予防や症状の進行を遅らせるには、日常生活での心がけも重要です。
体重管理は、膝への負担を軽減する上で非常に大切です。体重が増えると、膝にかかる負担も増え、軟骨のすり減りが加速します。適正体重を維持することで、膝への負担を減らし、変形性膝関節症の予防・進行抑制に繋がります。
適度な運動は、膝関節周辺の筋肉を強化し、関節を安定させる効果があります。ウォーキングや水泳など、膝への負担が少ない運動がおすすめです。
また、正座や階段の上り下りなど、膝に負担がかかる動作はなるべく避け、負担を軽減する工夫をしましょう。椅子に座る時は、膝の高さを股関節より高くすることで負担を軽減できます。
まとめ

40代の膝の痛み、もしかして変形性膝関節症かも?と不安なあなたへ。この記事では、40代で変形性膝関節症になる原因や症状、そして進行度チェックと対処法を詳しく解説しました。
加齢や遺伝、体重、激しい運動、女性ホルモンの減少など、様々な要因が変形性膝関節症を引き起こす可能性があります。症状に気づいたら、まずはセルフチェックを行い、早めに医療機関を受診しましょう。
治療法には、保存療法や手術療法、最新の再生医療などがあり、あなたの状態に合った治療法を選択することが大切です。日常生活では、体重管理や適度な運動、膝への負担軽減を意識することも重要です。
この記事が、あなたの膝の健康を守るための一助となれば幸いです。少しでも不安を感じたら、まずは専門家に相談してみましょう。大丈夫、きっと良くなりますよ。
参考文献
- Bandholm T, Husted RS, Troelsen A, Thorborg K. “Changing the narrative for exercise-based prehabilitation: Evidence-informed and shared decision making when discussing the need for a total knee arthroplasty with patients.” Osteoarthritis and cartilage open 7, no. 2 (2025): 100601.
- Nguyen TA, Hogden A, Khanna A, Kuah D. “Efficacy of adipose-derived stem cells and stromal vascular fraction for pain relief in Kellgren-Lawrence grade II-III knee osteoarthritis: A systematic review (2019-2024).” Journal of orthopaedics 70, no. (2025): 95-106.
- Akgül H, Birtane M, Tonga E. “Effects of a Digitally Supported Physical Activity Intervention in Knee Osteoarthritis: A Pilot Randomized Controlled Trial.” Musculoskeletal care 23, no. 2 (2025): e70085.

-情報提供医師
松本 和樹 Kazuki Matsumoto
和歌山県立医科大学 医学部 卒業
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