変形性膝関節症、インソール(足底板)の効果とは?【整形外科医が解説】

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変形性膝関節症を発症すると、軟骨がすり減って生じる痛みのため、日常生活にも大きな影響を与えます。まるで自転車のチェーンに油が切れてキーキーと音を立て、動きが悪くなるように、スムーズな歩行を妨げます。

日本では、40代以上で約8割、60代以上になると9割以上の人が変形性膝関節症を抱えているというデータも存在します。

この記事では、変形性膝関節症の痛みを和らげる方法の一つとして、足底板(インソール)の効果と仕組みを整形外科医の視点から解説します。

足底板は、足裏のアーチを支え、膝への負担を軽減する効果が期待できます。まるで家の土台がしっかりしていないと家が傾くように、足裏のアーチが崩れると膝や腰に負担がかかり、痛みが生じるのです。この記事を通して、足底板で快適な歩行を取り戻す可能性を探ってみませんか?

変形性膝関節症における足底板の効果とメカニズム

変形性膝関節症 足底板

膝の軟骨は骨と骨の間のクッションの役割を果たしており、これがすり減ると骨同士がぶつかり、炎症や痛みを引き起こします。

今回は、変形性膝関節症の痛みを和らげる方法の一つとして、足底板(インソール)の効果と、その仕組みについてお話しします。

足底板を使うことで、膝への負担を軽くし、快適に過ごせるようになる可能性がありますので、ぜひこの記事を最後まで読んでみてください。

足底板で期待できる効果

足底板を使うことで、膝の痛みを軽減し、より快適に歩けるようになることが期待できます。これは、足底板が足裏のアーチを支え、足のバランスを整えることで、膝への負担を軽減するためです。

具体的には、次のような効果が期待できます。

  • 膝の痛みの軽減: 足底板は、足裏のアーチを支え、足にかかる圧力を分散させることで、膝への負担を軽減し、痛みを和らげます。
  • 歩行の改善: 歩くときに、足底板によって足が安定することで、歩きやすくなり、歩行時の痛みも軽減される可能性があります。
  • 関節の保護: 足底板は、膝関節への衝撃を吸収し、関節の負担を軽減することで、変形性膝関節症の進行を少しでも遅らせる効果も期待できます。
  • 姿勢の改善: 足は体の土台です。足底板は、足元から姿勢を正しくサポートすることで、全身のバランスが整い、姿勢が良くなる効果も期待できます。

どのように膝の痛みに作用するのか

変形性膝関節症では、膝関節の軟骨がすり減り、炎症が起こることで痛みが生じます。足底板を使うことで、足裏のアーチがサポートされ、足全体のバランスが整います。

最近の研究では、マニュアルセラピー(理学療法士などによって行われる徒手療法)のように、身体のバランスを整えることで膝への負担が軽減されるという報告もあります。足底板も同様に、身体のバランスを整えることで、O脚やX脚などのアライメント異常(関節の並びが正常ではない状態)が改善され、膝関節への負担を軽減する効果が期待できます。

また、歩行時の衝撃も吸収されるため、膝への負担がさらに軽くなります。結果として、膝の痛みが軽減され、動きやすさが改善されるのです。

他の治療法との併用効果

足底板は、他の治療法と併用することで、より高い効果が期待できます。例えば、薬物療法(痛み止めやヒアルロン酸注射など)、理学療法(運動療法や温熱療法など)などと組み合わせることで、それぞれの治療効果を高め合う可能性があります。

また、日常生活での注意点(体重管理や適度な運動など)を守ることも大切です。適切な運動は、膝周りの筋肉を強化し、関節を安定させるのに役立ちます。

体重管理も重要です。体重が増えると膝への負担が大きくなり、症状が悪化する可能性があります。

これらの治療法を組み合わせ、包括的に取り組むことで、変形性膝関節症の症状を効果的に改善し、より快適な生活を送ることができるでしょう。

足底板の入手方法と適切な使い方

変形性膝関節症 足底板

足底板は、靴の中敷きのようなもので、足の裏を支え、膝への負担を軽くする効果が期待できます。

まるで、家の土台がしっかりしていないと家が傾いてしまうように、足の裏のアーチが崩れると、膝や腰に負担がかかり、痛みが生じてしまうのです。

この記事では、自分に合った足底板の見つけ方や使い方のコツなどもご紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

足底板はどこで作れる?入手方法

足底板には、大きく分けて既製品とオーダーメイドの2種類があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、ご自身の状況に合わせて選びましょう。

  • 既製品: ドラッグストアや靴屋さんなどで手軽に購入できます。価格も比較的安価ですが、個々の足の形に完全にフィットするとは限りません。既製品は、例えるなら既製服のようなものです。ある程度サイズが合えば着用できますが、体型に完璧にフィットするとは限りません。
  • オーダーメイド: 整形外科や専門の施設で、患者さん一人ひとりの足の形に合わせて作製します。フィット感が高く、より効果的なサポートが期待できます。オーダーメイドは、まるで仕立て服のように、体にぴったりとフィットします。そのため、既製品よりも高い効果が期待できますが、価格も高くなります。

さらに、素材も、柔らかいソフトタイプから、しっかりと支えるハードタイプまで様々です。ご自身の症状や足の状態に合わせて、医師や専門家と相談しながら適切な足底板を選びましょう。

タイプ別の選び方

足底板には様々な種類があり、素材や形状、機能もさまざまです。

主なタイプとしては、以下のようなものがあります。

  • ソフトタイプ:クッション性に優れ、衝撃を吸収しやすい素材でできています。例えるなら、柔らかいソファに座っているようなイメージです。比較的軽度の変形性膝関節症の方や、長時間立っていることが多い方におすすめです。
  • ハードタイプ:安定性を重視した硬めの素材でできています。スポーツをする方や、足のアーチが崩れやすい方におすすめです。例えるなら、しっかりとした椅子に座っているようなイメージです。
  • アーチサポートタイプ:土踏まずの部分をしっかり支える形状で、足のアーチの崩れを防ぎ、歩行を安定させます。扁平足(へんぺいそく:土踏まずが平らな状態)やハイアーチ(土踏まずが高すぎる状態)の方におすすめです。
  • O脚・X脚矯正タイプ:膝の内側や外側に傾斜をつけることで、O脚やX脚の改善をサポートします。O脚の場合は、足の外側が高くなったタイプ、X脚の場合は内側が高くなったタイプを選びます。
松本 美衣
松本 美衣

靴の選択との組み合わせ

足底板を最大限に活かすためには、適切な靴選びが不可欠です。どんなに良い足底板でも、靴との相性が悪いと十分な効果が得られないことが多いです。

変形性膝関節症の患者さんには、「靴ひもやマジックテープで調整できる靴」「ヒールが低く安定している靴」「靴の中に十分なスペースがある靴」の3つの条件を満たすものを推奨しています。

60代の女性教師は足底板を処方しても効果が出にくかったのですが、履いていた靴が柔らかすぎて安定性に欠けていたことが原因でした。

適切な靴に変えたところ、同じ足底板でも効果が格段に上がり、「長時間の立ち仕事が楽になった」と喜んでくれました。私は診察室に「膝に優しい靴の見本」を数種類置いて、患者さんに実際に見て触ってもらうようにしています。

自分に合った足底板の見つけ方

足底板を選ぶ際には、ご自身の足の形状や変形性膝関節症の進行具合、そして日常生活での活動量などを考慮することが大切です。医師や専門家に相談することで、より適切な足底板を選べます。

また、実際に足底板を試着し、違和感がないか、痛みが増強しないかを確認することも重要です。

効果的な使用方法と注意点

足底板は、正しく使用することで効果を発揮します。

靴のサイズに合った足底板を選び、正しく靴の中にセットしましょう。使用中は、定期的に足の状態を確認し、痛みや違和感がある場合は、使用を中止して医師に相談してください。

また、足底板はあくまで補助的な役割を果たすものであり、これだけで変形性膝関節症が完治するわけではありません。他の治療法と組み合わせて使用することが大切です。

維持費やメンテナンス方法

足底板は消耗品ですので、定期的な交換が必要です。

使用頻度や素材にもよりますが、一般的には半年から1年程度で交換することが推奨されています。

また、清潔に保つために、定期的に汚れを落とし、風通しの良い場所で乾燥させるようにしましょう。オーダーメイドの足底板の場合は、調整が必要になることもありますので、定期的に製作所や病院に足を運んでメンテナンスを受けることが大切です。

まとめ

変形性膝関節症 足底板

変形性膝関節症と診断された方、もしくは膝の痛みに悩んでいる方にとって、足底板は症状緩和の有効な手段となり得ます。
足底板は、膝への負担を軽減するだけでなく、歩行の改善や姿勢の改善にも効果が期待できます。
既製品からオーダーメイドまで様々な種類があり、ご自身の症状や生活スタイルに合わせて選ぶことが重要です。
専門家である整形外科医に相談し、適切な足底板を選び、他の治療法と併用することで、より効果的に痛みを和らげ、快適な日常生活を送れるようにしましょう。

参考文献

  1. Tsokanos A, Livieratou E, Billis E, Tsekoura M, Tatsios P, Tsepis E and Fousekis K. “The Efficacy of Manual Therapy in Patients with Knee Osteoarthritis: A Systematic Review.” Medicina (Kaunas, Lithuania) 57, no. 7 (2021): .
  2. Duong V, Oo WM, Ding C, Culvenor AG and Hunter DJ. “Evaluation and Treatment of Knee Pain: A Review.” JAMA 330, no. 16 (2023): 1568-1580.
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