膝の痛み、階段の上り下り、立っているだけでもズキズキ…。中高年を悩ます変形性膝関節症は、軟骨のすり減りが原因で骨同士がぶつかり、炎症や痛みを引き起こします。実は、このつらい症状、毎日の食事で和らげ、進行を遅らせることができるかもしれません。
この記事では、変形性膝関節症に良い食べ物をご紹介。軟骨の保護・再生を促す栄養素や炎症を抑える食品、具体的な食事メニュー例まで、すぐに役立つ情報満載です。
つらい膝の痛みとサヨナラするために、今日から食事を見直してみませんか?
目次
変形性膝関節症に良い食べ物|効果と摂取方法

変形性膝関節症は、加齢とともに増加する病気です。軟骨がすり減り、骨と骨が直接ぶつかることで炎症や痛みが生じます。しかし、毎日の食事で症状を和らげ、進行を遅らせることができるかもしれません。
この記事では、変形性膝関節症に良いとされるおすすめの食べ物をご紹介します。毎日の食事に取り入れやすいものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
軟骨の保護・再生を促す栄養素
軟骨は、骨と骨の間にあるクッションのような役割を果たす組織です。この軟骨がすり減ってしまうことが、変形性膝関節症の大きな原因の一つです。軟骨の主成分はコラーゲンというタンパク質です。
コラーゲンは体内で作られますが、その材料となるタンパク質と、生成を助けるビタミンCを食事から摂取することが大切です。
タンパク質は、鶏むね肉、卵、豆腐などに多く含まれています。
ビタミンCは、レモン、いちご、ブロッコリーなどに多く含まれています。
また、コラーゲンを直接摂取することも効果的です。コラーゲンが多く含まれる食品として、鶏の皮や魚の皮などが挙げられます。
さらに、研究では、コラーゲンペプチドのサプリメントを摂取することで、日常生活動作の改善や痛みの軽減効果が期待できると報告されています。これは、コラーゲンペプチドが軟骨の修復を促進する可能性を示唆しています。
▼変形性膝関節症に対するコラーゲンの摂取効果について、以下でもご紹介しています。
炎症を抑える効果のある食品
変形性膝関節症になると、膝に炎症が起こり、腫れや痛みを感じることがあります。炎症を抑える効果のある食品を積極的に摂ることで、これらの症状を和らげることができます。
オメガ3脂肪酸は、炎症を抑える効果がある栄養素です。サーモン、サバ、いわしなどの魚に多く含まれています。えごま油やアマニ油などの植物性油にも含まれていますので、普段の料理に手軽に取り入れることができます。
生姜も炎症を抑える効果があるとされています。すりおろしたり、刻んだりして料理に使うと良いでしょう。
痛みを和らげる作用のある食材
変形性膝関節症の痛みには、炎症を抑えるだけでなく、痛みを和らげる作用のある食材も効果的です。
例えば、牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれるカルシウムは、骨を丈夫にするだけでなく、神経の興奮を抑え、痛みを和らげる効果も期待できます。
また、豆腐や納豆などの大豆製品に含まれるマグネシウムも、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減する効果があります。
関節の動きをスムーズにする成分
関節の動きをスムーズにするためには、関節の潤滑油の役割を果たす成分を摂取することが重要です。
コンドロイチン、グルコサミン、ヒアルロン酸などの成分は、関節の軟骨を保護し、動きを滑らかにする効果があります。納豆、オクラ、うなぎなどにコンドロイチンが、カニやエビにグルコサミンが含まれています。
これらの成分はサプリメントとしても販売されていますが、毎日の食事から摂取することも可能です。
変形性膝関節症予防におすすめの食品
変形性膝関節症は、日々の食事で予防することが可能です。バランスの良い食事を心がけ、特に以下の食品を積極的に摂取するようにしましょう。
- 野菜:ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、体の調子を整えてくれます。活性酸素による細胞のダメージを防ぐ抗酸化ビタミンも多く含みます。
- 果物:抗酸化作用のあるビタミンが豊富で、細胞の老化を防ぎます。
- 魚:オメガ3脂肪酸やビタミンDが豊富で、炎症を抑え、骨を丈夫にします。
具体的な食事メニュー例
最後に、変形性膝関節症に良い食品を使った具体的な食事メニュー例をご紹介します。
- 朝食:鮭の塩焼き、ほうれん草のおひたし、豆腐とわかめの味噌汁、ご飯
- 昼食:鶏むね肉のソテー、ブロッコリーとミニトマトのサラダ、ご飯
- 夕食:ぶりの照り焼き、ひじきの煮物、納豆、味噌汁、ご飯
これらのメニューはあくまでも一例です。色々な食材をバランスよく食べることを心がけて、ご自身の体調に合わせて調整してください。無理なく続けられる食生活を送り、健康な膝を維持しましょう。

水分摂取と関節の潤滑
食事療法ももちろん踏まえた上で、十分な水分を摂取している患者さんは、関節液の質が良いケースが多いことに気づきました。特に朝起きてすぐにコップ一杯の水を飲む習慣がある方は、同じ程度の変形があっても膝の動きがスムーズな傾向があります。
「水を意識して飲むようになってから、膝がひっかかる感じが減りました」という声は、シンプルながら効果的な方法として多くの患者さんに共有しています。
変形性膝関節症に避けるべき食べ物と食事療法のポイント

膝の痛み、つらいですよね。曲げ伸ばしが億劫で、階段の上り下りも一苦労。立っているだけでもズキズキ痛み、正座なんてとんでもない!といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。変形性膝関節症は、まさに中高年の方々の悩みの種です。
この病気は、膝関節の軟骨がすり減り、骨と骨がぶつかり合うことで炎症や痛みが生じる病気です。加齢とともに発症しやすく、放置すると日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
しかし、ご安心ください。適切な食事で症状を和らげ、進行を遅らせることができる可能性があります。変形性膝関節症は、単に加齢だけが原因ではなく、生活習慣病と密接な関係があります。特に食生活は、変形性膝関節症の予防と改善に大きな影響を与えます。
この記事では、変形性膝関節症を悪化させる可能性のある食べ物と、食事療法のポイントについて、一緒に考えていきましょう。
悪化させる可能性のある食品・成分
まず、変形性膝関節症を悪化させる可能性のある食品についてご説明します。
炎症を悪化させる可能性のある食品には、赤身の肉(牛肉や豚肉など)があります。これらの肉に含まれるアラキドン酸は、体内で炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質の材料となります。炎症が起きると、膝の痛みや腫れが悪化しやすくなります。
また、砂糖やアルコール、タバコに含まれるフリーラジカルにも注意が必要です。
フリーラジカルとは活性酸素の一種で、細胞を傷つけ、炎症を促進する可能性があります。活性酸素と似たような、酸化作用が強い働きをするとイメージしていただくと分かりやすいでしょう。細胞が傷つくと、軟骨のすり減りが加速し、変形性膝関節症の進行につながる可能性があります。
さらに、バターやクリーム、脂肪分の多いチーズなどの動物性脂肪の摂り過ぎも注意が必要です。これらの食品は、炎症反応を強める可能性があります。
注意が必要な調理法
調理法にも気を配る必要があります。揚げ物や炒め物など、油をたくさん使う調理法は、炎症を悪化させる可能性があります。油の摂り過ぎは、肥満にもつながり、膝関節への負担を増大させてしまいます。
また、塩分の摂り過ぎにも注意が必要です。塩分は体内の水分を保持し、むくみを引き起こす可能性があります。むくみは膝への負担を増やし、痛みを悪化させる可能性があります。1日の塩分摂取量の目安は、男性8.0g未満、女性7.0g未満です。薄味を心がけ、だしや香辛料、ハーブなどを活用して、風味豊かに仕上げる工夫をしましょう。
加工食品やインスタント食品、清涼飲料水などにも多くの塩分やリン酸塩が含まれているため、摂り過ぎに注意しましょう。リン酸塩は、カルシウムの吸収を妨げ、骨を弱くする可能性があります。カルシウムが不足すると、骨がもろくなり、変形性膝関節症の進行を早める可能性があります。
栄養バランスの取れた食事のポイント
変形性膝関節症の食事療法では、栄養バランスの取れた食事を摂ることが基本です。「バランスの良い食事」とは、ご飯やパンなどの主食、肉や魚などの主菜、野菜などの副菜を揃え、さまざまな食品から栄養を摂取することです。
特に、軟骨の修復を助けるタンパク質、骨を丈夫にするカルシウム、炎症を抑えるオメガ3脂肪酸、抗酸化作用のあるビタミン類などを積極的に摂り入れることが大切です。
具体的には、果物、野菜、魚、大豆製品、海藻類、乳製品などをバランスよく食べましょう。
バランスの取れた食事を継続することで、体の機能を正常に維持し、変形性膝関節症の予防や症状の改善に役立ちます。
食事療法の効果を高める生活習慣
食事療法の効果を高めるためには、適度な運動、十分な睡眠、禁煙なども大切です。適度な運動は、膝関節の周りの筋肉を強化し、関節の安定性を高めます。ウォーキングや水中ウォーキング、自転車など、膝への負担が少ない運動を選びましょう。
十分な睡眠は、体の修復を促し、炎症を抑える効果があります。睡眠不足は、体の免疫機能を低下させ、炎症を悪化させる可能性があります。
また、喫煙は血行を悪くし、栄養が膝関節まで届きにくくするため、禁煙も重要です。血行が悪くなると、軟骨への栄養供給が滞り、修復が遅れてしまいます。
変形性膝関節症サプリメントの選び方
サプリメントは、食事で不足しがちな栄養素を補うための補助的なものです。グルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸、ビタミンD、カルシウム、マグネシウムなどを含むサプリメントが変形性膝関節症に良いと言われています。
しかし、サプリメントだけで症状が劇的に改善するわけではありません。バランスの取れた食事と適度な運動、そして医師の指示に従った治療を続けることが大切です。
サプリメントを選ぶ際には、原材料や含有量、安全性などを確認し、信頼できるメーカーの製品を選びましょう。
▼変形性膝関節症の痛みに対するサプリメントの比較解説をしています。併せてご参考ください。
まとめ

変形性膝関節症に良い食べ物、そして避けるべき食べ物についてご紹介しました。
毎日の食事に気を配ることで、膝の痛みや炎症を和らげ、進行を遅らせることが期待できます。バランスの良い食事を心がけ、オメガ3脂肪酸やビタミン類など、体に良い栄養素を積極的に摂り入れましょう。
ご紹介した食事メニュー例も参考に、無理なく続けられる食生活を送り、健康な膝を維持してくださいね。さらに、適度な運動や十分な睡眠も、変形性膝関節症の予防と改善に効果的です。
今日からできることから始めて、快適な毎日を過ごしましょう。
参考文献
- Marriott KA, Birmingham TB. Fundamentals of osteoarthritis. Rehabilitation: Exercise, diet, biomechanics, and physical therapist-delivered interventions. Osteoarthritis and cartilage 31, no. 10 (2023): 1312-1326.
- Kviatkovsky SA, Hickner RC, Cabre HE, Small SD, Ormsbee MJ. Collagen peptides supplementation improves function, pain, and physical and mental outcomes in active adults. Journal of the International Society of Sports Nutrition 20, no. 1 (2023): 2243252.

-情報提供医師
松本 美衣 Mie Matsumoto
和歌山県立医科大学 医学部 卒業
戻る