ひざが痛いせいで階段の上り下りや正座も辛く、負荷がかかるからと好きなスポーツやウォーキングも諦めかけていませんか?
実は、適切なウォーキングは、膝関節周りの筋肉を強化し、痛みを和らげ、健康寿命を延ばす可能性があるのです。
この記事では、変形性膝関節症を悪化させないためのウォーキングのコツを、準備運動から靴選び、ウォーキング中の姿勢、そしてクールダウンまで、詳しく解説します。
膝に負担をかけずにウォーキングを楽しむための3つのポイントと4つの注意点を押さえ、快適な毎日を送りましょう。
目次
膝に優しいウォーキングのコツ|変形性膝関節症を悪化させない効果的な歩き方【医師監修】

膝の痛みは、日常生活の質を大きく下げてしまいます。特に変形性膝関節症を抱えている方は、ウォーキングをしたい気持ちと、悪化させてしまうのではないかという不安の両方を感じているのではないでしょうか。
実は、適切な方法でウォーキングを行えば、変形性膝関節症の進行を遅らせて痛みを和らげ、体のみならずひざの健康寿命を延ばすことにも繋がる可能性があります。
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減り、骨と骨が直接ぶつかり合うことで炎症や痛みを引き起こす病気です。加齢や肥満、遺伝などが原因となることが知られています。
適切なウォーキングは、膝関節の周りの筋肉を強化し、関節の安定性を高める効果が期待できます。その結果、痛みの軽減や関節機能の改善に繋がる可能性があるのです。
これからご紹介する3つのポイントを参考に、膝に優しいウォーキングを始めてみましょう。
ウォーキング前の準備運動で関節を温める
ウォーキングを始める前の準備運動は、運動による急な負担から関節を守るために非常に重要です。
関節や筋肉を温めることで、柔軟性が向上し、動きがスムーズになります。
準備運動は、5分から10分程度行いましょう。例えば、ラジオ体操のような簡単な全身運動や、膝の曲げ伸ばし、足首回しなどがおすすめです。
ストレッチを行う際は、反動をつけずにゆっくりと、気持ち良いと感じる程度まで行うことがポイントです。息を止めずに、自然な呼吸を続けながら行いましょう。
高齢者の場合、関節の柔軟性が低下している場合が多いため、特に準備運動を入念に行う必要があります。
適切な靴選びで膝への負担を軽減
適切な靴選びは、膝への負担を軽減する上で非常に重要です。
クッション性が高く、足にフィットした靴を選ぶことで、膝への衝撃を吸収し、痛みを軽減することができます。
靴底が厚く、かかと部分にクッション性があるウォーキングシューズを選ぶと良いでしょう。また、靴紐はしっかりと結び、足首を固定することで、安定した歩行をサポートします。
変形性膝関節症の方は、足の裏のアーチ(土踏まず)を支えるインソール(靴の中敷き)を使用することも有効です。インソールは、足への負担を軽減し、歩行時のバランスを改善する効果が期待できます。
▶変形性膝関節症に対するインソールの効果についてはこちら
普段履いている靴で違和感がある場合は、整形外科医やシューフィッター(靴の専門家)に相談してみるのも良いでしょう。
ウォーキング中の姿勢と歩幅に注意する
正しい姿勢と歩幅を保つことは、膝への負担を軽減し、ウォーキングの効果を高める上で重要なポイントです。
歩くときは、背筋を伸ばし、あごを軽く引いて、目線は10メートルほど前方に向けます。歩幅は、普段の歩幅より少し狭めにするのがポイントです。膝を曲げすぎないように、地面を優しく蹴り出すように歩きましょう。腕は自然に振り、歩幅に合わせてリズミカルに動かすと、全身運動になり、より効果的です。
ウォーキング中に痛みを感じた場合は、無理をせず休憩を取るか、ウォーキングを中止してください。痛みが続く場合は、医療機関を受診し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
膝に優しいウォーキング方法と4つの注意点

変形性膝関節症でも、正しいウォーキング方法を知っていれば、膝への負担を軽減しながら、健康維持に役立てることができます。
この章では、変形性膝関節症を悪化させない、膝に優しいウォーキング方法と4つの注意点についてご説明します。
ウォーキングの頻度と時間
「毎日歩かなければ」と意気込むあまり、膝に負担をかけてしまうケースをよく見かけます。実は、ウォーキングは毎日行う必要はありません。かえって逆効果になる場合もあるのです。
最初は週に3回程度から始め、慣れてきたら週4~5回に増やしていくと良いでしょう。
1回の時間も、最初から30分歩こうとするのではなく、最初は15分程度から始め、30分を目標に徐々に延ばしていくことをおすすめします。
歩く速度は、「やや速歩き」程度が理想的です。「軽く息が弾む程度」を目安に、会話ができるくらいの速さを維持するようにしましょう。
重要なのは、無理のない範囲で、ご自身のペースで続けることです。
痛みが出た時の対処法
ウォーキング中に膝に痛みを感じたら、決して無理をせず、すぐに歩くのを中断しましょう。痛みを我慢して歩き続けると、炎症が悪化し、症状が長引く可能性があります。
痛みが強い場合は、患部を冷やし、安静にすることが大切です。冷やす際は、氷嚢や保冷剤をタオルに包んで患部に当て、15~20分程度を目安に行います。
市販の鎮痛剤を使用するのも一つの方法です。ただし、鎮痛剤は根本的な治療ではありませんので、痛みが続く場合は、自己判断で治療を続けずに、整形外科を受診し医師の診察を受けてください。
専門家のアドバイスを受けることで、適切な診断と治療を受けられ、症状の悪化を防ぐことができます。
ウォーキングに適した路面を選ぶ
変形性膝関節症の方は、歩く路面にも気を配る必要があります。アスファルトのような硬い路面は、膝への衝撃が大きいため、避けた方が良いでしょう。
土の道や芝生、ゴムチップ舗装の遊歩道など、クッション性のある路面を選ぶようにしましょう。公園や河川敷など、整備された遊歩道は、安全にウォーキングを楽しめる環境が整っていることが多いのでおすすめです。
また、坂道や階段の上り下りは、膝への負担が大きいため、できるだけ避けて、平坦な道を歩くように心がけましょう。
膝関節をサポートする装具の活用
膝に痛みがある場合は、サポーターやテーピングなどの装具を使用することで、膝関節を安定させ、痛みを軽減することができます。装具は、膝関節への負担を軽減するだけでなく、関節の動きをサポートし、安定性を高める効果も期待できます。
装具にはさまざまな種類があるため、ご自身の症状や状態に合ったものを選ぶことが重要です。ドラッグストアなどで市販されているものもありますが、初めて使用する場合は、整形外科医や理学療法士に相談し、適切な装具を選んでもらいましょう。
▶変形性膝関節症におすすめのサポーターの選び方と効果についてはこちら
装具を使用することで、ウォーキングをより快適に続けられるようになり、運動効果の向上も期待できます。

ウォーキングポールの活用
特に症状が進行している患者さんには、ウォーキングポール(ノルディックウォーキングポール)の使用が非常に効果的だと感じています。ポールを使うことで体重の一部が腕で支えられ、膝への負担が約15〜20%軽減されるのです。
私は診察室でポールの正しい使い方を指導し、「腕で地面を押す」感覚を身につけてもらうようにしています。「ポールを使うようになってから、膝の痛みを忘れるほど歩けるようになりました」という患者さんの声は、適切な補助具の効果を示しています。
ウォーキング後のクールダウンとストレッチ
ウォーキング後は、クールダウンとしてゆっくりとしたペースで5分ほど歩き、その後、ストレッチを行いましょう。
クールダウンを行うことで、心拍数や呼吸を徐々に落ち着かせ、運動後の疲労や筋肉痛を軽減する効果が期待できます。
ストレッチは、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)、ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)、ふくらはぎの筋肉を中心に、ウォーキングで負担がかかった筋肉を伸ばすことを意識して行いましょう。
ストレッチを行う際のポイントは、反動をつけずにゆっくりと、痛みを感じない範囲で行うことです。息を止めずに、自然な呼吸を続けながら行うことも大切です。毎日続けることで、筋肉の柔軟性を高め、膝関節の動きをスムーズにし、怪我の予防にも繋がります。
まとめ

膝に優しいウォーキングのコツ、ご理解いただけましたか?
変形性膝関節症を悪化させないためには、ウォーキング前の準備運動や適切な靴選び、そしてウォーキング中の姿勢や歩幅に注意することが大切です。
歩く頻度や時間、痛みが出た時の対処法、路面選び、装具の活用など、少しの工夫で膝への負担を軽減できます。
ご紹介したポイントを参考に、無理なく、そして安全にウォーキングを楽しみ、健康寿命を伸ばしていきましょう。
参考文献

-情報提供医師
松本 和樹 Kazuki Matsumoto
和歌山県立医科大学 医学部 卒業
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