膝の痛み、つらいですよね。特に立ち上がったり、歩いたりするたびに痛むとなると、日常生活にも大きな支障が出てきます。実は、50代以上の方の約半数が変形性膝関節症を抱えているというデータがあります。
この記事では、そんな変形性膝関節症の痛みを和らげる効果が期待できるマッサージについて解説します。マッサージの種類や効果、費用、注意点、さらには自宅でできるセルフマッサージの方法まで、幅広くご紹介します。
つらい膝の痛みから解放され、快適な生活を取り戻すためのヒントが満載です。
目次
変形性膝関節症におけるマッサージの効果と種類4選

変形性膝関節症は、多くの方が悩まされている病気の一つです。
軟骨は、骨と骨がぶつかり合うのを防ぐクッションのような役割を果たしています。この軟骨がすり減ってしまい、炎症を起こしたり、骨が変形したりすることで痛みが生じるのが変形性膝関節症です。
マッサージは、この変形性膝関節症の痛みを和らげる効果が期待できる方法の一つです。
マッサージで期待できる効果
マッサージは、膝関節の痛みを和らげるだけでなく、様々な効果が期待できます。
まず、マッサージによって膝周りの筋肉がほぐれると、血行が促進されます。血行が良くなると、膝関節に必要な栄養や酸素がスムーズに供給され、炎症が抑えられ、痛みが軽減するのです。栄養がしっかり届くことで、傷ついた組織の修復も促されます。
また、筋肉の緊張が和らぐことで、膝の動きがスムーズになり、日常生活での動作がしやすくなります。階段の上り下りや、椅子からの立ち上がり動作なども楽になるでしょう。
さらに、マッサージにはリラックス効果もあり、精神的なストレスを軽減するのにも役立ちます。心身のリラックスは、痛みの緩和にもつながります。
2021年に発表された研究では、専門家による適切なマッサージは、膝OA(変形性膝関節症)患者において、痛みの短期的な軽減と膝の可動域および機能の改善をもたらす可能性があると報告されています。
マッサージの種類と特徴
マッサージには様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。
- スウェーデン式マッサージ: オイルやローションを使い、優しく滑らせるようにマッサージする方法です。リラックス効果が高く、筋肉の緊張を和らげるのに効果的です。
- 指圧マッサージ: 指で特定のツボを押すことで、血行を促進し、痛みを和らげる方法です。膝の周りの特定の場所に痛みがある場合に効果的です。ツボは、東洋医学でいう身体のエネルギーの通り道である経絡上の特定の点のことです。
- スポーツマッサージ: 筋肉や関節の柔軟性を高めることを目的としたマッサージです。膝の可動域を広げ、動きやすくする効果が期待できます。
- リンパマッサージ: リンパの流れを促進することで、老廃物の排出を促し、むくみを軽減する効果があります。リンパとは、体内に網の目のように張り巡らされたリンパ管とその中を流れるリンパ液のことです。リンパ液は、体内の老廃物や余分な水分を運んでいます。
症状別のおすすめマッサージ
マッサージの種類によって、効果が期待できる症状が異なります。
| 症状 | おすすめのマッサージ | 説明 |
|---|---|---|
| 膝全体が痛い | スウェーデン式マッサージ | 膝全体を優しくマッサージすることで、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進します。 |
| 膝の内側が痛い | 指圧マッサージ | 膝の内側にある特定のツボを押すことで、痛みを軽減します。 |
| 膝が曲げにくい | スポーツマッサージ | 膝周りの筋肉の柔軟性を高め、可動域を広げます。 |
| 膝が腫れている | リンパマッサージ | リンパの流れを促進し、むくみを軽減します。 |
上記はあくまで一例です。ご自身の症状に合ったマッサージの種類を選ぶことが大切です。

膝周囲の筋肉へのアプローチ
変形性膝関節症のマッサージで重要なのは、膝関節そのものよりも「膝周囲の筋肉」へのアプローチです。特に大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)、ハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)、腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)の緊張緩和が効果的です。
60代の男性患者さんは膝を直接マッサージしていましたが効果が限定的でした。私のアドバイスで太ももの筋肉を中心にマッサージするよう変更したところ、膝の動きが明らかに改善しました。私はこのような患者さんに「膝の痛みは膝だけの問題ではなく、周囲の筋肉の緊張が大きく影響している」ことを説明し、自宅でできる簡単なマッサージポイントを図解入りで指導しています。
特に内側広筋(太ももの内側部分)と外側広筋(太ももの外側部分)のバランスを整えるマッサージが、膝のアライメント(位置関係)改善に役立つことが多いと実感しています。
マッサージを受ける上での注意点
マッサージは効果的な方法ですが、正しく行わないと逆効果になることもあります。
- 痛みが強い場合は、マッサージを控えましょう。炎症が悪化してしまう可能性があります。
- マッサージ中に強い痛みを感じた場合は、すぐに中止しましょう。
- 膝に炎症がある場合は、医師に相談してからマッサージを受けましょう。
- 妊娠中の方や、持病のある方は、医師に相談してからマッサージを受けましょう。
安全にマッサージを受けるためにも、上記の注意点を守り、必要に応じて専門家に相談するようにしましょう。
変形性膝関節症とマッサージに関するよくある質問5選

膝の痛みがつらく、それまで楽しめていた趣味や旅行なども諦めなければならなくなるかもしれません。
変形性膝関節症は、多くの方が悩まされている病気の一つですが、マッサージの頻度や時間、施術院で行う際の費用などが気になる方も多くいらっしゃると思います。
ここでは変形性膝関節症とマッサージに関するよくある質問5選にまとめ、それぞれに答えていきます。
マッサージの頻度は?
マッサージの効果を高めるためには、適切な頻度で行うことが大切です。痛みの程度や、仕事や家事などの生活スタイル、毎日続けられるかどうかも考慮して、ご自身に合った頻度を見つけましょう。
一般的には、週に1~2回程度の頻度がおすすめです。毎日マッサージを受ける必要はありません。かえって筋肉や関節に負担をかけてしまう可能性もあります。
| 痛みの状態 | 頻度の目安 |
|---|---|
| 軽度 | 週1回 |
| 中等度 | 週1~2回 |
| 重度 | 週2回 |
最初は週1回から始め、ご自身の体の状態に合わせて徐々に頻度を増やしていくと良いでしょう。マッサージを受けてみて、痛みが悪化したり、違和感を感じたりする場合は、すぐに中止して、医師や施術者に相談してください。
施術時間はどれくらい?
1回のマッサージ施術時間は、30分~60分程度が一般的です。症状が重い場合や、全身のケアを希望する場合は、もう少し時間がかかることもあります。施術を受ける前に、どのくらいの時間が必要なのか、施術者に確認しておきましょう。
限られた時間の中で最大限の効果を得るためには、施術者としっかりとコミュニケーションを取り、気になることや不安なことを相談しておくことが重要です。
費用はどれくらいかかる?
マッサージの費用は、施術院や施術内容によって異なります。
健康保険が適用される場合もありますが、多くの場合は自費診療となります。1回あたり3,000円~8,000円程度が相場です。施術を受ける前に、費用の詳細を確認しておくことをおすすめします。
| 種類 | 費用相場 |
|---|---|
| 保険適用 | 500円~1,500円程度 |
| 自費診療(30分) | 3,000円~5,000円程度 |
| 自費診療(60分) | 5,000円~8,000円程度 |
費用が心配な方は、施術院に相談してみるのも良いでしょう。回数券や割引制度などを利用できる場合もあります。
マッサージ以外の治療法との併用は可能?
マッサージは、他の治療法と併用することで、より効果を高めることができます。
例えば、薬物療法や運動療法、ヒアルロン酸注射などと組み合わせることで、相乗効果が期待できます。現在、他の治療を受けている方は、医師に相談しながらマッサージを取り入れてみてください。
相補医療(西洋医学以外の医療のこと)は、西洋医学を専門とする医師にとっても、患者さんの治療において重要な役割を果たす可能性があると考えています。いくつかのハーブ薬や栄養補助食品が変形性関節症の痛みを軽減する可能性が示唆されています。
自分でもマッサージできる?
変形性膝関節症の痛みを和らげるためのマッサージは、自分でも行うことができます。
オイルやクリームを使って、膝の周りを優しくマッサージしてみましょう。特に、太ももの前の筋肉やふくらはぎの筋肉をほぐすのが効果的です。ただし、痛みがある場合は無理に行わず、専門家による施術を受けることをおすすめします。
ご自身で行うマッサージは、あくまでも補助的なケアとして捉え、痛みが強い場合や症状が改善しない場合は、医療機関を受診するようにしてください。
まとめ

この記事では、変形性膝関節症に効くマッサージの種類と効果、注意点、よくある質問などをご紹介しました。
マッサージは、膝周りの血行促進や筋肉の緩和を通じて痛みを和らげ、膝の動きをスムーズにする効果が期待できます。スウェーデン式、指圧、スポーツ、リンパなど様々な種類があり、症状や好みに合わせて選ぶことができます。費用や頻度、他の治療法との併用など、疑問があれば専門家に相談してみましょう。
自宅でもできる簡単なマッサージも紹介しましたので、ぜひ試してみて、快適な毎日を送るための一助としてください。
参考文献
- Tsokanos A, Livieratou E, Billis E, Tsekoura M, Tatsios P, Tsepis E and Fousekis K. The Efficacy of Manual Therapy in Patients with Knee Osteoarthritis: A Systematic Review. Medicina (Kaunas, Lithuania) 57, no. 7 (2021).
- Ernst E. Complementary medicine. Current opinion in rheumatology 15, no. 2 (2003): 151-5.

-情報提供医師
松本 和樹 Kazuki Matsumoto
和歌山県立医科大学 医学部 卒業
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