変形性膝関節症は完治できる?症状改善から考える「治った」と言える状態とは

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変形性膝関節症とレントゲン検査で診断された方は、日本国内で約2530万人にも上ると推計されています。決して他人事ではないこの病気、高齢の方だけでなく、若い方でも発症する可能性があることをご存知でしょうか?

この病気は軟骨のすり減りが原因で、骨と骨が直接こすれ合い、痛みや炎症を引き起こします。進行すると日常生活にも大きな支障が出てきます。

この記事では、変形性膝関節症の定義、症状、原因から、完治の可能性、そして症状改善のための具体的な方法まで、整形外科医がわかりやすく解説します。

「この痛みと一生付き合っていくしかないの?」と不安を抱えている方も、この記事を読めば希望の光が見えてくるはずです。一緒に痛みを和らげ、快適な日常生活を取り戻す方法を探していきましょう。

変形性膝関節症を理解する:定義・症状・原因

変形性膝関節症 完治

日本国内ではレントゲン検査で変形性膝関節症と診断された方が約2530万人にのぼると推計されており、多くの方が悩まされています。

この記事では、変形性膝関節症について、定義、症状、原因を、高齢者の皆様にもわかりやすく解説していきます。

一緒にこの病気を理解し、痛みを和らげる方法を探していきましょう。

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症とは、膝関節のクッションの役割を果たす軟骨がすり減ってしまうことで、骨と骨が直接こすれ合い、痛みや炎症を起こす病気です。軟骨は、衝撃を吸収したり、関節の動きを滑らかにしたりする大切な組織です。この軟骨がすり減ると、骨同士がぶつかり合うようになり、炎症や痛みが生じます。さらに、炎症が続くと、骨が変形してしまうこともあります。

加齢とともに軟骨はすり減りやすくなるため、高齢の方に多くみられます。しかし稀に若い方でも発症する可能性があるため、注意が必要です。

変形性膝関節症を20代で発症するケースについてはこちら

また、軟骨自体には神経がないため、軟骨のすり減り自体は直接的な痛みの原因ではありません。すり減った軟骨のかけらが関節内の滑膜を刺激し、滑膜炎を起こすことで痛みが生じます。

変形性膝関節症の主な症状3つ

変形性膝関節症の主な症状は、次の3つです。

  1. 膝の痛み:初期は、立ち上がり時や歩き始め、階段の上り下りといった、特定の動作をした時に痛みを感じることが多いです。進行すると、安静時にも痛みが続くようになります。初期のうちは「年のせいだから」と軽く考えてしまいがちですが、早期に適切な対応をすることが大切です。
  2. 関節の腫れ:炎症によって膝の関節が腫れることがあります。腫れが強い場合は、熱を持つこともあります。
  3. 関節の動きの制限:軟骨がすり減り、骨が変形することで、膝の曲げ伸ばしがしづらくなります。正座やしゃがみ込むなどの動作が難しくなり、日常生活にも影響が出てきます。

変形性膝関節症の進行段階

変形性膝関節症は徐々に進行していく病気です。進行段階によって症状も変化し、初期、中期、末期の3段階に分けられます。

  • 初期段階:立ち上がり時や動き始めに軽い痛みやこわばりを感じます。しばらくすると痛みは軽減します。この段階では、日常生活に大きな支障はありませんが、放置すると症状が悪化するため、早期の治療開始が重要です。
  • 中期段階:動作時の痛みが強くなり、安静時にも痛みを感じるようになります。膝の腫れや水が溜まることもあります。正座や階段の上り下りが困難になるなど、日常生活に支障が出始めます。
  • 末期段階:常に強い痛みがあり、日常生活に支障をきたすようになります。膝の変形が目立つようになり、歩行が困難になることもあります。杖や歩行器が必要になる場合もあります。

変形性膝関節症の原因と危険因子

変形性膝関節症の主な原因は、加齢による軟骨の老化です。しかし、加齢以外にも、以下のような危険因子が知られています。

  • 肥満:体重が増えるほど膝への負担が大きくなり、軟骨がすり減りやすくなります。適切な体重管理は、変形性膝関節症の予防と治療に重要です。
  • O脚・X脚:膝にかかる力が偏り、特定の部位の軟骨がすり減りやすくなります。
  • 遺伝:変形性膝関節症になりやすい体質が遺伝することもあります。
  • 過剰な運動や労働:スポーツ選手や肉体労働者など、膝に負担がかかる活動をしている人は、発症リスクが高くなります。
  • 女性ホルモンの減少:閉経後の女性は、女性ホルモンの減少により軟骨が弱くなりやすいため、発症リスクが高くなります。

変形性膝関節症は進行性の病気であるため、早期発見・早期治療が重要です。少しでも気になる症状があれば、医療機関を受診し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

松本 美衣
松本 美衣

早期発見・早期対応の効果

変形性膝関節症の初期段階で適切な対応をした場合、症状がほぼ消失し長期間安定するケースを数多く経験しています。

特に膝のアライメント(骨の並び)調整、適切な筋力トレーニング、生活習慣の改善を組み合わせた包括的アプローチが効果的です。

私は初期症状で来院した40代の患者さんには「今行動すれば、症状をコントロールし続けられる可能性が高い」と積極的に伝えるようにしています。「5年前の初期症状の時に先生の指導通りに対応したおかげで、今では痛みをほとんど感じません」という患者さんの声は、早期介入の価値を示しています。

変形性膝関節症の完治の可能性

変形性膝関節症の完治の可能性
変形性膝関節症の完治の可能性

膝の痛み、つらいですよね。特に、変形性膝関節症と診断されると、「この痛みは一生続くの?」「手術しかないの?」と不安になる方も多いと思います。

この記事では、変形性膝関節症の「完治」について、高齢者の皆様にも分かりやすく解説していきます。

変形性膝関節症が「治った」と言える状態とは?

変形性膝関節症は、膝関節のクッションの役割を果たす軟骨がすり減り、骨と骨が直接こすれ合うことで痛みや炎症を起こす病気です。このすり減った軟骨を元通りにすることは、残念ながら難しいです。

では、変形性膝関節症は「治らない」病気なのでしょうか?そうではありません。変形性膝関節症の治療目標は、痛みなどの症状を和らげ、日常生活を快適に送れるようにすることです。

つまり、軟骨が完全に修復されなくても、痛みがなくなり、歩いたり、階段を上り下りしたりといった動作が楽にできるようになれば、「治った」と言えるでしょう。

例えば、以前は10分歩くことさえ辛かった方が、治療やリハビリテーションによって30分歩けるようになったとします。レントゲン写真上では軟骨の状態はあまり変わっていないかもしれませんが、その方にとっては生活の質が大きく向上しているため、「治った」と言える状態と言えるでしょう。

最近では、再生医療による幹細胞治療により、自然治癒能力の低い軟骨組織の再生が可能になっています。この治療法により、膝関節軟骨損傷や変形性関節症などの患者に対し、疼痛軽減や機能回復において優れた効果が確認されています。移植細胞の生存率維持や再生軟骨の耐久性向上などの課題はありますが、技術発展により、より効果的な軟骨再生治療の実現が期待されています。

詳しくは以下の記事でもご紹介しています。
変形性膝関節症の最新治療!再生医療の種類と特徴とは【医師が解説】

また、日常生活における工夫も重要です。例えば、杖を使う、適切な靴を選ぶ、正座を避けるといった工夫で、膝への負担を軽減し、症状が改善することもあります。

膝が楽になる!変形性膝関節症の杖の選び方と使い方についてはこちらもご参考ください。

完治の可能性と日常生活の改善

変形性膝関節症の主な原因は加齢ですが、肥満、O脚・X脚なども危険因子となります。これらの危険因子を改善することで、症状の進行を遅らせたり、痛みを軽減したりすることが可能です。

変形性膝関節症の治療法には、薬物療法、ヒアルロン酸注射、運動療法、装具療法など、様々な方法があります。また、人工膝関節置換術という手術療法もあります。

人工膝関節置換術は、変形した関節を人工関節に置き換える手術で、痛みを大幅に軽減し、日常生活の質を向上させる効果が期待できます。近年、セメントレス固定の人工膝関節が注目されており、BMI35以上の肥満の患者さんにおいて、従来のセメント固定よりも人工関節がゆるみにくく、長持ちしやすいという研究結果も報告されています。

BMIの計算方法や体重管理法については以下をご参考ください。
変形性膝関節症の痛みはダイエットで軽減!体重をコントロールする方法とは?

どの治療法が適切かは、患者さんの症状や年齢、生活状況などによって異なります。医師とよく相談し、自分に合った治療法を選択することが大切です。

大切なのは、変形性膝関節症は「治らない」と諦めずに、適切な治療と日常生活の改善に取り組むことです。

まとめ

変形性膝関節症 完治

変形性膝関節症は、軟骨のすり減りが原因で痛みや炎症が起こる病気です。残念ながら、すり減った軟骨を元通りにすることは難しいですが、「完治」を目指すことは可能です。

この記事では、変形性膝関節症の完治とは、痛みが軽減し、日常生活が楽になることだと説明しました。つまり、軟骨が完全に修復されなくても、歩行や階段の上り下りが楽になれば「治った」と言えるのです。

治療法には薬物療法、ヒアルロン酸注射、運動療法などがあり、症状や年齢、生活状況に合った方法を選ぶことが大切です。また、肥満やO脚・X脚といった危険因子を改善することも効果的です。人工膝関節置換術という選択肢もあります。

変形性膝関節症は進行性の病気ですが、諦めずに適切な治療と日常生活の改善に取り組むことで、痛みを和らげ、快適な生活を送ることは十分可能です。まずは、医師に相談し、自分に合った治療法を見つけることから始めてみましょう。

参考文献

  1. Gupta A, Maffulli N. “Undenatured type II collagen for knee osteoarthritis.” Annals of medicine 57, no. 1 (2025): 2493306.
  2. Lo Carmine L, Onorato F, Burgio C, Karlos Z, Masoni V, Capella M, Camarda L, Chirillo DF, Massè A, Bosco F. “Cemented vs. uncemented total knee arthroplasty in obese patients: A systematic review of implant survival, complications, and clinical outcomes.” Journal of orthopaedics 70, no. (2025): 126-132.

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