変形性膝関節症の人がやってはいけない仕事は?整形外科医が解説!

変形性膝関節症の人がやってはいけない仕事
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変形性膝関節症によるひざの痛み、つらいですよね。

肥満や加齢、スポーツでの負荷など、その原因はさまざまです。

特に仕事中に痛みが増すと、将来への不安も大きくなってしまうかもしれません。

実は、変形性膝関節症の方が避けたほうが良い仕事があることをご存知ですか?

この記事では、変形性膝関節症と仕事の関連性について整形外科の現役医師が解説します。

立ち仕事、階段の昇降、重い荷物…、具体的にどんな仕事が膝に負担をかけ進行させるのか、そして、適切な仕事選びのポイントとは?

あなたの不安を解消し、より快適な生活を送るためのヒントが満載です。

変形性膝関節症で避けるべき仕事4選と、仕事選びのポイント

変形性膝関節症の人がやってはいけない仕事

膝の痛みがあり、特に仕事で負担がかかると、仕事への不安が大きくなってしまうかもしれません。

この記事では、変形性膝関節症の方が避けたほうが良い仕事について、整形外科医の私が具体的な例を挙げながらわかりやすく解説します。

仕事選びのポイントもご紹介しますので、一緒に考えていきましょう。

長時間立ち続ける仕事

長時間立ち続ける仕事は、膝への負担が大きくなってしまいやすいです。

例えば、販売員や美容師、工場でのライン作業、看護師、介護士、保育士など、立ち仕事で膝関節症を患う患者さんを多く診察してきました。

健康な方であれば、体重の2~3倍の負荷が膝にかかると言われていますが、階段の上り下りでは、なんと5~6倍にもなります。さらに、しゃがみ立ちでは7~8倍の負荷がかかります。

これらの仕事は、変形性膝関節症を悪化させる可能性があり、特に内反膝(O脚)などの変形が強い方は注意が必要です。

内反膝とは、膝が内側に向かって曲がっている状態で、変形性膝関節症の患者さんに多く見られます。この状態では、膝の内側に負担が集中しやすく、軟骨がすり減りやすいため、長時間の立ち仕事は症状を悪化させる可能性が高いです。

立ち仕事が多い方は、休憩時間に座って足を休ませたり、膝サポーターを着用したり、クッション性のある靴を選んだりするなど、膝への負担を軽減する工夫をしてみましょう。

頻繁に階段の上り下りが必要な仕事

階段の上り下りは、歩くよりも膝への負担が数倍大きくなってしまいます。

建設現場の作業員、ビルメンテナンスのスタッフ、引っ越し作業員など、頻繁に階段を使う仕事は、変形性膝関節症の方にはおすすめできません。

私自身も、階段の上り下りで膝に痛みを感じることがあります。健康な人でも負担がかかるのですから、変形性膝関節症の方はなおさらです。階段を上る動作では、体重の数倍もの負荷が膝にかかり、軟骨のすり減りを加速させてしまいます。

階段を使う機会が多い方は、手すりを使う、エレベーターを使う、荷物を軽くするなど、負担を減らす方法を積極的に取り入れていきましょう。

重い荷物を運ぶ仕事

重い荷物を運ぶ仕事も、膝への負担が大きいです。

運送業や倉庫作業員、農業、介護職など、重いものを持ち上げる作業が多い方は注意が必要です。無理に重いものを持ち上げると、膝を痛めてしまう可能性があります。

変形性膝関節症の患者さんの中には、重い荷物を持ち上げた際に膝に激痛が走り、来院される方も少なくありません。重いものを持ち上げる際には、膝だけでなく、腰にも大きな負担がかかります。変形性膝関節症の方は、膝のクッションとなる軟骨がすり減っているため、より大きな衝撃が骨に伝わってしまいます。

荷物を運ぶ際には、台車やカートを使う、複数人で作業する、膝を曲げずに腰を落として持ち上げるなど、工夫してみましょう。

膝を曲げた状態での作業が多い仕事

膝を曲げた状態での作業が多い仕事も、変形性膝関節症の方には負担が大きいです。

和裁や畳職人、清掃作業、ガーデニングなど、長時間膝を曲げたままの姿勢で作業をする場合は、症状を悪化させる可能性があります。

膝を曲げた状態では、膝関節の内側の軟骨に圧力が集中しやすくなります。変形性膝関節症で軟骨がすり減っている方は、この圧力によって炎症が悪化し、痛みが強くなる可能性があります。

症状が進行してしまい、手術が必要な重度の変形性膝関節症になった場合、人工膝関節置換術が行われます。この手術では、傷ついた軟骨を取り除き、人工関節を埋め込みます。内反膝(O脚)の患者さんでは、特に手術の難易度が高くなる傾向があります。

作業時には、膝当てやクッションを使う、こまめに休憩を取る、正座や床に直接座ることを避けるなど、膝への負担を軽減する対策を心がけましょう。

松本 和樹
松本 和樹

振動に長時間さらされる仕事にも注意

あまり知られていませんが、長時間の振動にさらされる仕事も膝関節に悪影響を及ぼすことがあります。

建設機械のオペレーター、長距離トラック運転手、重機操作者などの職業では、全身振動が関節内の循環を悪化させ、軟骨代謝に悪影響を及ぼす可能性があります。

60代の男性重機オペレーターは20年以上の職歴があり、両膝の変形性関節症が想像以上に進行していました。このような患者さんには「振動吸収性の良いシートの使用」「定期的な休憩と軽いストレッチ」「適切な姿勢での操作(膝を長時間同じ角度で固定しない)」などの対策を勧めています。また、職場での理解を得て「振動の少ない機種への変更」「作業時間の制限」なども検討することが有効です。

振動の影響は目に見えにくいため軽視されがちですが、長期的には確実に膝への負担となることを理解してもらうよう努めています。

変形性膝関節症でもできる仕事と、働き方の工夫5選

変形性膝関節症の人がやってはいけない仕事

変形性膝関節症になると、今までできていた仕事も難しくなるのではないかと不安になりますよね。立ち仕事や、重いものを持つ仕事は負担が大きそうで心配です。

この記事では、変形性膝関節症になっても続けられる仕事、そして働き方の工夫についてお伝えします。

適切な仕事選びと工夫で、痛みを抱えながらも充実した日々を送れるよう、一緒に考えていきましょう。

デスクワーク中心の仕事

デスクワークは、変形性膝関節症の方にとって比較的負担が少ない仕事です。長時間座っていることで膝への負担は軽減されます。

しかし、同じ姿勢を続けることで膝がこわばったり、血行が悪くなったりする可能性があります。理学療法士が患者さんに指導する際にも、同じ姿勢を長時間続けることは避けるようお伝えしています。

こわばりを防ぐためには、定期的に立ち上がってストレッチをしたり、軽い運動を取り入れることが大切です。また、椅子の高さや背もたれの角度を調整し、正しい姿勢を保つことも重要です。

具体的には、太ももの裏とふくらはぎの角度が90度になるように椅子を調整し、足の裏全体が床につくようにしましょう。フットレストを使うのも良いでしょう。

座りながらできる軽作業

座りながらできる軽作業も、膝への負担が少ないため、変形性膝関節症の方におすすめです。

例えば、製品の検査や梱包、データ入力、電話応対など、さまざまな仕事があります。軽作業といっても、長時間同じ姿勢を続けることは避け、こまめに休憩を取り、ストレッチをするように心掛けましょう。

また、作業台の高さを調整したり、人間工学に基づいて設計された道具を使用することで、身体への負担を軽減することができます。

膝への負担が少ない接客業

接客業というと立ち仕事が多いイメージですが、座りながら行う接客業もあります。

例えば、電話での顧客対応や、カウンター越しでの接客などです。これらは膝への負担が少ないため、変形性膝関節症の方でも働きやすいでしょう。

ただし、長時間同じ姿勢での作業は避け、適度に休憩を取り、ストレッチをするなど、身体を労わる工夫は必要です。

立ったり座ったりを繰り返す場合は、動作をゆっくり行い、膝への急激な負担を避けるようにしましょう。

水中運動の指導など、水中で行う仕事

水中では浮力が働くため、膝への負担が軽減されます。そのため、水中運動の指導や、プールでの監視業務などは、変形性膝関節症の方に向いている仕事と言えるでしょう。水中での運動は、膝関節への負担が少ないだけでなく、筋力トレーニングにも効果的です。

変形性膝関節症の治療において、理学療法士は患者さんに対して、水中での運動を含む運動療法と、日常生活での注意点などの教育を組み合わせて指導することが推奨されています。

これは、水中での運動が膝への負担が少ないだけでなく、筋力強化にも繋がり、症状の改善に役立つと考えられているからです。

理学療法による運動と教育は、薬物療法と同等以上の効果があり、副作用の心配も少ないため、変形性膝関節症の一次治療として推奨されています。

自分のペースでできる在宅ワーク

在宅ワークは、自分のペースで仕事を進められるため、変形性膝関節症の方にとって働きやすい選択肢の一つです。

例えば、ライティング、Webデザイン、プログラミングなど、さまざまな仕事があります。

自分の体調に合わせて休憩を取ることができるので、膝の痛みが出たときにも無理なく対応できます。また、通勤の必要がないため、移動による膝への負担も軽減されます。

▼そのほか、デスクワークや立ち仕事でのひざへの負担を減らすコツは、以下でも詳しく解説しています。併せてご参考ください。

まとめ

変形性膝関節症の人がやってはいけない仕事

この記事では、変形性膝関節症の方が避けるべき仕事、そして働きやすい仕事について解説しました。立ち仕事や重い荷物を運ぶ仕事、階段の上り下りが頻繁な仕事は膝への負担が大きいため、症状を悪化させる可能性があります。反対に、デスクワークや座りながらできる軽作業、水中での仕事などは、膝への負担が少なくおすすめです。

変形性膝関節症だからといって、すべての仕事ができないわけではありません。

自分の症状や体力に合った仕事を選び、働き方を工夫することで、充実したワークライフを送ることが可能です。無理のない範囲で、できることを少しずつ増やしていきましょう。そして、少しでも不安を感じたら、整形外科医などの専門家に相談してみてくださいね。

参考文献

  1. Rossi R, Cottino U, Bruzzone M, Dettoni F, Bonasia DE and Rosso F. Total knee arthroplasty in the varus knee: tips and tricks. International orthopaedics 43, no. 1 (2019): 151-158.
  2. Skou ST and Roos EM. Physical therapy for patients with knee and hip osteoarthritis: supervised, active treatment is current best practice. Clinical and experimental rheumatology 37 Suppl 120, no. 5 (2019): 112-117.
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