夜、膝の痛みに悩まされて、ぐっすり眠れない…。そんな経験はありませんか?
実は、寝る姿勢を少し工夫するだけで、膝の痛みを軽減し、快適な睡眠を得られる可能性があるのです。
日本では、変形性膝関節症の患者数は推定3,000万人以上とも言われており、多くの人が悩まされているこの夜間痛の症状。
この記事では、専門医監修のもと、変形性膝関節症の夜間痛を和らげる効果的な4つの寝る姿勢と、睡眠環境を整える3つのポイントを詳しく解説します。
マットレスの硬さや枕の高さ、冷え対策といった、すぐに実践できる具体的な方法もご紹介。あなたにぴったりの方法を見つけて、快適な睡眠と、気持ちの良い朝を手に入れましょう。
目次
変形性膝関節症の夜間痛を和らげる寝る姿勢のポイント

夜、布団に入っても膝の痛みが気になって、なかなか寝付けない。そんな経験をされている方も多いのではないでしょうか。実は、寝る姿勢を少し工夫するだけで、膝の痛みを和らげ、快適な睡眠を得られる可能性があります。
変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減り、炎症を起こすことで痛みを生じます。軟骨はクッションのような役割を果たしているため、これがすり減ると骨同士がぶつかり、炎症や痛みを引き起こすのです。特に夜間は、日中の活動で負担がかかった膝が炎症を起こしやすく、痛みが強くなる傾向があります。
この記事では、変形性膝関節症の夜間痛を軽減する効果的な寝る姿勢のポイントご紹介します。
自分に合った寝る姿勢を見つけることが、痛みを和らげ、快適な睡眠を得るための第一歩です。ぜひ、色々な姿勢を試してみて、一番楽な姿勢を見つけてみてください。
横向き寝で膝に負担をかけない方法
横向き寝は、体の重さを分散させやすく、膝への負担を軽減できる姿勢です。しかし、ただ横向きに寝るだけでは効果がありません。ポイントは、膝を軽く曲げ、膝の間にクッションを挟むことです。
膝を軽く曲げることで、膝関節にかかる負担をさらに減らすことができます。クッションは、上下の膝が重なることによる痛みを防ぎ、足の高さを調整する役割を果たします。バスタオルや毛布を丸めたものでも代用できますので、ご自身の体格や痛みの程度に合わせて、厚みや大きさを調整してみてください。
また、痛みのある方の膝を下にして寝ることは避けましょう。膝への負担が大きくなり、痛みが増してしまう可能性があります。
仰向け寝で膝を安定させる方法
仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションやタオルを置き、軽く膝を曲げましょう。この姿勢も、膝関節への負担を軽減し、痛みを和らげる効果があります。クッションやタオルの高さは、膝裏が軽く支えられる程度が目安です。高すぎると逆に膝に負担がかかってしまうので、注意が必要です。
さらに、股関節が外側に開いてしまうと、膝にも負担がかかります。必要であれば、太ももの外側にクッションなどを置いて、股関節の位置を安定させましょう。
膝裏にクッションを置く効果
膝裏にクッションを置くことで、膝関節にかかる負担を軽減し、痛みを和らげることができます。
クッションは膝とマットレスの隙間を埋め、膝が伸びすぎるのを防ぎます。
変形性膝関節症では、膝関節の軟骨がすり減り、炎症を起こすことで痛みが生じます。この軟骨のすり減りは、加齢や肥満、過度な運動など、様々な要因が複雑に絡み合って起こります。また、炎症は軟骨のすり減りによって生じる摩擦や刺激が原因です。膝裏にクッションを置くことで、膝関節への負担を軽減し、炎症の悪化を防ぐことができます。
変形性膝関節症は多因子疾患であり、軟骨の侵食、滑膜の炎症、骨硬化症、骨棘形成など、膝関節構造の様々な病理学的変化を特徴としています。
変形性膝関節症の痛みを悪化させるNGな姿勢
膝を伸ばしたままの仰向け寝:この姿勢は膝関節に負担がかかり、痛みが増す可能性があります。膝が伸びた状態では、膝関節の隙間が狭くなり、関節内の圧力が高まります。これが痛みを増幅させる原因となります。
痛みのある側の膝を上にして横向きに寝る:こちらも膝関節への負担が大きくなり、痛みを悪化させる可能性があります。上の膝の重さが下の膝にかかり、圧迫することで痛みが増すのです。
股関節が内側にねじれた横向き寝:この姿勢は膝関節だけでなく、股関節にも負担をかけ、痛みを広げる可能性があります。股関節が内側にねじれると、膝にもねじれの力が加わり、関節に負担がかかります。
これらの姿勢は、膝関節への負担を増大させ、痛みを悪化させる可能性があります。快適な睡眠を得るためにも、これらのNG姿勢は避け、自分に合った寝る姿勢を心がけましょう。
▼変形性膝関節症に効果的なストレッチを、寝る前に取り入れてみましょう。併せてご参考ください。
睡眠環境を整えて膝の痛みを軽減する3つのポイント

夜、布団に入っても膝の痛みが気になってなかなか寝付けない、せっかく寝ても痛みで目が覚めてしまう、朝起きた時に膝がこわばって動きにくい…そんなお悩み、多くの高齢者の方が抱えています。私も診療でよく耳にする悩みです。変形性膝関節症の痛みは、日常生活だけでなく、睡眠の質にも大きく影響しますよね。
でも実は、睡眠環境を少し工夫するだけで、膝の痛みを軽減し、快適な睡眠を得られる可能性があるんです。今回は、睡眠環境を整えるための3つのポイント、マットレスの硬さ、枕の高さ、そして冷え対策について、より詳しく、具体的な方法を交えながらご説明します。
これらのポイントを押さえて、ぐっすり眠れる夜を取り戻し、気持ちの良い朝を迎えましょう。
①マットレスの硬さと選び方
マットレスの硬さが、膝の痛みに大きく関係していることはご存知でしょうか?適切な硬さのマットレスを選ぶことは、快適な睡眠を得るだけでなく、膝の痛みを和らげるためにも非常に重要です。
硬すぎるマットレスは、体の圧力が一部分に集中し、特に骨が出っ張っている部分に負担がかかりやすいため、膝への負担を増大させてしまいます。
想像してみてください、硬い床の上に直接寝転がると、肩や腰、そして膝といった骨張った部分が痛くなりますよね?マットレスが硬すぎると、これと似たような状態になり、膝の痛みを悪化させてしまうのです。
逆に、柔らかすぎるマットレスはどうでしょうか?柔らかすぎるマットレスは、体が深く沈み込みすぎてしまい、まるでハンモックのような状態になります。これでは、膝の関節が不安定になり、痛みを悪化させる可能性があります。また、寝返りを打つ際に余計な力が必要になり、これも膝への負担となります。
では、どのようなマットレスを選べば良いのでしょうか?おすすめは、硬すぎず柔らかすぎない、中程度の硬さのマットレスです。体重を均等に支え、膝関節への圧力を軽減してくれるマットレスを選びましょう。ご自身の体重や体型に合ったマットレスを選ぶことが大切です。
最近では、体の形に合わせてフィットするメモリーフォームマットレスなども人気です。低反発素材でできており、体圧を分散させる効果が高いため、膝への負担を軽減することができます。お店で実際に寝転んでみて、自分に合った硬さのマットレスを探してみるのも良いでしょう。
②枕の高さ調整で首・肩への負担軽減
枕の高さも、睡眠中の姿勢、ひいては膝の痛みに影響を与えます。一見関係ないように思えるかもしれませんが、体の各部位は繋がっています。首や肩の負担は、体全体のバランスを崩し、結果的に膝への負担を増大させる可能性があるのです。
枕が高すぎるとどうなるでしょうか?首が不自然に前かがみになり、まるでパソコン作業をしている時のように、肩や首の筋肉が緊張してしまいます。この緊張が、肩こりや頭痛の原因となるだけでなく、体全体の歪みを引き起こし、膝への負担にも繋がります。
反対に、枕が低すぎると、首が後ろに反り返ってしまいます。これもまた、首や肩に負担がかかり、体全体のバランスを崩す原因となります。
最適な枕の高さは、首と背骨が自然なS字カーブを維持できる高さです。仰向けに寝たときに、首とマットレスの間に隙間ができないように、そして横向きに寝たときに、首と背骨が一直線になるように調整しましょう。

枕の高さと膝への影響
意外かもしれませんが、枕の高さも膝関節症の症状に影響します。
高すぎる枕は腰部の自然なカーブを崩し、それが膝への負担となって現れるのです。診察室で首から腰、膝までの全体的なアライメントを見て、枕の高さを調整するアドバイスをすることがあります。
患者さんから「膝の診察なのに枕の話をするなんて意外でした」と言われますが、体は繋がっているので全体のバランスが大切なんです。
③冷え対策で血行促進
冷えは、血行を悪くし、筋肉や関節を硬くしてしまいます。変形性膝関節症の痛みは、冷えによって悪化することがあります。これは、冷えによって血行が悪くなると、膝関節周辺の筋肉や組織への酸素供給が不足し、炎症が悪化するためです。
寝る前に温かいお風呂に入ることは、冷え対策として非常に効果的です。温かいお湯に浸かることで、血行が促進され、筋肉や関節がリラックスし、痛みを和らげることができます。ぬるめのお湯にゆっくりと浸かるのがおすすめです。
湯たんぽや電気毛布なども効果的ですが、低温やけどには十分注意しましょう。特に高齢の方は、皮膚の感覚が鈍くなっている場合があるため、低温やけどを起こしやすいので注意が必要です。
寝具にも気を配りましょう。保温性の高い素材の寝具を選ぶことで、寝ている間の冷えを防ぎ、快適な睡眠を得ることができます。最近では、吸湿発熱素材の寝具なども販売されているので、検討してみるのも良いでしょう。
仰向けで寝ていると、気道が狭くなりやすく、呼吸がスムーズにいかないことがあります。呼吸が浅くなると、体内の酸素量が低下し、血行不良を招き、結果的に膝の痛みを悪化させる可能性があります。睡眠時の姿勢にも気を配り、呼吸が楽な姿勢を心掛けましょう。
まとめ

変形性膝関節症の膝の痛みを軽減する最適な寝る姿勢について解説しました。
横向き寝では膝を軽く曲げ、クッションを挟むのがポイントです。仰向け寝では膝の下にクッションを置き、軽く膝を曲げましょう。膝裏にクッションを置くことで、膝関節への負担を軽減できます。痛みを悪化させるNG姿勢は避け、自分に合った姿勢を見つけることが大切です。
マットレスは硬すぎず柔らかすぎないものを選び、枕の高さは首と背骨が自然なS字カーブを維持できる高さが理想です。
冷え対策も重要なので、温かいお風呂に入ったり、保温性の高い寝具を使うと良いでしょう。自分に合った方法で、快適な睡眠と痛みの軽減を目指しましょう。
参考文献
- Landry SA, Beatty C, Thomson LDJ, Wong AM, Edwards BA, Hamilton GS and Joosten SA. “A review of supine position related obstructive sleep apnea: Classification, epidemiology, pathogenesis and treatment.” Sleep medicine reviews 72, no. (2023): 101847.
- Yunus MHM, Nordin A and Kamal H. “Pathophysiological Perspective of Osteoarthritis.” Medicina (Kaunas, Lithuania) 56, no. 11 (2020): .

-情報提供医師
松本 和樹 Kazuki Matsumoto
和歌山県立医科大学 医学部 卒業
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