【画像付き】変形性膝関節症におすすめのヨガを整形外科医が解説

変形性膝関節症 ヨガ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

膝の痛み、階段の上り下り、正座の困難…。

変形性膝関節症は、中高年だけでなく若い世代も悩ませる身近な疾患です。

米国リウマチ学会/関節炎財団も推奨する「ヨガ」が、症状改善の鍵となる可能性があることをご存知でしょうか? 2019年のガイドラインでも、変形性膝関節症の管理にヨガが条件付きで推奨されています。

この記事では、整形外科医の視点から、変形性膝関節症とヨガの関係を紐解き、痛みを和らげ、より快適な生活を送るための具体的な方法を画像付きでご紹介します。

ヨガの効果と注意点、そして症状に合わせた適切なヨガの種類やポーズ選びまで、膝の痛みにお悩みの方必見の情報が満載です。

変形性膝関節症とヨガの関係

変形性膝関節症 ヨガ

膝が痛くて、好きな運動も思いっきりできない…つらいですよね。わかります。私も以前、バスケットボールで膝を痛めてしまい、大好きなスポーツができなくなった時期がありました。歩くのもつらい時期があり、階段の上り下りは本当に苦労しました。

変形性膝関節症は、まさにこの膝の痛みの代表的な原因の一つです。膝の軟骨がすり減ったり、変形したりすることで痛みや腫れが生じる病気で、中高年の方だけでなく、スポーツなどで膝を酷使した若い世代にも起こりうるのです。

「ヨガは体に良さそうだけど、膝に負担がかかりそうで心配…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、変形性膝関節症とヨガの関係について、整形外科医の私がわかりやすく解説します。

適切なヨガの実践は、膝の痛みの軽減や機能改善に役立つ可能性がありますが、注意点もいくつかあります。一緒に見ていきましょう。

ヨガの効果と注意点

ヨガは、ゆっくりとした動きと呼吸法を組み合わせたエクササイズです。適切なヨガは、変形性膝関節症の方に様々な効果が期待できます。

  • 柔軟性の向上: ヨガのポーズは、関節の可動域を広げ、柔軟性を高めるのに役立ちます。硬くなった筋肉や関節をほぐすことで、膝の動きがスムーズになります。

  • 筋力強化: ヨガは、体の様々な筋肉をバランス良く鍛えることができます。特に、膝関節を支える太ももの筋肉(大腿四頭筋やハムストリングスなど)やふくらはぎの筋肉を強化することで、関節への負担を軽減し、安定性を高めることができます。

  • 血行促進: ヨガのポーズや呼吸法は、血行を促進する効果があります。血行が良くなることで、膝関節周辺の組織への酸素や栄養の供給が改善され、痛みの軽減や炎症の抑制に繋がります。

  • リラックス効果: ヨガは、心身のリラックスをもたらす効果も期待できます。深い呼吸を意識することで、自律神経のバランスが整い、ストレス軽減にも繋がります。

2019年の米国リウマチ学会/関節炎財団のガイドラインでも、ヨガは変形性膝関節症の管理に条件付きで推奨されています。

一方で、ヨガを行う際の注意点もいくつかあります。

  • 痛みの悪化: 無理な姿勢や過度なストレッチは、かえって膝の痛みを悪化させる可能性があります。痛みを感じた場合は、すぐに中止し、決して無理をしないようにしましょう。

  • 炎症の増悪: 関節が赤く腫れ上がり、熱を持っているような急性炎症期にヨガを行うと、炎症を悪化させる可能性があります。炎症が強い場合は、ヨガを始める前に医師に相談しましょう。

  • ポーズの選択: 変形性膝関節症の方は、膝に負担がかかりやすいポーズは避ける必要があります。正座やあぐら、膝を深く曲げるポーズなどは、症状を悪化させる可能性があります。

変形性膝関節症に適したヨガの種類

変形性膝関節症の方に適したヨガの種類としては、以下のようなものがあります。

  • チェアヨガ: 椅子に座った状態で行うヨガです。膝への負担が少ないため、初心者や高齢者、膝に痛みがある方でも比較的安心して行うことができます。

  • リストラティブヨガ: プロップス(補助道具:ボルスター、ブランケット、ブロックなど)を使って体を支えながら行うヨガです。リラックス効果が高く、体の緊張をほぐすのに効果的です。

  • ハタヨガ: 呼吸法を重視したヨガです。ゆっくりとした動きでポーズを取りながら、深い呼吸を繰り返すことで、心身のリラックスを促します。

変形性膝関節症に適したヨガは、個々の症状や体力によって異なります。ヨガを始める前には、必ず医師や専門のインストラクターに相談し、自分に合ったヨガの種類やポーズを選択することが大切です。

無理なく継続することで、ヨガの効果を最大限に得ることができます。

変形性膝関節症に良いヨガのポーズ4選と注意点

変形性膝関節症 ヨガ

変形性膝関節症と診断されると、「もう好きな運動はできないのかな…」と不安になる方も多いのではないでしょうか。

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ったり、変形したりすることで痛みや腫れが生じる病気です。加齢や肥満、激しいスポーツ、遺伝などが原因で発症し、中高年の方だけでなく、若い世代にも起こりうる病気です。

実は、適切なヨガは、変形性膝関節症の症状改善に役立つ可能性があるのです。私もバスケットボールで膝を痛めた経験があり、その時に椅子を使用したヨガのリハビリを取り入れていました。

椅子を使用することで膝に負荷がかからず無理なく適切な運動ができ、、休息を取りながらバランスよく行うことが、膝の健康にとってどれほど大切かを身をもって実感しました。

この記事では、整形外科医の私が、変形性膝関節症に良いヨガのポーズを3つと、ヨガを行なう際の注意点をご紹介します。ヨガで膝の痛みを和らげ、快適な生活を取り戻しましょう。

痛みの軽減に効果的なポーズ

痛みが強い時は、決して無理せず、椅子に座ったままできるポーズから始めましょう。

  • 長座のアレンジ: 椅子に浅く腰掛け、両足の裏を床につけます。つま先を天井に向け、片脚をゆっくりと持ち上げます。膝は伸ばしたまま、無理なく上げられる高さで5秒間キープし、3秒かけてゆっくりおろします。これを左右3セットずつ行います。このポーズは、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を優しくストレッチし、膝関節の柔軟性を高める効果があります。

yoga
  • 英雄のポーズ: 椅子に浅く腰掛け、両足を前後に開きます。後方の足先は正面に向けて膝を伸ばします。前方の足は、つま先を外側に向けて膝を曲げます。曲げた膝がかかとの真上にくるように調整し、5秒間キープします。余裕があれば両腕を上げてみましょう。左右の足を入れ替えて3セットずつ行います。このポーズは、股関節の柔軟性を高め、骨盤の歪みを整える効果も期待できます。

yoga

関節の柔軟性を高めるポーズ

関節の柔軟性を高めることは、膝の動きをスムーズにし、痛みを軽減する上で非常に重要です。硬くなった筋肉や関節をほぐすことで、膝への負担を減らすことができます。

  • 猫のポーズ: 四つん這いになり、息を吸いながら背中を反らせ、天井を見上げます。息を吐きながら背中を丸め、あごを胸に近づけます。この動きを数回繰り返します。このポーズは、背骨の柔軟性を高め、体幹を強化する効果もあります。
yoga

呼吸法を意識したポーズ

ヨガの呼吸法は、心身のリラックス効果を高め、痛みを和らげるのに役立ちます。深い呼吸をすることで、副交感神経が優位になり、筋肉の緊張がほぐれます。

  • 屍のポーズ: 仰向けになり、両腕を体の横に伸ばし、目を閉じます。深い呼吸を繰り返しながら、全身の力を抜いてリラックスします。全身の力を抜いてリラックスすることで、自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
yoga

悪化させやすいポーズと注意点

ヨガを行う際には、以下の点に注意し、安全に実践しましょう。

  • 無理なポーズは避ける: 痛みを感じるポーズや、膝に負担がかかりすぎるポーズは避けましょう。特に、膝を深く曲げるポーズや、ねじるポーズは注意が必要です。痛みが強い場合は、無理に動かさず、安静にすることが大切です。


  • 呼吸を止めない: ヨガのポーズ中は、常に自然な呼吸を続けましょう。呼吸を止めると、筋肉が緊張しやすくなり、痛みを悪化させる可能性があります。


  • 自分のペースで行う: 無理をせず、自分のペースでヨガを行いましょう。最初は短い時間から始め、徐々に時間を延ばしていくのがおすすめです。


  • 医師に相談する: ヨガを始める前に、医師に相談しましょう。特に、膝に持病がある場合や、過去に手術を受けたことがある場合は、必ず医師の指示に従ってください。


ヨガは、正しく行えば変形性膝関節症の症状改善に役立つ可能性がありますが、すべての人に有効とは限りません。症状が悪化する場合や、新たな痛みが出た場合は、すぐにヨガを中止し、医師に相談しましょう。

松本 美衣
松本 美衣

ヨガの頻度と強度の個別化

変形性膝関節症の患者さんにとって、ヨガの「頻度」と「強度」の適切な設定が非常に重要であることを、多くの症例を通じて学びました。教科書的には「定期的な運動が良い」と言われますが、患者さん一人ひとりに最適な頻度と強度があり、これを見極めることが成功のカギになります。

50代の男性患者さんは週5回の頻度でヨガを始めましたが、膝の腫れと痛みが悪化しました。私のアドバイスで週2回に減らし、1回の時間も60分から30分に短縮したところ、症状が改善しながらヨガを続けられるようになりました。

私はいつも「最初は少なく、徐々に増やす」こと、そして「ヨガの翌日に痛みが増すなら強度が高すぎる」という基準を患者さんに伝えています。

変形性膝関節症の進行度、年齢、体重、その他の健康状態なども考慮し適切な「量」を見つけることが、長期的な継続と効果につながると確信しています。

まとめ

変形性膝関節症 ヨガ

変形性膝関節症でヨガを行う際のポイントをまとめました。ヨガは膝関節の柔軟性向上や筋力強化、血行促進、リラックス効果など多くのメリットがあります。しかし、痛みを悪化させたり、炎症を増悪させる可能性もあるため、注意点を守ることが大切です。

痛みを感じたらすぐに中止し、無理は禁物です。正座やあぐら、膝を深く曲げるポーズは避け、椅子に座って行うチェアヨガや、補助道具を使うリストラティブヨガ、呼吸法を重視したハタヨガなどがおすすめです。

紹介した4つのポーズは、膝への負担が少ないため、変形性膝関節症の方にも取り組みやすいでしょう。

自身の症状や体力に合わせ、無理なく続けられる範囲で実践してみてください。

ヨガを始める際は、医師や専門のインストラクターに相談し、適切な指導を受けるようにしましょう。

参考文献

  1. Kolasinski SL, Neogi T, Hochberg MC, Oatis C, Guyatt G, Block J, Callahan L, Copenhaver C, Dodge C, Felson D, Gellar K, Harvey WF, Hawker G, Herzig E, Kwoh CK, Nelson AE, Samuels J, Scanzello C, White D, Wise B, Altman RD, DiRenzo D, Fontanarosa J, Giradi G, Ishimori M, Misra D, Shah AA, Shmagel AK, Thoma LM, Turgunbaev M, Turner AS and Reston J. “2019 American College of Rheumatology/Arthritis Foundation Guideline for the Management of Osteoarthritis of the Hand, Hip, and Knee.” Arthritis care & research 72, no. 2 (2020): 149-162.
  2. Duong V, Oo WM, Ding C, Culvenor AG and Hunter DJ. “Evaluation and Treatment of Knee Pain: A Review.” JAMA 330, no. 16 (2023): 1568-1580.
  3. 2019年米国リウマチ学会/関節炎財団ガイドライン

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
先頭へ
戻る