変形性膝関節症の人工膝関節手術後、仕事復帰までの期間は?

変形性膝関節症 仕事復帰 期間
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膝の痛み、つらい悩みを抱えていませんか?

日本では、変形性膝関節症に悩む方が多く、人工膝関節置換術を選択する方も少なくありません。

この記事では、人工膝関節置換術とその後の仕事復帰について、手術の種類、選び方、そして仕事復帰に向けた準備と職場復帰のための4つのポイントまで網羅的に解説いたします。

具体的な費用や合併症のリスク、そして最新の研究に基づいた手術計画についても触れ、不安を解消するお手伝いをします。

人工膝関節置換術とその後の仕事復帰までの流れ

変形性膝関節症 仕事復帰

膝の痛みは、本当につらいものです。大好きな旅行や趣味も、膝の痛みが邪魔をして楽しめない、なんてことも。

この記事では、変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術と、その後の仕事復帰について、手術の流れから費用、リスクまで、わかりやすくご説明します。

変形性膝関節症と人工膝関節置換術の概要

変形性膝関節症とは、膝関節のクッションの役割を果たしている軟骨がすり減ってしまい、骨と骨が直接ぶつかり合うことで炎症や痛みが起こる病気です。

初期は立ち上がりや歩き始めに痛みを感じることが多いですが、進行すると常に痛みを感じるようになり、歩行や階段の上り下りも困難になってしまいます。

人工膝関節置換術は、すり減ってしまった軟骨の代わりに、人工の関節に取り替える手術です。

この手術によって痛みを和らげ、再び歩けるようになったり、正座ができるようになるなど、日常生活の動作を改善することができます。

人工膝関節置換術の種類と選択方法

人工膝関節置換術には、大きく分けて全置換術と部分置換術の2種類があります。

全置換術は、膝関節全体を人工関節に置き換える方法です。一方、部分置換術は、傷んでいる部分だけを人工関節に置き換える方法です。

どちらの手術方法が適切かは、患者さんの膝の状態、年齢、活動レベル、そして日常生活における膝の使い方などによって異なります。医師とじっくり相談し、ご自身に合った手術方法を選びましょう。

手術の方法と手順

手術では、まず膝に切開を入れ、傷んでいる関節部分を取り除きます。その後、人工関節を骨にしっかりと固定し、傷口を縫合します。手術時間は約2時間程度です。

近年、人工関節のデザインや手術器具は進化しており、より正確で安全な手術が可能になっています。例えば、コンピュータ支援手術(CAS)では、コンピュータを使って手術の精度を高めることができます。また、手術の傷口を小さくするMIS(最小侵襲手術)も普及しています。

個人の体力や年齢

人工膝関節置換術は、高齢者の方にも行われる手術です。年齢を重ねているからといって必ずしも手術ができないわけではありません。

もちろん、高血圧や糖尿病などの持病がある場合は医師に相談する必要がありますが、年齢だけで手術を諦める必要はありません。手術を受けるかどうかは、患者さんの状態やご希望を考慮して決定しますのでご安心ください。

体力面についても同様です。近年では、患者さんの身体への負担を軽減するための様々な工夫が凝らされています。例えば、手術前に患者さんの状態を詳細に評価し、個々の体力に合わせたリハビリテーション計画を立てることで、安全に手術を受けていただけるように配慮しています。

手術のリスクと合併症

人工膝関節置換術は、一般的に安全な手術ですが、どんな手術にもリスクや合併症が伴う可能性があることは知っておく必要があります。例えば、感染症、血栓症(血のかたまり)、神経麻痺、人工関節の緩みなどが挙げられます。これらの合併症は稀ですが、万が一発生した場合には適切な治療が必要です。

合併症のリスクを最小限に抑えるためには、手術前に医師から説明をよく聞き、疑問点があれば納得いくまで質問することが大切です。

最近の研究では、健康な膝と変形性膝関節症の膝で、膝の冠状面アライメント(膝の角度)を9つのタイプに分類することで、より正確に手術計画を立てられるようになってきています。これは、手術の精度を高め、合併症のリスクを減らすことにつながります。

手術費用と保険適用

人工膝関節置換術は、健康保険が適用されます。費用の目安は、高額療養費制度を利用した場合、自己負担額は数万円から十数万円程度です。ただし、入院期間や個室の利用などによって費用は変動することがあります。費用については、事前に病院に確認しておきましょう。

変形性膝関節症にかかる手術費用や保険の適用については、以下で詳しく解説しています。併せてお読みください。
変形性膝関節症の手術費用と保険適用、高額療養費まで詳しく解説!

仕事復帰に向けた準備とスムーズな職場復帰のためのポイント4選

変形性膝関節症 仕事復帰

人工膝関節置換術を受けたら、元の生活に戻れるのか、仕事は続けられるのか…皆さん不安ですよね。旅行や趣味を楽しめるようになるのか、気になっている方もいるでしょう。

このセクションでは、リハビリテーションから日常生活の注意点、再発予防まで、手術後の生活について、4つのポイントに分けてご説明します。特に、仕事復帰を控えた方に向けて、スムーズな職場復帰のためのポイントをまとめました。

リハビリテーションの内容と期間

リハビリテーションは、手術の翌日から始まります。

最初は、ベッドの上で足首を回したり、膝を軽く曲げ伸ばしする程度の簡単な運動から始めます。まるで生まれたての子鹿のように、ゆっくりと、少しずつ動かしていくイメージです。

徐々に慣れてきたら、起き上がって座ったり、立ったり、歩いたりする練習に進みます。杖や歩行器を使う場合もありますが、最終的には自分の足でしっかりと歩けるように練習していきます。

個人差はありますが、だいたい1ヶ月から3ヶ月後には、自転車こぎのような運動や、水中を歩く運動もできるようになるでしょう。プールの中で歩く水中歩行は、膝への負担が少なく、効果的なリハビリテーション方法の一つです。

より詳しい内容や期間については、担当の医師や理学療法士と相談しながら、ご自身の状態に合わせた計画を立てていきますのでご安心ください。焦らず、ご自身のペースで進めていきましょう。

時期リハビリテーションの内容
手術直後~数日ベッド上での足首の運動、膝の曲げ伸ばし
1週間~数週間起き上がり、座位、立位、歩行練習、松葉杖歩行
1ヶ月~3ヶ月自転車エルゴメーター、水中歩行、筋力トレーニング
3ヶ月以降日常生活動作の練習、趣味活動の再開

この表はあくまで目安です。患者さん一人ひとりの状態に合わせて、リハビリテーションの内容や期間は調整されます。

仕事復帰に向けた準備と注意点

人工膝関節置換術を受けた後、仕事に復帰するには、手術前からの準備と術後の注意点を守ることが大切です。

まず、手術前に主治医と相談し、仕事復帰の時期や仕事内容について話し合っておきましょう。職場の上司や同僚にも、手術を受けることや復帰時期について伝えておくと、周りの理解と協力を得やすくなります。

仕事復帰後は、無理をせず、休憩をこまめにとるように心がけてください。痛みが続く場合は、我慢せずに主治医に相談しましょう。

人工関節は金属やプラスチックでできているため、激しい衝撃や負担がかかると、摩耗したり、破損する可能性があります。重いものを持つ作業や、膝に負担がかかる作業は、できるだけ避けるようにしましょう。

また、感染症予防も大切です。傷口を清潔に保ち、医師の指示に従って適切なケアを行いましょう。

職場への相談と復帰支援制度の活用

仕事への復帰を考えている方は、まず職場の上司や同僚に手術のこと、そして復帰したいと考えていることを伝えましょう。伝えることで、周囲の理解と協力を得られ、スムーズな復帰につながります。

そして、仕事内容や労働時間など、職場環境の調整が必要かどうかを相談することが大切です。

例えば、立ち仕事が多い場合は、座ってできる作業に変更してもらう、長時間の勤務が難しい場合は、勤務時間を短縮してもらうなど、状況に応じて調整していく必要があります。

企業によっては、傷病を抱える従業員の職場復帰を支援する制度を設けている場合があります。休職制度や時短勤務制度、あるいは、業務内容の変更など、さまざまな支援制度がありますので、相談してみるのも良いでしょう。

また、産業医がいる職場であれば、産業医に相談してみるのも一つの方法です。産業医は、従業員の健康管理や職場環境の改善について専門的なアドバイスをしてくれます。

松本 和樹
松本 和樹

職業別の復帰タイミング

変形性膝関節症の患者さんの仕事復帰は、職業によって大きく異なることがわかっています。デスクワークが中心の事務職の方は、保存療法(手術しない治療)だけでも比較的早く1〜2週間で職場復帰できるケースが多いのに対し、立ち仕事が多い販売業や接客業の方は4〜6週間、重い物を持ち上げる建設業や製造業の方は8週間以上かかることもあります。

印象的だったのは50代の男性建設作業員の患者さん。最初は「1ヶ月で現場に戻りたい」と焦っていましたが、「作業内容別の段階的復帰計画」を一緒に立てることで、最初は事務作業から始め、3ヶ月かけて徐々に現場作業に戻るプロセスを受け入れてくれました。結果的に無理なく完全復帰でき、再発も防げています。

日常生活での注意点と再発予防

人工膝関節置換術を受けた後は、日常生活でもいくつか注意が必要です。

まず、手術後しばらくは、階段の上り下りや、和式トイレの使用などは、膝に負担がかかりやすいので注意が必要です。手すりを使う、補助具を使うなど、工夫してみましょう。

また、転倒すると人工関節に大きな負担がかかるため、転倒予防も大切です。家の中を整理整頓し、段差をなくす、滑りやすい場所にはマットを敷くなどの対策をしましょう。

感染症を予防するためにも、傷口を清潔に保つことは重要です。医師の指示に従って、適切なケアを行いましょう。

激しい運動は避け、ウォーキングや水泳など、膝への負担が少ない運動を心がけましょう。スポーツや趣味の再開は、主治医と相談しながら徐々に進めていくのが良いでしょう。

人工膝関節置換術は、痛みの軽減や生活の質の向上に大きく貢献する手術です。しかし、最大で3割程度の患者さんが、術後の生活の質に満足していないという報告もあります。身体的な面だけでなく、精神的な面も含めた、多角的なサポートが必要となるでしょう。

だからこそ、医師や理学療法士とよく相談し、不安や疑問を解消しながら、手術後の生活を安心して送れるように準備していくことが大切です。

まとめ

変形性膝関節症 仕事復帰

膝の痛みや人工膝関節置換術後の仕事復帰について解説しました。

変形性膝関節症は軟骨のすり減りによって痛みを生じる病気で、人工膝関節置換術は、すり減った軟骨を人工関節に置き換える手術です。全置換術と部分置換術があり、患者さんの状態に合わせて選択されます。

手術は2時間程度で、近年は正確で安全な手術が可能になっています。高齢者でも手術は可能で、個々の体力に合わせたリハビリ計画が立てられます。

合併症のリスクはありますが、稀です。費用は保険適用で自己負担額は数万円から十数万円程度です。術後はリハビリテーションを行い、1~3ヶ月で日常生活動作が可能になります。

仕事復帰には職場との相談が重要で、復帰支援制度の活用も検討しましょう。日常生活では転倒予防や感染症予防に気を付け、激しい運動は避けましょう。医師や理学療法士と相談し、安心して手術後の生活を送れるようにしましょう。

参考文献

  1. MacDessi SJ, Griffiths-Jones W, Harris IA, Bellemans J, Chen DB. “Coronal Plane Alignment of the Knee (CPAK) classification.” The bone & joint journal 103-B, no. 2 (2021): 329-337.
  2. Canovas F, Dagneaux L. “Quality of life after total knee arthroplasty.” Orthopaedics & traumatology, surgery & research : OTSR 104, no. 1S (2018): S41-S46.

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