変形性膝関節症の再生医療は保険適用されるのか?

変形性膝関節症 再生医療 保険適用
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加齢とともに増加する変形性膝関節症の疾患、実は再生医療という最先端医療で治療できる可能性があることをご存知でしょうか?

しかし、気になるのは費用と保険適用。高額な治療費を全額負担しなければならないとしたら…と不安に思うのも当然です。

この記事では、変形性膝関節症の再生医療における保険適用の現状、費用、そして様々な治療法のメリット・デメリットを詳しく解説します。

再生医療の保険適用について

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変形性膝関節症を治療を探されていて「再生医療」という言葉を耳にすることがあると思います。

「再生医療って、具体的にどんな治療法なの?」「費用はどれくらいかかるの?」「健康保険は適用されるの?」など、さまざまな疑問が湧いてくることでしょう。

この章では、再生医療の保険適用について、特に変形性膝関節症に焦点を当てながら、わかりやすく解説していきます。一緒に見ていきましょう。

再生医療に保険適用は利くのか?

結論から言うと、再生医療のすべてに保険が適用されるわけではありません。

一部の治療法だけが、特定の条件を満たした場合に保険適用となります。しかし、多くの再生医療は「自由診療(保険適用外)」となるため、治療費は全額自己負担となります。つまり、治療の種類やあなたの症状によって、保険が適用されるかどうかが変わってくるのです。

変形性膝関節症で保険適用される再生医療

現在、変形性膝関節症の再生医療で保険適用となるのは、「自家軟骨培養移植」という治療法です。

これは、患者さん自身の軟骨を採取し、実験室で培養して増やした後に、軟骨が欠損した部分に移植する治療法です。

自分の体の一部を使うため、アレルギー反応などの拒絶反応が起こりにくいというメリットがあります。

しかし、この治療法が保険適用となるのは、「外傷性軟骨欠損症」または「離断性骨軟骨炎」という、ケガなどが原因で軟骨が損傷した特定の病気に限られます。

加齢などが原因で軟骨がすり減っていく変形性膝関節症の場合は、残念ながら保険適用外となります。

変形性膝関節症で保険適用されない再生医療

変形性膝関節症の再生医療で、保険適用外となる治療法はいくつかあります。

例えば、患者さん自身の血液から作られるPRP療法やAPS療法、脂肪から採取した幹細胞を用いる幹細胞療法などは、いずれも自由診療となります。

PRP療法は、血液中の血小板を濃縮して患部に注射する治療法で、比較的安価で体への負担も少ないというメリットがあります。

一方、APS療法はPRP療法をさらに進化させた治療法で、PRP療法よりも多くの成長因子を含むため、より高い効果が期待できると言われています。しかし、その分費用も高額になります。

また、幹細胞療法は、脂肪などから採取した幹細胞を培養して患部に注射する治療法で、組織の再生を促す効果が期待されています。ただし、幹細胞療法も高額な治療法です。

これらの治療法は、効果や安全性に関する十分なエビデンス(医学的根拠)がまだ確立されていないため、保険適用とはなっていないのです。

自由診療(保険適用外)とは何か

自由診療とは、健康保険が適用されない医療行為のことです。治療費は全額自己負担となります。

再生医療の多くは自由診療となるため、治療を受ける前に、費用をよく確認することが大切です。費用は、治療法や医療機関によって大きく異なり、数十万円から数百万円かかる場合もあります。

再生医療が保険適用になる条件

自家軟骨培養移植の場合、保険適用となるには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 外傷性軟骨欠損症または離断性骨軟骨炎であること。
  2. 損傷の大きさや部位などが、保険適用の基準を満たしていること。

医師の診察を受けて、ご自身の症状が保険適用の条件を満たしているかどうかを確認しましょう。

再生医療への保険適用の未来

現在、保険適用となる再生医療は限られていますが、研究や技術の進歩に伴い、今後、保険適用の範囲が拡大していく可能性があります。

新しい治療法が開発されたり、既存の治療法の有効性や安全性が確認されたりすることで、より多くの患者さんが保険適用で再生医療を受けられるようになるかもしれません。

変形性膝関節症の再生医療について

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加齢とともに、私たちの体の組織は徐々に老化し、機能が低下していきます。これは、皮膚のシワや白髪といった目に見える変化だけでなく、骨や軟骨、筋肉といった体の内部にも及びます。

特に、膝関節の軟骨は、長年の使用による摩擦や衝撃によってすり減りやすく、変形性膝関節症を引き起こす原因となります。

変形性膝関節症になると、初期には立ち上がりや歩き始めに軽い痛みを感じることがあります。進行するにつれて、安静時にも痛みが続くようになり、膝の曲げ伸ばしが困難になることもあります。さらに悪化すると、骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起が形成され、膝の変形が目に見えるようになることもあります。このような症状は、日常生活の質を著しく低下させる可能性があります。

再生医療は、まさにこのような変形性膝関節症の根本的な原因に対処することを目指した治療法です。

患者さん自身の細胞や組織、あるいは人工的に作られた材料を用いて、損傷した軟骨や骨を修復・再生しようとする試みです。

具体的には、患者さん自身の血液から採取した血小板を濃縮して注射するPRP療法や、脂肪から採取した幹細胞を注射する幹細胞療法、そして培養した軟骨細胞を移植する自家軟骨培養移植などが挙げられます。

これらの治療法は、従来の治療法では難しかった組織の再生を促す可能性を秘めており、世界中で研究開発が進められています。しかし、すべての再生医療が変形性膝関節症に有効であるとは限りません。また、治療効果や安全性、費用、保険適用についても、治療法によって大きく異なります。

変形性膝関節症の再生医療に関するよくある質問(FAQ)

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変形性膝関節症に対する再生医療の保険適用について、よくある質問をポイントに絞ってわかりやすくご回答します。

Q1. 変形性膝関節症の再生医療にはどんな種類があるの?

A. 自分の体から細胞や組織を取り出して使うもの、人工的に作られた材料を使うものなど、様々な種類があります。代表的なものとしては、患者さん自身の血液から血小板を濃縮して作るPRP療法、脂肪から取り出した幹細胞を使う脂肪由来幹細胞移植、そして軟骨を培養して移植する自家軟骨培養移植などがあります。

Q2. これらの治療は、保険適用されるの?

A. 結論から言うと、すべての再生医療が保険適用されるわけではありません。2023年10月現在、変形性膝関節症の再生医療で保険適用となるのは、「外傷性軟骨欠損症」または「離断性骨軟骨炎」が原因で軟骨が損傷している場合の「自家軟骨培養移植」のみです。

自家軟骨培養移植とは、患者さん自身の軟骨細胞を採取し、実験室で培養して増やしてから、軟骨が欠損した部分に移植する治療法です。

これは、怪我などが原因で軟骨が欠損した、比較的若い方に適応される治療法です。加齢が原因で軟骨がすり減る変形性膝関節症の場合は、残念ながら保険適用外です。

Q3. 保険適用外の場合はどうなるの?

A. 保険適用外の場合は「自由診療」となり、治療費は全額自己負担となります。費用は治療法によって大きく異なり、PRP療法で5万円から20万円程度、脂肪由来幹細胞移植で100万円から200万円程度かかる場合もあります。

Q4. 高額な治療費の支払いが心配…何か補助制度はあるの?

A. 自由診療の場合でも、医療費控除制度を利用することで、確定申告時に治療費の一部が所得税から還付される場合があります。

また、クリニックによっては分割払い、医療ローンなどの支払い方法を用意しているところもありますので、相談してみるのも良いでしょう。

松本 和樹
松本 和樹

保険適用の再生医療の範囲と高額療養費制度の活用

私が15年以上の臨床経験で感じるのは、「再生医療」と聞くと患者さんの多くが「全て自費診療(保険が使えない治療)」だと思い込んでいることです。

実は変形性膝関節症に対しては、ヒアルロン酸注射という基本的な再生医療が保険適用されています。ヒアルロン酸は関節内の潤滑油のような成分で、これを補充することで軟骨の保護や痛みの軽減が期待できます。

しかし保険適用であっても月々の医療費が高額になることがあります。特にヒアルロン酸注射を週1回のペースで行う場合などは、負担が大きくなりがちです。

私は患者さんに「高額療養費制度」という医療費の負担を軽減できる制度について、積極的に説明するようにしています。実際、60代の年金生活の男性患者さんは、最初は経済的理由から週1回の通院を躊躇していましたが、この制度について説明し申請をサポートしたところ、安心して治療を継続できるようになりました。

患者さんが経済的な理由で必要な治療を諦めることがないよう、まずは身近な保険適用の再生医療から検討することで、多くの患者さんの負担を減らせると実感しています。

▼変形性膝関節症にかかる費用について、以下でも詳しく解説しています。

Q5. 再生医療以外の治療法もあるの?

A. もちろんです。再生医療以外にも、ヒアルロン酸注射、薬物療法、人工関節置換術などの手術など、様々な治療法があります。ご自身の症状やライフスタイル、価値観に合った治療法を選択することが大切です。

医師とよく相談し、納得のいく治療法を選びましょう。

Q6. 再生医療はどんな人に向いているの?

A. 再生医療は、比較的初期の変形性膝関節症の方や、他の治療法で効果がなかった方、手術を避けたい方などに適している場合もあります。

しかし、どの治療法にもメリット・デメリットがあります。ご自身の状態に最適な治療法は、専門医の診察を受けて判断する必要があります。

Q7. 再生医療を受けると、どれくらいで効果が出る? すぐに歩けるようになる?

A. 残念ながら、再生医療はすぐに効果が出るものではありません。

効果が現れるまでには、数週間から数ヶ月かかるのが一般的です。また、効果の程度や持続期間には個人差があります。

Q8. 今後の再生医療の発展について教えて

A. 現在、保険適用となる再生医療は限られていますが、研究や技術は日々進歩しています。変形性膝関節症に対する様々な再生医療が研究されており、将来的にはより多くの治療法が保険適用となる可能性があります。

再生医療は発展途上の分野であり、日々新しい情報が更新されています。治療を受ける際は、信頼できる医師に相談し、十分な説明を受けた上で、ご自身に最適な治療法を選択することが重要です。

まとめ

変形性膝関節症 再生医療 保険適用

変形性膝関節症の再生医療について、保険適用を中心に解説しました。

残念ながら、現在のところ加齢による変形性膝関節症に対する再生医療は保険適用外で、高額な費用がかかります。ただし、外傷性の軟骨損傷の場合は自家軟骨培養移植が保険適用となる場合があります。

再生医療以外にも様々な治療法があるので、医師とよく相談し、あなたの症状や経済状況に合った治療法を見つけましょう。再生医療は日々進歩しているので、将来の保険適用拡大にも期待が持てます。諦めずに、自分に合った治療法を探し続けましょう。

参考文献

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