変形性膝関節症のスポーツ選手必見!早期復帰のための治療法とトレーニング法

変形性膝関節症 スポーツ選手
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スポーツに情熱を燃やす方にとって、膝の痛みは悪夢と言えるかもしれません。練習に励むほどに悪化する痛み、将来への不安、そして大好きなスポーツからの離脱…。想像するだけで胸が締め付けられます。

実は、激しい運動を続けるスポーツ選手は、変形性膝関節症のリスクが高いことをご存知でしょうか?

軟骨が摩耗することで骨と骨がぶつかり合い膝に痛みを感じたり、関節の変形が進行するこの病気は、放置すると日常生活にも支障をきたす可能性があります。

しかし、諦める必要はありません。PRP療法と幹細胞療法といった再生医療は、スポーツ選手が抱える膝の痛みに対する新たな治療アプローチとして注目されています。

この記事では、それぞれの治療法の特徴やメリット・デメリット、さらに復帰に向けたトレーニング法まで、スポーツ選手が知っておくべき情報を網羅しています。

早期復帰を目指し、再びフィールドで輝くために、ぜひ読み進めてください。

変形性膝関節症の最新再生医療:PRP療法と幹細胞療法

スポーツは私たちの生活を豊かにしてくれますが、激しい運動は時に膝への負担となり、変形性膝関節症のリスクを高める可能性があります。

大好きなスポーツを長く続けるためにも、膝の痛みを軽視せず、適切な治療とケアを心がけることが大切です。

今回は、変形性膝関節症の治療に用いられる再生医療、特にPRP療法と幹細胞療法について詳しく解説します。

PRP療法と幹細胞療法の違い

PRP療法幹細胞療法などの「再生医療」という言葉を耳にする機会が増えましたが、一体何が違うのでしょうか?

PRP療法は、ご自身の血液から採取した血小板を濃縮し、膝関節に注射する治療法です。血小板には、傷ついた組織を修復を促す成長因子が豊富に含まれています。注射によって、炎症を抑え、痛みを和らげ、損傷した組織の修復を促す効果が期待できます。

一方、幹細胞療法は、脂肪や骨髄などから採取した幹細胞を培養し、膝関節に注射する治療法です。幹細胞は、様々な種類の細胞に変化できる特殊な細胞です。この能力を利用して、損傷した軟骨や組織の再生を促すことを目指します。

▼変形性膝関節症に対する再生医療について、以下でも詳しく解説しています。

PRP療法のメリット・デメリット、費用、治療期間

PRP療法の大きなメリットは、ご自身の血液を使用するため、アレルギー反応や感染症のリスクが低いことです。また、比較的簡単な処置で入院の必要もなく、身体への負担が少ない治療法と言えます。

治療期間は、通常1~2週間間隔で3~6回程度の注射投与を行います。費用は医療機関によって異なりますが、1回あたり数万円から10万円程度が目安です。

しかし、PRP療法は残念ながら全ての方に効果があるとは限りません。効果には個人差があり、2021年に発表された臨床試験では、偽薬(プラセボ)注射と比較して、PRP注射は12か月後の症状や関節構造に有意な差をもたらさないという結果が報告されています。これは、PRP療法の効果が限定的である可能性を示唆しています。

幹細胞療法のメリット・デメリット、費用、治療期間

幹細胞療法は、PRP療法よりも根本的な治療、つまり損傷した軟骨や組織の再生を目指した治療法です。PRP療法では炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待されますが、幹細胞療法は組織そのものの再生を目指します。

治療期間は、幹細胞の培養期間を含めて数週間から数か月程度かかります。

費用は医療機関や治療内容によって大きく異なりますが、数百万円程度かかる場合もあります。

PRP療法と比較して高額であること、効果の持続期間が明確でないこと、また、まれに腫瘍形成などのリスクが報告されていることも考慮しなければなりません。

再生医療のリスクと副作用

PRP療法と幹細胞療法は比較的安全な治療法ですが、リスクが全くないわけではありません。

PRP療法では、注射部位の痛みや腫れ、内出血などが起こることがあります。幹細胞療法では、注射部位の感染や腫瘍形成、アレルギー反応などが起こる可能性があります。

どの治療法にもメリットとデメリット、そしてリスクが存在します。医師とよく相談し、ご自身にとって最適な治療法を選択することが重要です。

保険適用範囲と適用外費用

現在のところ、変形性膝関節症に対するPRP療法と幹細胞療法は、健康保険が適用されない自由診療です。そのため、治療費は全額自己負担となります。

費用は医療機関によって異なり、治療内容によっても変動しますので、事前に医療機関に確認することをお勧めします。

▼変形性膝関節症の再生医療にかかる費用について、以下でもご紹介しています。

変形性膝関節症の復帰に向けたトレーニングと予防

スポーツは人生を豊かに彩る素晴らしいものですが、同時に怪我のリスクも伴います。

特に、膝関節は体重を支え、激しい動きにも対応する重要な部位であるため、負担がかかりやすく、変形性膝関節症を発症するリスクも高まります。大好きなスポーツを長く続けるためにも、膝の痛みを軽視せず、適切な治療とケアを行うことが大切です。

今回は、変形性膝関節症からの復帰を目指すスポーツ選手のために、効果的なトレーニング法、リハビリテーションの方法、そして予防策について詳しく解説します。

スポーツ選手のための効果的なトレーニング法

スポーツ選手が変形性膝関節症と診断された場合、プレーを続けることが難しくなるケースも少なくありません。競技復帰を目指すにあたっては、膝への負担を最小限に抑えつつ、筋力や柔軟性を維持・向上させるトレーニングが重要となります。

初期のリハビリテーションにおいて、理学療法士は患者の状態に合わせて様々なトレーニング方法を指導します。

等尺性運動
等尺性トレーニング

例えば、関節の角度を変えずに筋肉に力を入れるだけの「等尺性トレーニング」は、膝への負担が少ないため、痛みが強い時期にも行いやすいのが特徴です。

壁に背中を押し付ける、床に座ったまま膝を伸ばす(イラスト参照といった簡単な動作も、立派なトレーニングになります。

痛みが軽減してきたら、筋肉の長さを変化させながら行う「等張性トレーニング」へと移行していきます。ダンベルやチューブを用いた筋力トレーニングが代表的ですが、膝の状態に合わせて負荷を調整することが大切です。

水中トレーニングも効果的です。水の浮力を利用することで、膝への負担を軽減しながら全身運動を行うことができます。水中ウォーキングや水中エアロビクスなど、様々な運動が可能です。

自転車エルゴメーターを使ったトレーニングも、膝関節の可動域を広げるのに効果的です。負荷を調整することで、個々の状態に合わせたトレーニングが可能です。

これらのトレーニングは、専門家の指導のもと、自分の身体の状態に合わせて行うことが重要です。過度なトレーニングは逆効果になる可能性があるので、注意が必要です。

2019年の研究では、変形性膝関節症に対する偏心性抵抗運動と等尺性抵抗運動の効果を比較した結果、どちらのトレーニング方法も脚筋力を効果的に増加させることが示されました。重要なのは、自分の身体の状態に合った適切なトレーニング方法を選択することです。

松本 美衣
松本 美衣

メンタル面のサポート

膝の問題を抱えるアスリートは「このまま競技を続けられるのか」という不安を強く感じています。この心理的ストレスが筋緊張を高め、さらに膝への負担を増やす悪循環に陥ることがあります。私は診察時間の一部を使って必ず選手の不安や目標について話を聞き、医学的見地から「今できること」を具体的に示すようにしています。「膝の状態だけでなく、心の不安も理解してもらえて前向きになれました」という選手の言葉は、メンタルケアの重要性を教えてくれます。

リハビリテーションの方法

変形性膝関節症のリハビリテーションは、痛みの軽減、関節可動域の改善、筋力強化、そして日常生活動作の改善を目的として行われます。理学療法士は、患者一人ひとりの症状に合わせたプログラムを作成し、丁寧に指導します。

リハビリテーションの内容は多岐にわたり、温熱療法や電気刺激療法、マッサージ、運動療法などが含まれます。

運動療法では、ストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練などを行います。これらの治療法は、単独で行う場合もありますが、組み合わせて行うことでより効果を高めることができます。

2017年の症例報告では、オステオパシーという手技療法とリハビリテーションを組み合わせることで、外傷性半月板損傷の患者に良好な結果が得られたことが報告されています。

リハビリテーションは、継続して行うことが重要です。症状が改善したからといってすぐに中断してしまうと、再発のリスクが高まります。医師や理学療法士の指示に従い、根気強く続けることが大切です。

2019年の研究でも、変形性膝関節症に対する理学療法は、薬物療法と同等以上の鎮痛効果があり、副作用も少ないことが示されています。

▼変形性膝関節症に対して、自宅でも簡単にできるリハビリもご紹介しています。

変形性膝関節症の予防法

変形性膝関節症を予防するためには、日頃から膝への負担を軽減することが重要です。

適切な体重管理は、膝への負担を軽減するために非常に効果的です。体重が増加すると、膝にかかる負担も大きくなります。適正体重を維持することで、変形性膝関節症のリスクを減らすことができます。

運動前後のウォーミングアップとクールダウンも大切です。筋肉や関節の柔軟性を高め、怪我の予防に繋がります。ランニングなどの膝に負担がかかる運動は、適切なフォームで行うことが重要です。間違ったフォームで運動を続けると、膝関節に過剰な負担がかかり、変形性膝関節症のリスクを高める可能性があります。

靴選びも重要です。靴底のクッション性が良い靴を選ぶことで、地面からの衝撃を吸収し、膝への負担を軽減できます。

日常生活での注意点と再発防止策

変形性膝関節症の再発を予防するためには、日常生活での注意点を守ることが大切です。

正座や和式トイレの使用は、膝に大きな負担がかかるため、できるだけ避けましょう。椅子に座る際は、膝を90度以上に曲げ、長時間同じ姿勢を続けないように心がけてください。

また、階段の上り下りや坂道、段差のある場所では、手すりや杖などを利用して膝への負担を軽減しましょう。重い荷物を持つ際は、両手に均等に荷物を分配し、膝への負担を分散させるようにしてください。

2017年のメタ分析では、ランニングと変形性膝関節症の関連性について調査した結果、ランニングは変形性膝関節症による手術のリスクを低下させる可能性が示唆されています。しかし、その一方で、ランニングが変形性膝関節症の診断に直接的な影響を与えるかどうかについては、まだ明確な結論が出ていません。

これらの日常生活での注意点を守ることは、症状の悪化や再発を防ぐために重要です。変形性膝関節症と上手く付き合いながら、快適な日常生活を送れるように工夫しましょう。

まとめ

スポーツによる膝の痛みや変形性膝関節症の治療法をご紹介し、トレーニング、予防策について解説しました。

PRP療法と幹細胞療法といった再生医療は、それぞれメリット・デメリットがあり、費用や期間も異なります。医師とよく相談し、自分に合った治療法を選びましょう。

トレーニングは、膝への負担を最小限に抑えながら筋力や柔軟性を維持・向上させることが重要です。水中トレーニングや自転車エルゴメーターなども効果的です。

リハビリテーションは、痛みの軽減、関節可動域の改善、筋力強化などを目的として行われ、継続が大切です。予防策としては、適切な体重管理、運動前後のウォーミングアップとクールダウン、正しいフォームでの運動、靴選びなどが挙げられます。

日常生活では、正座や和式トイレを避け、膝への負担を軽減するよう心がけましょう。これらの情報が、スポーツを楽しみながら膝の健康を維持する一助となれば幸いです。

参考文献

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